第3話:敏和の彼女の訪問と姉が病院に就職

文字数 1,380文字

 やがて1995年も暗くて長い冬の到来で例年通り雪となった。この頃、同じ職場で働く高田出身の島根景子と親しくなった。彼女は、近くの高田商業高校を昨年卒業し、同じ経理部に配属された。彼女は、人の顔色から心の中を探るのが得意な新潟美人で気が強いのが玉に瑕だった。高田出身で両親は、地元の造り酒屋に勤めていた。

 月に1、2回デートし最近買った中古車でドライブするのが大好きだった。しかし、畑山敏和は、両親に、彼女の事を話さず、家族にも紹介してなかった。その彼女が、鬼舞って面白い地名ねと言った。そのうちあなたの実家へお邪魔して良いかしらと聞くので軽く良いよと返答。すると翌日、5月3日行くから宜しくと突然言われた。その日の10時過ぎに来て両親に挨拶した。

 昼食を食べてから家の周りをまわって海風が気持ち良いと言った。その後、鬼舞漁港、五霊神社まで足を延ばした。その鳥居からの日本海の景色を見て素晴らしいと語った。明治の頃まで北前船が、出入りしていたそうねと話した。そして、この地元の伊藤一族が、大きな財産をつくったが、質素な暮らしを続けていた話すと、何で、そんな事まで調べたのとたずねた。

「すると、私って意外に、歴史好きなのと、笑いながら言った」
「もし自分の実家が金持ちだったら絶対に新潟大学に入り、もっと勉強したかったわと告げた」。
「この五霊神社には霊気が漂っていて財宝でも埋めてあるような感じすらすると言った」
「多分、漁に行き大きな嵐で亡くなった人の魂やいろんな怨念もありそうねと語った」

「敏和が、俺は、怪談話が、嫌いなんだ。もうやめてくれよと懇願した」
「彼女が、大きい体して肝っ玉が小さいのねと笑いながら言った」
「でも可愛い、そんな所が、私、好きと、言って、手を握った」
「敏和は、その柔らかな手を握り返すと痛いと言うので、ごめんと謝った」
「すると嘘よと言って舌を出した。そんなに男をからかうなと言い返した」


「でも敏和君の、そんな所が、全部好きと言い、あたりを見回し抱き着いた」
「すると見た目よりも大きな胸が敏和の上半身に当たり下半身が熱くなった」
「意外と良い女じゃないと敏和の邪悪でスケベな魂が語り掛けた」
「もう一つの純真な心が、いい加減にしろと心の中で格闘した」

「すると彼女が、意外に良い体してるでしょと言い舌を出した」
「まー、そうだなと答えると、まさか、会社の他の女と比べてるんじゃないよねと怒った」
「いーや、そんなに俺、もてないから大丈夫と言うと、そうだと思ったと言い大笑いした」
「その後、数年後、一緒になってくれると真面目な顔で聞くと、うんと答えた」

 そんなことをしているうちに夕暮れが近づき、自宅に戻った。彼女は、両親に、しっかりと挨拶して、これで帰ります。昼食、美味しかったですとお礼を言った。母が、遠慮なく、また遊びに来てねと告げた。すると、ありがとうございますと言って車のエンジンをかけて帰っていった。その車をずっと見つめていた。

 可愛い娘さんねと言うと敏和が同じ経理課に配属されて一緒の職場で仕事してるんだと言った。どこの御出身と聞くので、高田で両親は作り酒屋に勤めてるらしいと答えた。うまく行くと良いねと、母は、敏和の肩をたたいた。いや、まだ付き合って日が浅いので、わかんないよと言うと、女は、好きでもない人の所には絶対来ないと言い切った。
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