剣豪誕生・3頁

文字数 626文字

 哀れ吉岡一馬。偶然の出来事で、ウッと一言残すと、バッタリとそのばに倒れた。
良三君、あまりの出来事に、

「ひーっ!」

と声を上げて震えていたぁ!
とそこへ、ガラガラとのり面の泥を崩しながら、小次郎が降りてきた。
良三君、又もや敵かと、頭を抱えて震えていると。

「よう、良三、久しぶりだな」

と小次郎に声をかけられた。

「ひっ!」

「俺だよ、小次郎だ」

「あっ!こーちゃん何でこんな所に?」

「まっ、それは追々話すとして。
やっちまったなぁ〜」

小次郎は一馬の体を見ていた。
良三もよくよく見ていたが。
ひっ!と顔を背けた。すると小次郎、

「兎に角、逃げろ。後は俺に任せて。
適当に見繕っとく」

「どうやって?何で。今、何してるの?」

「うん?武芸者」

と言うと小次郎、一馬から刀を抜き取り。
懐の和紙を出すと刀の血を拭いて。
ばっ!とその辺に派手に撒き散らした。
 そして鞘を拾うと、刀を納めて良三に差し出した。

「武芸者っ、大阪で人夫してるって、聞いたけど」

「ああ、辞めた。辛くて金にならんのでな。
俺は、もっと自由な男なんだよ」

「自由か・・・」

「兎に角、吉岡一門が来るから早く逃げろ。
お前、国に帰って待ってな。俺が良い商売を、紹介してやる」

「商売?」

「そうだ商売だよ。ほら早く行け!」

そう言われると良三は、刀を抱いて。竹藪の中へと消えた。
 小次郎は、さてと、どうしたもんかな?
と悩んでおりました。
 まあ良三は百姓、こんな山の中なら武士に捕まる訳もないか。肥後まで帰れるだろうと安心しておりました。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み