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文字数 573文字

 そして3日が過ぎた頃、遂に良三の着物が出来ました。何せ上背があるもので、既にある古着を繋ぎ合わせて作った物でした。
ですが、中々の武者ぶりに師匠、

「おおー、馬子にも衣装とはこの事だな」

と目を細めてニコニコしておりました。
隣で藪千代はゲンナリしておりました。
すると良三、

「師匠、刀は無いのでしょうか?」

と惚けた事を宣いました。師匠は、

「愚か者!」

と言いたいのを、グッと堪えて。
まあ藪千代がいれば、おかしな真似はするまいと、道場の神棚の下に飾っておりました刀を持ってきました。

「良三!この刀は殿から拝領した我が家の家宝。決して抜くなよ」

と渡したので御座いました。
良三、藪千代に助けてもらい、何とか刀を腰にさすと。

「では、行って参ります」

と行こうとしました。すると師匠、

「待て見た目ばかり侍でも、お前の事だ直ぐにボロが出る。この旅の間だけ、う〜ん、
武良(タケヨシ)と名乗れ。分かったな」

と名前まで付けてもらったのでした。
藪千代は溜息をついておりました。
そんな藪千代に師匠は、

「我が家の家宝、胴田貫(どうたぬき)
良三、いや武良に抜かせるなよ」

と言ったのでした。
 そして良三改め、武良と藪千代は京へと向かい出立したのでした。
果たしてどうなる事やら・・・。

 この旅が宮本武蔵(師匠)の運命と名声に関わる事になろうとは。
誰一人、知る由もなかったので御座います。
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