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文字数 639文字

 そこで服部半蔵、ふと気になり、

「ところで、佐々木小次郎はあんたより強いのかい?百姓の出が、どうやったら関東一の剣客になれるんだろうねぇ〜」

「あはは、それも噂だよ。あいつは人前で戦い、勝てない相手とはやらない。
しかも、長い刀を使っている。
相手の剣客が間合いに入る前に、ぶった斬るという寸法だ。しかも、刀をぶんぶん振り回されては、近寄る事も出来ない。
既存の剣術では中々、勝てないかもな」

「ほう、あんたでもかい?」

「まさか技が違うよ。長い刀には、それなりの弱点もある。懐に入られると、今度は戦い様がなくなるからね。
だから言ったろ、勝てない相手とは試合をしないと。汚い遣り方だが、剣客としては賢い。
あの手の輩は、さっさと何処かの剣術師範役にでも落ち着いてもらわないと、治安が乱れる」

「確かにな。まあ上手くゆけば宮本、佐々木、共倒れと言う事もある。宮本武蔵、強いんだろうねぇ」

「吉岡一馬、油断したとはいえ、中々の使い手だった。あの男を斬ると言う事は、剣技は佐々木小次郎よりも上だろう。
佐々木は吉岡の道場に行きながら、試合をしなかったのだからな」

「ほう、剣豪宮本武蔵、あながち噂だけではないのかもな」

 こうして二人の会話の間にも、二人各々の手下がやって来ては情報を伝えていた。
 と、その頃、剣豪宮本武蔵は?
いやいや、良三君は?と言えば。
 先輩に木刀を頼んだところ、持ってきたのは鉄の棒二本だった。一本は短く、もう一本は長いもの。
重さが半端無いので、これでまずは慣れろとの師匠の教えだった。
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