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文字数 601文字

 この男、背丈はさほど高くも無く、普通。
痩せ型、何よりも柔術により腕は大した事ないのですが。特に武士として礼節を学んでいたので御座いました。
うん!これだ!
師匠閃きました。

 何故なら、どういう取り合わせか、藪千代は良三と良く城下町で、酒を酌み交わす仲なので御座いました。そこで、

「藪千代、こちらへ参れ!」

と師匠は叫んだので御座いました。
 藪千代、さささっ、と師匠の前に参りますと、頭を下げ、何で御座いましょうかと聞いたので御座います。

「うむ、二、三日後、良三の着物が出来次第。
お前は良三と共に、京の都の万々寺へと付いて参れ。良三は武家の仕来たりを全く知らん。
道中、どの様な目に会うか分かったものではない。そこでお前は、お目付け役だ。
同時に、奴に武家の仕来たりを教えてやれ」

へっ?と言う顔をしたのは藪千代でした。
 仲が良いとはいえ、この山から切り出した天然木の様な、ごつごつした大岩の様な男に、
武家の仕来たりとな?と思ったのでした。
 奴と酒を飲みにゆくと、良三が街のチンピラに絡まれて大暴れをする事もしばしば。
その様な者と旅をしようものならと藪千代、
嫌な顔をしたので御座いました。

「不服か?」

と師匠に聞かれても、弟子である藪千代、
口答えは出来ません。

「御意」

と訳の分からない返事をするのでした。
 横でニヤニヤ笑うのは良三で御座いました。
これは道中、何処かの宿場町で宴会が楽しめるな、と思ったので御座います。
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