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文字数 674文字

 この期に及んで漸く良三君、こいつら端なっから俺を、ボコボコにするつもりだと気が付いた。だが、何とか凌いでいる自分に酔ってもいた。
そして、師匠この為に私を京にやったのですねと、明後日な誤解で感動すらしていたのである。そんな良三君の思いも知らず。
よし!これなら勝てるなと一馬さん、良三君の前へと出た。門弟達は道場の端へと輪を描く様に下がっていった。

 一馬さん流石にこの家の次期当主。剣の腕も中々のものと直ぐに分かる構えだった。
構えにブレが無い。
 だが覚醒した?勘違い男には、何ら恐怖も感じさせられなかった。
良三君、一馬より先に攻撃を仕掛けた!
意外な事に吉岡さん、剣同士の戦い方は知っていても、柔術相手はやった事が無かった。

 何せ真剣なら一刀両断、相手に組ませなければ良いとしか思っていなかったのだ。
そこに隙きがあった・・・。
良三君の攻撃は柔術ではなかった。
以前より温めていた必殺技、飛び蹴りを放ったのだ。

えっ??!!
と一馬さんが思ったのも束の間。木刀ごと一馬さんは良三に足蹴にされて、道場の壁に叩きつけられたのだ。
 周りの門弟からは、

「卑怯な!」とか「危ない!」とか「ふざけた真似を!」と声が掛かり。倒れた一馬さんを二、三人が駆け寄り起こした。
一馬さん完全に切れて、真剣を持ち出したろか!?と思ったが。
 そこは育ちの良い一馬さんは、道場をこやつの汚い血で汚したら、お父様から怒られると木刀をしっかり持つと。

 ヤー!と良三の頭を打って出た。
だが良三は既に、その攻撃は読んでいたので。ヒラリとかわすと、一馬さんの着物の袂を握って顔めがけて拳を叩きつけた。
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