第32話:ゴーン逃亡3と子供たちの夢

文字数 1,648文字

 被告はブラジル、フランス、レバノンの2カ国のパスポートを持つが、日本の弁護団はすべてのパスポートを国内で預かったままだ。企業経営者に認められる場合がある複製パスポートをゴーン被告が所持していたのかは分かっていない。レバノンで発効された外交旅券を所持していた可能性があるとの報道もある。仏紙は、ゴーン被告は身元を示すなんらかの身分証明書を使ったと報道。

 また別のメディアは、被告がフランスのパスポートあるいは、別人になりすました偽造パスポートを使ったのではないかと報じている。ゴーン被告の広報担当者はフィナンシャル・タイムズに対し、同被告がフランスのパスポートを使ってレバノンに入国したと述べた。しかし、どのように日本を出国したかについては明確にしなかった。

 レバノン外務省の政治問題担当のガディ・フーリー氏は、ゴーン被告がフランスのパスポートとレバノンのIDを使って同国に入国したと、FT紙に述べたという。NHKは2日夜、関係者の話として、元会長はフランスから旅券を2通発行されており逮捕当初は弁護団が保管していたものの逃亡当時はフランス旅券を1通所持していたと報道。

 朝日新聞によるとゴーン被告が日産の役職を解かれて日本の在留資格の証明書を失い入管法の規定で旅券の携帯義務が生じたため弁護団が保釈条件の変更を請求した。東京地裁は5月、中身が見える鍵付きの透明ケースに入れたフランス旅券1通の携帯を被告に認めたという。ダイヤル式ロックの番号は弁護団が管理し被告には伝えていなかったという。

 ゴーン被告の逃亡によって恥をかかされた日本では、政治家が、同被告はどこかの国家の支援を受けたのかという疑問をぶつけた。前東京都知事の舛添要一氏はツイッターで、フィナンシャル・タイムズの記事を引き合いに、レバノン政府がゴーンの希望が叶えられるように支援していた事は、この点からも裏付けられる。国家の関与がなければ、これだけの逃走劇は不可能だと述べた。

 レバノンで育ったゴーン被告は、同国内に不動産物件を所有している。現在も国民的人気があり、成功者として称えられ、切手になったこともある。ロイター通信は2人の人物の話として、ゴーン被告の勾留中、駐日本レバノン大使が毎日、同被告を訪問していたと報じた。レバノン大使はこれ迄の所、公に反応していない。レバノン政府は、ゴーン被告の逃亡への関与を否定している。

 仏自動車大手ルノーは、2019年1月24日、カルロス・ゴーン被告による会長兼最高経営責任者「CEO」の辞任受け入れを発表した。事実上の解任で、ジャンドミニク・スナール新会長が就任した。ゴーン体制のナンバー2だったティエリー・ボロレ新CEOは10月11日、取締役会で解任され、日仏3社連合でゴーン色が一掃された。

 そして2019年初旬になると、畑山敏和のグループへのセンター南・高度臨床検査センターからの資金回収が開始された。その後、各施設にセンター長を置いて、主に人事管理「担当者の勤務時間管理」をしっかりしてもらい、年中無休、365日間、フル稼働を目標に、活動を続けていった。思ったよりも資金回収が早まり、畑山敏和のグループは、大歓迎した。

 一方、畑山家では、長男、智一が今年、横浜国立大学理工学部の化学応用EPの「新エネルギー開発」に興味を持って、地球温暖化対策のための最先端技術開発に情熱を燃やしたいと父に話していた。妹の優子も横浜国立大学の学園祭に行き、経済学部と経営学部が、海外留学に積極的なのに目をつけて、ここに、入って、海外留学して世界を相手に戦いたいと言った。

 この話を聞いた両親は、頼もしいと言い、特に、父が、日本に、くすぶっているよりも、世界へ視野を広げて、未来に通用する人材になって欲しいと話していた。しかし、母は、アメリカは治安が、心配と言い、できたら、日本の大手商社に入って、たまに海外に行くようなくらいで良いのではないかと話していた。これを聞いて優子は、やっぱり夢は、と宣言。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み