海の危険、離岸流とかテトラポットとか

文字数 2,746文字

いつもお読みいただきありがとうございます。

今日は「第三章 5本の腕と向日葵のかけら」の8話目に絡めて、「海の危険、離岸流とかテトラポットとか」について書いてみたい思います。今回もなんとなくいいネタが思いつかなくて。蛇は最終話に回すので。


海といえばマリンスポーツ!

神津市にも神津海水浴場という白砂の海水浴場を設定しているので、そのうち水着回とか作りたいと思ってる。今は遠景から見えるだけだけど、その近くのハーバーポートはイメージ的に門司港とか赤レンガ倉庫とかそんな感じなので、そのうちイイ雰囲気の話に使いたいな。

イイ雰囲気で浮かぶのがいないのが問題だが。

今年の夏こそ彼氏をゲットするぜ!
……えーと、とりあえず離岸流の話から行こうか。

寄せては返す波のように、という歌があった気がするが、波ってのは行ったり来たりしているわけじゃないんだ。対流してる。

まず岸にやってくる波、この流れを向岸流という。それでやってきた波が砂浜沿いに横に流れるのが並岸流、そして砂浜から海に戻っていくのが離岸流だ。

ナナオさんはサーフィンとかするかな?

やってみたいとは思うんだけど、ちょっとハードルが高いな。シュノーケルとかならある。
あーサーフィンはボードとかウェットスーツとかいろいろ用意があるならね。まあTemppは海が怖いから基本的にはいかないんだけど興味は少しだけある。

それでサーフィンする時に離岸流を利用することがある。離岸流っていうのはかなり力が強い流れだからその力を利用して沖まで出るんだよ。

へー、結構便利なんだな。
サーフィンやるには便利なんだろうね。ただ基本的には近寄らない方がいい。たまに浜から沖に浮き輪とか流れていく現象を見たことあるかな。あれが離岸流。もし見かけたら、絶対追いかけちゃダメだ。死ねる。

昭和30年に橋北中学校水難事件っていうのがあって、水泳訓練中の事故で、100名近くの生徒がおそらく離岸流にはまって一斉に溺れて36名が亡くなった。

離岸流は秒速1メートルに達することがあって、直進で戻ろうとしても絶対無理。万一巻き込まれた場合は離岸流から出ることを第一にする。離岸流から外れると基本的には向岸流だから。なので、巻き込まれたら泳ぎがうまい人は斜め45度の角度、そうじゃなければ真横に泳いで流から出てから岸に向かうのがいい。

これは特殊な海岸の話ではなくて、遠浅、つまり普通の海水浴場で起こりうる事故なんだ。

超こえぇ。それどうやったら防げるのさ? 波なんてわかんねえぞ。
意外とよく見ればわかるよ。離岸流が出てるあたりは少し泡立ってたり不自然に波が途切れていたり、流れが違うから色味が少し違って見えたりする。

慣れれば見分けは簡単じゃないかな。だから海水浴場に行ったら最初にこれを確認すべき。

サンゴ礁とかに多いんだけど、海底地形によって離岸流が発生しやすい場所ってのもある。そういうところは離岸堤とかTバーとか、構造物が設置されてるところも多い。

あと、防波堤に沿って離岸流が発生することも多い。向岸流がそのまま防波堤にあたって沖に帰っていくんだな。

あー、たまに防波堤で釣りしている人を見るが、肝が冷える。防波堤から落ちたら下は離岸流の可能性が高くて、防波堤には捕まるところなんてなにもないから、あっという間に沖合に流される可能性がある。だから防波堤で釣りをするときはライフジャケットがマスト。ないと死ぬよ?

あんまり着ている人を見ないけど、危険は認識されてないんだろうな。

なにそれ怖い。
もう一つ怖いのがテトラポッドなんだよな。テトラポッドというのは本当は商品名で、消波ブロックというのが正式な分類なのかな。

英語では普通にテトラポッドなんだが、日本だとテトラポッドは不動テトラという会社が商標登録してる。四つ足のやつだが、消波ブロックというとかならずしも四つ足だけではなくて、ブロック型のとかいろいろある。よくみるのは四つ足のだけど。

これはなんのためにあるかというと、河川の3作用って覚えているかな?

侵食、運搬、堆積?
そうそう、その浸食作用。波によって岸が侵食しないように置かれるのが消波ブロックだ。

もともとは河川の運搬、堆積作用で川から土砂が運ばれてきてたから均衡がある程度保たれていたんだけど、戦後になってダムができたり川が舗装されると海に土が流れ込まなくなった。そうすると波で削れるばかりなので、消波ブロックを置いて波の作用を減衰、拡散させたんだ。

オカ板とかでテトラポッド危険説が流れて結構経つけど、物理的に考えてもやっぱりやばそう。

それでテトラポッドってあの変な形で波の流れを変えて減衰するわけで、テトラポッドが積まれた内部は流れが複雑になっている。

おそらくあの中に入ると自由に動くのも難しいし、狭いし出られないんじゃないかな。多分、テトラポッドで死ぬのはかなり苦しいぞ。

海上保安庁の機関紙とかでも結構な頻度でテトラポッドからの落下死亡事故の報告が上がってる。

だからテトラポッドでの釣りはお勧めしない。釣りって結構体制崩れるよな?

そんで離岸堤の話に戻るが、離岸堤の構造物はテトラポッドであることも多い。

流れてテトラポッドに巻き込まれるとか、恐怖にしか思えない。だから離岸堤のあるあたりの海は近づきたくないな。

海怖くなってきた。
まあ、普通に遊ぶには大丈夫じゃないかな?

じゃあ最後に津波の話。

津波っていうのは波という字がついてるけど、実態は波と随分違う。

そうだな、たとえば10メートルの津波が来てるとする。これは10メートルがペラっときてるんじゃなく、高さ10メートルの水の塊がが押し寄せてきている。

水の塊?
ところてんを思い浮かべるといいのかな、一波超える、とかじゃなくて延々と同じ高さの水が押し寄せてくる。

その結果、普通の波なら溺死ですむところがすまなくなる。

波と違って津波は体積を持つんだ。引き波の時は津波に飲み込まれた構造物と一緒に引き込まれる。車とか、家とか。だから津波の中はすごいエネルギーとともに色々な物体が攪拌される。だから外傷が酷い。

大船渡市にある「明治三陸大津波伝承碑」に 「死者は頭脳を砕き、あるいは手を抜き足を折り、実に名状すべからず」 、「頭足、所を異にするに至りては惨の最も惨たるものなり」という記録がある。

だから、大地震が起こったら、なにを置いても海から離れましょう。

山も山で危険は多いんだけど、Tempp的には海の方が怖いな。

そんなわけで次回予告です。

次の備忘は最終話12話とともに、蛇についての話題です。

えーと、三章8話目というと変態怪異にタゲられるところか。この後も藤友君の拗れた考察厨ぷりが発揮されて、変態と対峙する話になりますが、お読みいただけると嬉しいです。

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登場人物紹介

東矢一人。新谷坂高校の寮に住む。

1年の春、新谷坂山の怪異の封印を解いてしまい、再封印のために散らばった怪異を追う。

作中ではイラストよりもう少し存在感薄いイメージ。

ナナオさん。本名は末井奈也尾。

作中では髪はアップにしている。

にぎやかしと友情担当。

ギャルっぽいなりだが人情に熱く、困った人を放っておけない。

黒猫のニヤ。

新谷坂山の怪異を封印していた。

雨谷さん。雨谷かざり。

「雨谷かざりは同じ日をくり返す。」だけ登場予定。

藤友晴希

坂崎安離

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