ヘビ毒とヘビの生態、と次回予告
文字数 2,519文字
今日は「第三章 5本の腕と向日葵のかけら」の12話目に合わせて、「ヘビ毒とヘビの生態、と次回予告」について書いてみたい思います。今回の怪異は蛇なのでまあ、蛇の話でもいれておこうかと。
ただ2パターンあって、身を守るための毒と狩りをするための毒だな。
基本的には毒はpoison、つまりポイズン と呼ばれるが、生物由来のものはtoxin、トキシン、その中でもハチ、ヘビが典型の後者の毒腺で作られるようなものは特にvenom、ヴェノムと呼ばれる。Wikiを見ると少し違う書き方がされているので、分類方法は色々あるのかもしれない。
フグとかヤドクガエルとか貝毒とか、自分の身を守るための毒を持つやつらは自分で毒を生成しているんではなくて、自然界の有毒なバクテリアやプランクトンを食べて生物濃縮させているパターンが圧倒的に多いと思う。フグの毒は体内で発生しているが、これもバクテリアが二次生成してるだけだからフグ自体が毒を作ってるわけじゃない。だから養殖の無菌のフグは毒を持たない。
たとえばテトロドトキシンは神経とか筋肉を動かすナトリウムチャネルというのに結合して、本来流れるべき信号を阻害する。ところが、フグはこの受容体がテトロドトキシンに反応しにくいように進化した。あ、ただ反応しにくくしてるだけで、フグでも高濃度のテトロドトキシンにつけると死ぬけど。
基本的にトキシンのやつらは他人の受容体には効果はあるけど自分には反応しないようにする、という進化かな。
蛇なら必ず持っているものではなくて、ボア亜科、ニシキヘビ科、マムシヘビ亜科だけ持っている。
神経毒は神経伝達を遮断するんだ。そうすると筋肉が動かなくなって、呼吸とか心臓も止まるから死ぬ。致死性は結構高い。速やかに体内に浸透する。だから速攻救急車呼ぶしかない。コブラとかは神経毒がメインだな。
一方、出血毒は痛い。簡単に言うと分解酵素で獲物の血中タンパク質を分解して、細胞を破壊して血を止まらなくする。溶かすというイメージが適切かな。死ぬ確率は神経毒より低いんだが、筋肉も壊死するし高度障害が残ることが多い。日本にいるマムシとかハブ、ガラガラヘビの毒がこっち傾向。
そういえばヤマカガシという蛇は昔は毒がないといわれていたが、毒があるから近づいちゃだめだよ。というか、そもそも普通の人に蛇の種類なんて見分けられないから、蛇に近づいちゃだめ。
蛇に特徴的な期間というと、あとはヤコプソン器官かな。蛇って二股の舌を出してチョロチョロしてるでしょう? あれは舌で臭いを嗅いでるんだ。二股にわかれてるのは、目が2つあるのと同じように方向を時間差で確認するためらしい。それで大気中の化学物質を舌で捕獲して口の中にある鋤鼻器にくっつけて判断する。でも厳密には複嗅覚といって嗅覚とは違うみたいなんだけど、蛇の主嗅覚はフェロモン受容体のようだから、ヤコプソン器官が嗅覚っていってもいいのかな。
ヤコプソン器官は進化の過程で哺乳類ではフェロモン受容体になったみたいだね。
ちなみにい蛇は視覚は全然ない。ただ聴覚が優れている。鼓膜はないんだけど、体表面の振動でかなり敏感に察知してるっぽい。骨伝導みたいなかんじかな。