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 すると良三、斯々然々と事の成り行きを説明しました。そして、刀を踏んだら刃が上がって、そこへ一馬が勝手に突っ込んで来た事もです。ですから非は自分には無いと言いました。
師匠は目眩がしたのか、一瞬目を瞑り。

「何と言う事をやってくれたのだ!剣豪、宮本武蔵と名乗ったのもお前の仕業か?!」

も聞きました。
 そこは真実を告げようと、佐々木小次郎が言ったのだと思うと言いました。
道中小次郎より説明を受けておりましたので。
そして、佐々木小次郎が自分の幼馴染みの、小次郎だと言う事も言いました。すると師匠、

「小次郎?あやつか・・・ろくな者にはならんと思ったが、そう言う訳か。
佐々木小次郎が、あの小次郎だったとはな」

「そんなに有名なんですか?」

と良三君、聞きました。すると、

「関東地区では無敵と称される剣術家で通っておる。名を上げて、何処かへ士官しようと算段しておる様じゃ。どの道、大した武芸ではあるまい。お前と同じでな」

「はぁ〜、凄いんですね」

と良三君、自分の立場もわきまえず。国に帰ってホッとしたのもあったのか、のほほんとそう言いました。
 師匠、道場をあっちこっち彷徨いて考えておりましたが、突然、

「お前がした事を言ってやろう。
京の名門兵法家の吉岡一門を試合で倒した。
しかも、わしの名を騙った上でな。
小次郎の画策で、同姓同名の別人となった様だが。この肥後の地に数多の武芸者がやって来ておる。勿論、吉岡一門も、お前を打倒しに来るだろう。わしは、お前の師匠として、手合わせを願われるかも知れない。
どうしたもんかな、分からんな・・・。
誰か!こやつを洞窟の石牢に閉じ込めておけ!
外へ出すな!それと藪千代もだ!
こいつは臭くてかなわん!風呂に入れろ。
服も、新しものを着せろ!」

と、おっしゃいました。
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