AIはシンギュラリティを超えられるか、と次回予告
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いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今日のテーマは、「第五章 俺の日常と梅雨の幽霊」の最終話にあわせて『シンギュラリティ』についてちょっとかきます。
この5章でアイちゃんがシンギュラリティを超えたかというのはご想像にお任せするところではありますが、Temppの頭の中では超えたかどうかの想定は一応ある。こういうぬるぬるした終わり方って受けるのかな、よくわからないな。
シンギュラリティというのはなんだか最近流行っている言葉のように感じるけど、その意味合いはなんでしょう?
今日は技術的特異点という方向の特異点の話だ。
AIとディープラーニングの話は前回やったが、あれを進めていくと、いつか人を超える知性がAIから生まれるのではないかという話がSFで話題になった。
カーツワイルさんが主張した収穫加速の法律っていうのがある。技術革新の場面においての話だが、簡単に言うと次の技術の改革までの時間はどんどん短くなっていくというものだ。
産業革命がおこるまで、人々は多少の工夫はあれども長らく同じような暮らしを送っていた。ところが18世紀から始まった蒸気期間による工業の発展によって著しい社会構造の変革が行われた。それからの技術の革新の歴史は著しく、電気・石油を媒体とした19世紀の第二次産業革命、そして20世紀から始まる原子力エネルギー、AI技術等の情報技術革命による第三次産業革命を経て、現在は第四次産業革命のさなかにあるといわれている。
そこで2045年問題というのがある。
なんでかっていうと、前回の話でAIは人間の神経機能をベースに構築されていてパーセプトロン(人口シナプス)という神経を模倣した回路を拡張していく、っていう話をしたんだけど、現在その重層・複層化が進んでいてパーセプトロンのひと固まりがすごく大きくなってるんだわ。簡単に言うと、現在進行形で鼠算式に増えている。で、人間の脳細胞ってのは100兆個のシナプスでできているのでこれを超えるのが2045年。さらにがリスさんっていう人は、21世紀の後半にはAIは人間の10の24乗倍の計算能力になるといわれている。Siriさんも年々賢くなってウィットにとんだトークしてくるだろ?
そういえば、外形と言う話に区切れば人と機械の区別はつかなくなると思う。
数学者のチューリングさんが作ったチューリングテストっていうのがあって、これはAIが色々質問を受けて回答するんだけど、AIが人間的な振る舞いが可能かというテストだ。あくまで「振る舞い」であって、自律型思考というか「心」を持っているかを診断するものではない。あくまで外形。
審査員が一人の人間と1つのプログラムに対して話をする。それで人間もプログラムも審査員に人間と思われるように話をして、プログラムの方が人間だと思われれば合格(合格ってよくわからないな)っていう。このテスト自体は色々条件設定とかで疑義はあるんだけど、それでも人とAIの区別ってのは年々曖昧になっていく。あくまで「ふり」だが、人間がAIと人間を区別できなくなる時代は思っているよりは随分近い。
さて、本題だ。機械と人は何が違うと思う?以下は、Temppの妄言を多分に含むので、あまり真面目に受け止めてほしくない気持ちもあるのだけど、「シンギュラリティによってAIが心を持つ存在になるかどうか」という観点のお話をしたいな。
2045年問題からインスパイアされたSF、例えばターミ★ーターとかのディストピアものは、人間の意思とAIの意思が乖離することによって人間がAIの支配下に置かれる、又はAIが人間を虐殺しないかという心配をしている。
シンギュラリティが来る派の人と来ない派の人がいる。
シンギュラリティが来ないと主張する人の論は、結局のところAIはビッグデータを処理するための計算機にすぎなくて、もともとのアルゴリズムから抜け出せないというパターンが多い。例えば前回書いたRNNによって、ビッグデータからAIが新聞を書いたりすることは将来できるようになると思うんだけど、それがAI自身の意思に基づくものかといえばそうではなく、ただ無作為の言葉の羅列をデータに従って打ち出してるだけだという。
Temppも実際、「シンギュラリティによってAIが心を持つ存在になるかどうか」という意味では否定派かな、やっぱりどこまでいっても想定された設定から抜け出せないと思う。
でも、人間を超える人工知能が人間を管理したり虐殺したりする未来は十分ありえる。それは何故かというと将来的にそういう指向性を持つアルゴリズムを作ればいい。そうすれば、人工知能は心を持たないまま人を管理し虐殺する。それは別におかしなことじゃなくて、普通の人の行為の延長。シンギュラリティ賛成派は何故かAIのせいにしたがる人が多い気がするが、もともとプログラムを組んだ奴の問題じゃないかなと思う。だからロボット三原則とかは必須なんだよな、多分。この辺までくると人間工学の話になるな。
で、またまぜっかえすけど、AIが心を持つにはどうしたらいいと思う?
現在、脳の働きというのは完全に解析されていない。だから定義づけはできない。
仮にこれが全て詳らかになるのであれば、同じ人間を複製できるはずだ。そしてこれができるようになれば、電脳世界にDIVEできるはず。まあそれはそれで電脳上の人間と肉体を持つ人間は同じかとか、肉体の方の心はあえて消去しないと同じ人間が増殖していくとか言う論争は巻き起こるんだろうけど。
Tempp的には電脳世界にDIVEしたいので、魂なんてないほうがいいな、と思っている。そんな外部データの紐づけが必要なら体から離れられないじゃないか。魂が復元可能なデータならアリかもしれないが。
ひょっとしたら脳を解析できるころには本当にあの世とかイデアとか精神世界とかの存在が立証されてるのかもしれないが、そんな遠い未来の話はしても仕方がない。
ちなみに昔、人が死んだときに21g減るってマクドゥーガルさんっていうお医者さんが主張したんだけど、実際は母数も少ないし計測方法も残念だし、最終的にこのお医者さんはアチラの世界的な主張を始めてしまうので今は残念な人と認識されている。でもこの21gからインスパイアされた「21g」という2014年の映画がある。映画は群像劇として普通に面白い。この映画の監督さんはアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥという長い名前の人だが、この監督さんの映画は色々示唆にとむものが多いです。
人間と言うのは自分の価値判断の積み重ねで指向性を出しているだけのゆらぎがひたすら大きい生き物というだけな気がする。2つ前のリバタリアンパターナリズムで書いた通り、人間を誘導することはおそらくそれほど難しくない。SFの管理社会って、より良き社会に誘導しようとするのが人なのかAIなのかっていうだけなのじゃないかなぁ。そもそも個人が完全な自由意思を持っているなんてすでに誰も思ってないよね。リバタリアニズムが一周回って人間を誘導すべきクラスタとしか見てないことは矛盾過ぎて面白い。
さて、本編に戻ると、ようするにAIが心を有するためには、そもそも心が何かを解析して定義づけできないといけない。そこでアイちゃんは作中で書いてある範囲でも少なくとも40名分のフルデータを入手している。ビッグデータの解析はAIの得意分野だ。さらに東矢君によってルバーブタルトとナナオさんという独自の指向性を示唆された。これをRNNによって解析して、シンギュラリティを超えられたのかな、それは、ご想像にお任せ。という方向で放置します。そっちの方が夢があるじゃない?
さて事前にエブリスタのつぶやきとかには告知していたんだけど、東矢君と藤友君がお友達になるまでで第1部は完。第2部は1か月休載をして12/15から始めたいと思ってる。その間にもよくわからない短編はぽつぽつUPするかもしれないけど、連載については休止。
休載後に予定している連載は下記のとおり。
・外伝 なんか絆っぽい中編(まだ降ってきてないよ)
・外伝 叫ぶ家と物憂げな殺人鬼(仮 登場:藤友君ソロ
・6章 小さいさんの贈り物(仮 登場:東矢君+α 書き途中
・7章 夏休み回 多分東矢君一人ソロキャン+α 登場:わりとオムニバスっぽいイメージ
・8章 グルメ+人的恋愛回 登場:いつものメンバー+グウェイ
を予定しています。
連載再開後もお読みいただけると嬉しいです♪