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文字数 764文字

「小次郎め・・・」

「ほう、小次郎もご存知かな?」

 そこで武蔵、最早自分の手にあまると。
事の真相を全て話した。
旧知の半蔵が自分に対して、とやかく言うとは思わなかったのだ。
 本当なら、ほとぼりが冷めれば。良三を牢から出して何処かへ奉公にでもやるか、と思っていたのでした。
 すると、

「う~ん、佐々木小次郎、何を考えているのやら」

と十兵衛が言いました。半蔵が、

「多分、奴は剣豪宮本武蔵を倒して。福岡の藩に士官するつもりじゃ。多分、そのうち現れるよここにな。さてとうしたもんか・・・」

 すると武蔵は、

「なーに、小次郎ごときに遅れはとらぬわ。
打ち殺してしんぜよう。だが、それだけでは事は収まらんのだな。困ったな・・・」

 三人は腕組みをして、考え込んでしまいました。そこで半蔵目を開き。

「佐々木小次郎の策に乗りましょう。
剣豪宮本武蔵、デビューさせれば良いのですよ」

「えっ?良三は柔術ならまだしも。剣術はからっきしです。勝てますかな?」

「勝っても負けても構わない。可哀想だが、
やった事の責任は取らなければ。
最早、国民が納得しない。剣豪となるか、
佐々木小次郎の剣の露となるか。
その二つに一つという事ですな」

 武蔵師匠ガックリと肩を落とし。

「駄目な子供ほど可愛いと言うが。まったく、あの良三ばかりは馬鹿な生き方をしたものだ。
責任は私にもある。京の都などにやるんじゃなかった」

 こうして剣豪、宮本武蔵プロデュース計画が動き出した!
 服部半蔵、柳生十兵衛、宮本武蔵の、
大物プロデューサーによって。
 
 そんな事は知らない良三君。鉄の棒を振り回して喜んでいた。
佐々木小次郎は福岡の地で。
さてと、どうやって良三を解放するか。
算段していたぁ!
この先、一体何が起こるのかぁ!
 と言ったところで、お時間です。
後は第二部をお待ち下さい。

偽説・宮本武蔵列伝

第一部、完。
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