第31話:ゴーン被告海外逃亡2

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 この報道によると、この楽団はゴーン被告の自宅で演奏後、ほどなくして楽器ケースに隠れたゴーン被告を地方空港へと運んだという。これが本当であれば、身長165センチとされるゴーン被告にとっても窮屈な状態だったであろう。地方空港からプライベートジェットに乗って日本を出国したゴーン被告は、トルコを経由してレバノン入りしたと報じている。

 この説を裏付ける事実の提示はなかったが、当然この話はソーシャルメディア上で直ちに広まった。一方でゴーン被告の妻キャロル氏はロイター通信に対し、楽器ケースに隠れたという話は「フィクション」だと述べた。キャロル氏は、夫がどのように日本から逃れたのかについて詳細を明かすことは拒否。ゴーン被告がスパイ映画さながらの変装をするのは、あり得ない話ではない。

 米紙WSJは、多数の匿名情報筋の話を引用し、ゴーン被告の逃亡計画を実行するために、慎重に実行チームが集められたと報じた。報道によると、このチームには、ゴーン被告を自宅からイスタンブール行きのプライベートジェットへと運んだ日本国内の共犯者も含まれる。ゴーン被告はイスタンブールを経由し、昨年12月30日早朝にベイルートに到着した。

 飛行機の位置をリアルタイム表示するサイト「フライトレーダー24」では、プライベートジェットのボンバルディア・チャレンジャーが、ベイルートのラフィク・ハリリ国際空港に2019年12月30日早朝4時過ぎに到着したことが確認。その後、ゴーン氏は妻キャロル氏と面会。キャロル氏はベイルート生まれで、この逃亡計画に深く関与していると米紙WSJは報じている。

 複数報道によると、ゴーン被告を自宅からこっそり連れ出す際に民間警備会社が協力していたという。英紙FTによると、この民間警備会社は数カ月にわたってゴーン被告の逃亡を計画し、複数のチームに分かれて異なる国々で活動した。この計画に詳しい人物2人が、日本国内の支援者の協力を得て準備が進められたと証言したという。

 英紙FTは、ゴーン被告が出国した地方空港について関西空港だったとしている。ゴーン被告は保釈中、居場所を監視するための電子タグの装着は義務づけられていなかったという。ゴーン被告に近い2人の人物の話としてロイター通信が報じたところによると、プライベートジェットの操縦士ですらゴーン被告が搭乗していることを知らなかったという。

 ゴーン被告が保釈中に行方をくらませ日本を出国するという計画の裏で動いていた重要人物は、妻のキャロル氏だったと複数メディアが報じている。ゴーン被告の弁護団によるとキャロル氏とゴーン被告は12月24日、1時間以上会話をしていた。夫妻は保釈条件として面会や連絡を取り合うことを禁止されていた。これについてゴーン被告は2日、声明を発表。

「私の妻キャロルや他の家族が、私の出国に役割を果たしたと推測する報道があります。しかし、こうした推測は全て不正確で間違っていて、私は独りで出国の準備をしました」。
「私の家族は全く何もしていませんと表明」。
「ゴーン被告がレバノンに到着した後、キャロル氏はウォールストリート・ジャーナルに対し、夫との再会は『自分の人生の中で最高の贈り物』だったと述べた」。

 一方で、関与が疑われている逃亡計画については言及しなかった。キャロル氏は昨年6月BBCの単独取材に応じ「夫を取り返したい。私のそばに居てほしい。私は夫が無実だと分かっている」と述べたほか、当局はゴーン夫妻を「脅し、自尊心を傷つけた」と語った。ゴーン被告は罪状について繰り返し否定。ゴーン被告がレバノン入国時に使用した疑惑のパスポートについては、疑問が残る。
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