第19話:格安老人施設建設と他のNPO老人施設の見学

文字数 1,525文字

 そして2013年が明けて、奥さんの両親が帰っていった。しかし、1月20日に、敏和の両親が、6週間ほど厳寒期に泊まりに来た。子供たちは大喜びして、横浜駅へ徒歩20分で行ったり、バスで元町、中華街へ出かけたりして楽しんだ。今年、智一が小学校入学を知って、智一と妹の優子に洋服を買ってくれた。そして帰る前、3月初旬、熱海と湯河原の梅まつりに6人で出かけた。

 祖父母が熱海梅林へ行くと、人ごみの多さに驚いていたが、多くの写真を撮った。その後、来宮神社へ行き大楠の木の周りをまわって長寿を祈願してきた。おみくじを引くと、大吉が出たと祖母が喜んだ。その晩は、熱海温泉に泊まり、智一の子供時代の話に花が咲き、夜遅くまで、嬉しそうに話した。翌日は、湯河原に移動して湯河原の大きな梅林を見学に行った。

 祖父母は、その湯河原梅林の美しさに驚き、多くの写真を取って、はしゃいでいた。また、昼間の暖かさに信じられないと厚手のオーバーコートを脱いで手に抱えて歩き回った。そして、夕方、マンションに戻って来て、その翌日、昼頃、新潟に帰っていった。また、寒い冬に、遊びに来るよと言い、孫の優子が、祖父母にキスして、お別れすると、うれし涙を流していた。

 2013年4月を迎えて、長男の智一が徒歩、約30分かけて桜木町駅の先にある中学校に通い始めた。この頃、首都圏で年金生活者の貧困問題が、新聞に取り上げられるようになり、高齢者の生活保護受給者が4万件を超えたと言う報道が新聞をにぎわせた。この問題に、以前、東日本大震災の時に活躍した「未来開発・有限会社」で、何か役に立つ事ができないかと奥さんが言いだした。

 それについて、敏和と景子さんが、最初は、横浜市役所の福祉課、次に神奈川県庁の福祉課を訪問して話を聞いてきた。すると直接、高齢者施設を建てて、運営するには、特別な資格は必要ないが、高齢者福祉NPOと協力して両者で格安に手に入る大きめの木造住宅を新築したり優良中古住宅を使い低価格で入れる老人ホームを作ると非常に助かると話した。

 そして神奈川県庁では、藤沢に参考になるNPOがあると言うので、資料をもらい、話を聞くと良いと教えてくれた。早速、その藤沢の施設に電話をして、5月の連休に、訪問して、お話を聞きたいと電話すると、了解をいただけた。そして、出かけてみると、NPOの代表が、この施設を案内してくれた。敷地が300坪弱あり、建物が150坪と大きな木造2階だての施設。

「入居分担金が400万円で、生活費が月に14万円と、まさに理想的」。
「しかし、生活保護を受けてる老人には、入居は難しいと説明した」。
「ここでは、入居者に楽しい生活をしてもらうために入居の際の審査を厳しくしていると話した」。

「老後の遂の住処は、何といっても人間関係やその他で気を煩わせない事」。
「そして、快適な生活が一番と説明した」。
 その他の2軒も案内してもらった。普通の年金生活者であれば、入居できる価格帯で、最高の環境がそろっていた。

「入居状況を聞くと、お陰様で、空きが出ると、すぐに埋まり好評いただいていますと笑顔で話してくれた」。
「確かに、この環境で、この施設なら誰でも入りたいと考えるのは当然と納得」。
「その秘訣を聞くと外部にしっかりとした支援者を掴むことねと言った」。

 ここの理事長は、この施設のポリシーと恵まれた環境をしっかりまとめて、競艇、競輪、競馬等の補助支援金を手に入れて、施設の新築、改修の時には、補助金をもらっていますと、そっと教えてくれた。そうでないと、相当の富裕層でないと、こんな施設を維持管理、運営していけませんよと、にこやかに話してくれた。
「人間工夫ですと肩をたたかれた」。
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