馬鹿・3頁

文字数 609文字

 良三君、平仮名は書けないまでも、読む事は出来ました。そこで何を書いているのか読もうとして、頭を傾けていると。藪千代さんが、

「これは私が翻訳したものだ。
タイトルは五輪の書!どうだ凄いだろう」

と言ったのでした。(ホントかよ〜)
 良三君、藪千代さんに、ちょっかい出すのにも飽きて。さてと、と柔術の型をやり始めました。ヤー!トウ!とやっておりますと。
見張りの男が、

「お前さぁ〜煩いんだよ。柔術なんか役に立たないぞ。相手は刀を持ってくるんだ。
お前、剣豪宮本武蔵なんだろう?剣の修行でもしろ!」

とお茶を飲みながら言いました。
 それを聞いて、

「確かに!」

と良三君。竹の網に近付くと。

「先輩!木刀持ってきてくんない。藪千代!
剣術教えて!」

と言いました。すると、先輩見張りは、

「う~ん、師匠に聞いてくる。お前達の処遇も、そろそろ決まるだろうからな」

と何処かへ行ってしまいました。

✳ ✳ ✳ ✳

 その頃、京の都では二人の男が宿に泊まっておりました。
一人は武士の格好。もう一人は年寄でありましたが、目付きが鋭く、只者ではないと直ぐに分かる町人風の隠居の様な商人の様な男でした。
 酒を飲みながら武士が言いました。

「さてと、困ったものだな、吉岡一門にも。
まさか、わしが直々出向く訳にも行くまい。
あんたの所は、どうなんだい?」

と言った。彼の名は柳生十兵衛。
そして、話し掛けた老人。
町人風の格好をした男は何と!
初代服部半蔵であった。
(ええーっ!)
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