第27話:新プロジェクトへの協力要請

文字数 1,525文字

 その後、2016年4月、八橋賢三さんから電話が入り折り入って相談したいことがあると言われ大船へ向かった。八橋医院の院長室に入り、この話は、まだ機密事項なので口外しないで欲しいと言われ了解した。実は、数年前から東京の人口密集地域の大型病院の内科で心筋梗塞の早期診断のために冠動脈CTスキャンやMRIが使われている。

 しかし東京など大都市圏で心筋梗塞の可能性があり冠動脈CT、MRIを受けたい人は、膨大な数に上る。そのため患者さんが予約し検査を受けられるまで半年、ひどい場合は1年以上もかかる。病院に行って冠動脈CT、MRIをとっても検査結果を知るには、夕方までかかってしまうと言うのが現状であり、もっと早期にスムーズに行いたいという要望が強かった。

 それを解決すべく、冠動脈CT、MRIをはじめとする高度臨床検査だけを行い、そのデーター大型病院の医師に伝える方法はないかと医師会で議論となった。しかし政府や役人は法律にない事は、禁止として積極的な動きはとれない。そこで非公開のうちに東京で高度臨床検査だけをする施設を作る話が持ち上がり、試験的に施設が、現在東京23区内で10軒できた。

 それを日本第二の都市である横浜の人口の多い港北ニュータウン、新横浜、大船、川崎につくるプロジェクトが進んでいると大学で情報を得た。そのためには、1軒、強磁気遮蔽装置と冠動脈CT、MRIで約3億円、ビルの空室改修で3.5億円、新築なら5億円の費用が掛かり簡単には作れない。そのため東京では医師会、製薬業界、医薬品卸、検査機器メーカーが協力して建設した。

 その後、冠動脈CT、MRIのリースや現在の低金利時代で銀行、金融関連企業も資金提供する動きも見せている。その仕事に参入してみないかと言うのだった。いくら必要と聞くと最低5千万円、資金が多いほど良いと話した。焦げ付く可能性はないのかと聞くと高度臨床検査の費用は、1万円から3万円で国からの医療費補助はないので大丈夫と考えてると話した。

 ニーズはあるのだねと聞くと東京では、需要が多すぎて2軒が24時間体勢の交代制でやっている。これで稼働し続ければ早ければ10年、遅くとも15年で資金を全額回収できると言った。通常通り週休2日8時間体制だと30年から45年かと言い換えた。確かにそうなるが、東京の施設は、年365日、フル稼働でやっているから10年から15年で回収できると述べた。

 現在の日本の金融市場では、リスク、リターンを考えても、うまみのある商売らしく、こういう案件に対して金融機関は融資を積極的に行っていると言うのが東京の現状だと述べた。この話を是非、検討して欲しいと言い、そのプロジェクトには、私と他5人の若い医者が全面協力していると言い、病院の若い臨床検査技師、臨床工学技士、レントゲン技師も協力を表明していると話した。

 だから畑山さん達の抱負な資金で、是非、このプロジェクトに参入して欲しいと言った。説明するにも難しいから解説するパンフレットを作成して欲しいと言うので了解、早速、パソコンに打ち込んでプリントアウトして郵送。同じ情報をメールでも送りますと約束してくれた。そして、帰り際、是非、この素晴らしいシステムを作っていきましょうと握手をしてきた。

 八橋さんからの依頼を受けて銀行マンの佐藤友則、証券マンの岸田純一、ヤフーの友部信二と畑山敏和の4人で会合を開き独立高度医療センターのパンフレットと、そのセンターの意義、社会的必要性を説明した。次に、融資後、完済まで20年から30年かかると言う話をすると長すぎると言う意見が大勢を占めた。そこで15年以内に返せるとしたらと言うと、それならOKと答えた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み