文系でもわかる(とはあまり思えなくなった)、ビッグバンと多次元宇宙論とか(後半)
文字数 3,954文字
今回は、『夕方屋と透明な夕焼け』に関連して、「文系でもわかる(といいな)、ビッグバンと多次元宇宙論とか」、の後半です。そろそろ記憶が薄れてきているぞ!
前回はビッグバンについて書いたので、今回は多次元宇宙論だ。前回よりさらに自信がない。それからTemppも文系なので、数式とか無しでわかりやすい説明を試みたいとは思っている、けど挫折注。なお赤字の部分は文系の人用のショートカットだと思って下さい。
夕方屋はもともとコアなSFの話で作っていたんだけど、字数とか大人の事情で多次元異世界な話にもっていってしまった。だからその時使う予定だった多次元宇宙論の話をするのです。浪漫の残滓。
多元宇宙論っていうのは宇宙と言うのは今いるところ以外にも宇宙はいっぱいあるぞという話。わかりにくいので今いる宇宙を『今宇宙』と呼ぶことにするよ。
本筋に入る前に前回の復習。
138億年前に高温高密アツアツのプラズマ状態の宇宙が急に冷えて相転移が発生したエネルギーで熱が発生したのがビッグバン、というところまでば宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の観測結果からも事実とされている多分定説。
それで、じゃあその原初のプラズマはどこから来たのかっていう話。
ホーキング博士という人がいる。車いすのイメージの人だ。70年代に「一般相対性理論(時間と空間を1つの理論で説明しようとしたやつ)と現在の宇宙の物質を考えたらビッグバンは特異点だ」っていう特異点定理っていうのを発表した。でもホーキング博士的にはこの「特異点」という理論はピンとこなかった。
結局ホーキングは一般相対性理論では宇宙の始まりを説明できないと指摘する。
時間と空間の発生を一緒に説明するなら、両方とも「無限に存在した」か「ある時(?)特異点から突然発生した」かなんだ。ビッグバン理論はないところから始まってるから無限はなし。特異点だと無から有を生じさせる理屈がたたない。だって時間がないところから時間を生み出すんだぞ? 時間がないのに。
でもギューギューツメツメの世界は極小の素粒子の世界で、量子力学のの分野になる。そのサイズだと「トンネル効果」っていうのがあってね。ものすごく小さい物質は壁があってもそれを超えてワープができるんだ。
トンネル効果自体は実証されている。実際にトンネルダイオードとか半導体の回路で使われてる。
だから虚時間という概念を突っ込んだ。ホーキングは「時間と空間は境界はないけど有限だ」という『無境界仮説』を展開して「宇宙は虚数時間で始まり、ある程度の大きさになったところでトンネル効果で実時間になった」。
文系の方に説明するなら【何もない所から有を生み出すのは無理だから『何もない』じゃなくて『虚時間』という謎の何かがあることにした】。ごめん、われながら無茶な説明だと思ってる。
いやまあ、ここは考えたらまけだ。本当に。自分もよくわかんない。理論の話で多分『ああ、あれねってピンとくる奴』は誰もいない。ともあれそういう理屈で宇宙が突然インフレてビッグにバンしても問題なく説明ができるようにしたのさ。虚時間を使えば宇宙の最初は素粒子よりも小さくても問題なくて、トンネル効果で虚時間から実時間にピョコンと転移してきても問題ない。……。ごめん、無視して。
それでホーキングは遺言的論文は多次元宇宙についてだ。ホーキングは永久インフレーション(カオスインフレーション)説に理解を示している。この永久インフレーションっていうのは、今いる宇宙ではインフレーションが終わったけど、その他の宇宙ではインフレーションが今も続いていて、そこでは新しい宇宙がぽこぽこ生まれ続けているという話。インフレの継続する大宇宙の中で濃度によって局所的にあらゆる可能性を持つ泡宇宙が発生して、これが様々な物理定数を持つ多元宇宙を展開する、と思っている(ちょっと自信がない)。
【今いる宇宙は多宇宙の中の一部?】説明にも何にもなんてないなこれ……。
それからもう一つ多次元宇宙の大きな根拠になっているのが『人間原理』。
これは色々な重さがあるワードでなんとなく人間賛歌とか神プロダクトっぽい論調に行きやすいんだけど、ようは『人間』が存在するために今宇宙は結構絶妙なバランスでクリエイトされてるってこと。宇宙創生で少しでも原子の組成が違うと今の『人間』は存在し得ない。
そんな絶妙なバランスが発生しているなら、たくさん宇宙があってその一つがこの現在だっていう考え方。【めっちゃ微妙バランスで奇跡的に人間が存在していると考えるよりはたくさんある中でたまたま今宇宙に人間が発生したと考えたほうが心が躍る】。でもこれは正直微妙な気はする。
さて、そんなつまらない話はここまでにして、どんな多次元宇宙があるという理論があるかを適当に取り上げていきます。
一応理論的な根拠がありそうなやつだけ紹介するね。
ブラックホール理論というのがある。ブラックホールは特異点だ。自分らがいる今宇宙もブラックホールの中にあって、これ以上ないほどギュウギュウに詰め込まれて高密度になったのが外宇宙にポーンと反転したのがビッグバンであるという説。
ブラックホールっていうのは変な場所でさ、ブラックホールは全てを収縮していくから理論上は密度が無限大で大きさが無限小っていう変な話になるんだ。そうするとブラックホールは跳ね返って特異点になる。それがビッグバンだっていう説があって、これは宇宙が永遠に膨張と収縮を繰り返す説。ようはビッグ・バウンスというやつ。じゃあその最初は何なんだろね。
とりまそんな考え方で、ブラックホールっていうのは今宇宙にもたくさんあるから、乱暴にいうとその一つ一つが宇宙なんじゃないかという説かな。
【今いるブラックホールの外では別の宇宙が広がっているぞ!】
今宇宙は4次元(3次元+時間)だけど、今宇宙はそれより上位の次元(ブレーンワールド)の上に存在するものだという話。それでインフレーションは今宇宙はと他宇宙が接触したエネルギーで起こったっていう理論だ。
ええと、自分ら(3次元)が絵(2次元)を上から眺めるような構造で高次元が存在して、自分らと同じようなものが並行していくつも存在するんじゃなかろうかという話だ。
これも一応理屈はあってだな、超ひも理論というのがある。素粒子は点じゃなくて紐っていう理論。意味がわからないよね。
裏付けはないものの統一場理論に1番近いといわれている。前回書いたけど統一場理論っていうのは4つの力を1つで説明できる理論でまだできてない。重力子の説明がつかないんだけどこれをクリアするために高次元があると考える理論。11次元あれば理屈がつくらしいけど、そのへんの説明は自分には無理なので割愛。ともあれこの余剰次元(ブレーンワールド)上に複数の宇宙(世界?)が存在するという考え方だ。ただ、今のところ高次元なんて観測しようがないので、夢理論の範疇だ。でも世界が11次元なら10の500乗の多次元宇宙が発生していることになるらしい。夢は広がる。
【1個上の世界があって、そこが複数の世界を管理しているというアレに近いか? 神様がいるワールドが複数の異世界を管理している的な】
基本的には宇宙論とか特に量子論は理屈の世界で言ったもん勝ちなところは大きいと思ってる。でも自分的には高度な科学は魔法だと思ってる。なんていうか自分的には魔法が使える世界は物理定数が違う異宇宙というイメージがある。
そもそものホーキングの理屈でも素粒子になればトンネル効果で異宇宙に行ける気がするから、トラック転生するときにブレーンワールド上にいる神様が素粒子レベルで分解してトンネル効果で膜を超えて異宇宙で再構成するという話は理屈的に成り立ったりするんだろうか。その神様の存在が理屈にあわないのとビッグバン起こりそうなことを除いて。
でも宇宙論って結局神ともたたかってるんだよな。
あるのかないのか検証しようという試みはあるんだ。宇宙は泡のようにたくさんあって、昔膨張するときに何回もぶつかったっていう話でさ、その衝突跡がCMBで観測できれば多次元宇宙を立証できるかもっていうのはあったけど、結局のところその傷は小さすぎて見つからないだろうという話になってる。でも技術が進めばそのうち他宇宙にいけるといいなと思ってる。素粒子になる以外の方法で。
わけのわからない話を展開して申し訳ありません(陳謝。
一応夕方屋の話は追って本編外伝で旅するベスさんと夕方屋の話をしようかなと思っている、そのうち。
次回予告だけどどうしようかな。短編をぽちぽちあげてるのでそれに関して書いてみるかどうか。有力なのは荊軻かなぁ。ちょっと考えてみます。
今後ともお読みいただけるととても嬉しいです♪