第57話 女二人を同時に愛人にした男
文字数 955文字
「それから愛菜については私から愛人になって欲しいとお願いした。これが私の本当の気持ちだ。もしこんな私に愛想が尽きたら今からでも別れてもいい。本心ではないが、君たちの気持ちを知りたいんだ」
真一郎は二人の顔を交互に見ながら言った。二人は黙っていた。
「では、沙也香はどうかな?」
真一郎に言われて、沙也香は少し逡巡 していたがゆっくりと口を開いた。
「あの……真一郎さんにそう言っていただいて、とても嬉しいです。愛菜さんを前にして言うのは恥ずかしいのですが、真一郎さんが言うように、私もこのままこの関係を続けたいと思っています。もし、愛菜さんがずっと愛人であるとしても……」
「愛菜は、どうかね?」
愛菜は少し考えながら、真一郎と沙也香を交互に見ながら言った。
「私も沙也香さんと同じ気持ちです。私は母の昔好きだった人を好きになってしまいました。親子が同じ人を好きになるなんて、普通ではありえません。しかも恋人として、だからこそこの愛を大切にしたいのです」
愛菜の目も潤んでいた。二人の美しい女から、このようなことを言わせる男は罪な男である。
「わかった。君たちの気持ちもよくわかった。ありがとう。では二人とも今まで通りにしたいと思う。どちらがどうということでなく、沙也香は沙也香、愛菜は愛菜……そういうことで良いかな?」
「嬉しいです。私は真一郎さんのお相手が愛菜さんで良かった。もし他の人だったらこうはいかないと思います」
「私もです。沙也香さん」
愛菜はあの愛くるしい笑顔を見せた。沙也香はそんな愛菜を見つめ、そして言った。
「あの、真一郎さん、今夜も愛してくれるのですか? 私か愛菜さんのどちらを?」
安心したのだろうか、沙也香は珍しく自分から真一郎を挑発した。
「ねえ、選んでもらいましょうよ。愛菜さん。今夜、真一郎さんにどちらの女を抱きたいのか」
その顔は、ライバルとなった愛菜に挑戦しているわけでなく、緊張を取るための作戦のようである。
「そうそう。どちらを先に愛するか、決めてもらいましょう」
「いや、今日はやめておく。こんな美女二人を相手にしたら身体がもたないよ」
笑いながらそう言って、真一郎は帰っていった。その後で、二人の女の会話は遅くまでいつまでも続いていた。
その夜も、空には名月が煌々 として浮かんでいた。
真一郎は二人の顔を交互に見ながら言った。二人は黙っていた。
「では、沙也香はどうかな?」
真一郎に言われて、沙也香は少し
「あの……真一郎さんにそう言っていただいて、とても嬉しいです。愛菜さんを前にして言うのは恥ずかしいのですが、真一郎さんが言うように、私もこのままこの関係を続けたいと思っています。もし、愛菜さんがずっと愛人であるとしても……」
「愛菜は、どうかね?」
愛菜は少し考えながら、真一郎と沙也香を交互に見ながら言った。
「私も沙也香さんと同じ気持ちです。私は母の昔好きだった人を好きになってしまいました。親子が同じ人を好きになるなんて、普通ではありえません。しかも恋人として、だからこそこの愛を大切にしたいのです」
愛菜の目も潤んでいた。二人の美しい女から、このようなことを言わせる男は罪な男である。
「わかった。君たちの気持ちもよくわかった。ありがとう。では二人とも今まで通りにしたいと思う。どちらがどうということでなく、沙也香は沙也香、愛菜は愛菜……そういうことで良いかな?」
「嬉しいです。私は真一郎さんのお相手が愛菜さんで良かった。もし他の人だったらこうはいかないと思います」
「私もです。沙也香さん」
愛菜はあの愛くるしい笑顔を見せた。沙也香はそんな愛菜を見つめ、そして言った。
「あの、真一郎さん、今夜も愛してくれるのですか? 私か愛菜さんのどちらを?」
安心したのだろうか、沙也香は珍しく自分から真一郎を挑発した。
「ねえ、選んでもらいましょうよ。愛菜さん。今夜、真一郎さんにどちらの女を抱きたいのか」
その顔は、ライバルとなった愛菜に挑戦しているわけでなく、緊張を取るための作戦のようである。
「そうそう。どちらを先に愛するか、決めてもらいましょう」
「いや、今日はやめておく。こんな美女二人を相手にしたら身体がもたないよ」
笑いながらそう言って、真一郎は帰っていった。その後で、二人の女の会話は遅くまでいつまでも続いていた。
その夜も、空には名月が