口裂け女は現代日本で生きていけるか
文字数 3,434文字
今回のテーマは『口裂け女』です。
連載中の『不運な俺と首狩り魔人』で、ちょくちょく例に出しているので、なんか書いてみたいと思います。
なお、作中の都市伝説感は、勝手に作った空想科学都市伝説なので、あまり本気にされないでください。
でもTempp だってリアルタイムに知ってるわけじゃないからな? 念のため。
いわゆる「口裂け女」の始まりは1978年末の岐阜が発祥とされている。
今では通学路とか路地とかで待ち受けていそうなイメージだが、最初の事件は農家のばあちゃんが家から離れのトイレに行く時に見かけたってのがあらましで、これが岐阜新聞にのった。昔のトイレは家の外にあったんだよな。
どういう報道だったのかは気になる。事件欄なのかゴシップ欄なのか。
でも口裂け女の面白いところは、比類なきリバイバル性だと思う。
ナナオさんはこのころの都市伝説って他に何か知ってる?
ちなみにこの映画は、ちょっとした違和感というものがいかに気持ち悪いかっていう点で、昔の映画という点を了承いただければ、ホラー映画好きには結構お勧めできる。
ちなみにTemppは人面犬が最初に発見されたと言われてる中野の路地に行ったことがある。中野通りっていう結構大きい道路とサンモールっていう商店街に挟まれた短い路地で、薄暗さはかけらもなかった。昔このあたりに「中野武蔵野館」っていう映画館があって、そこで「ボディ・スナッチャー」やってたとしたら、やっぱり映画を見た酔っ払いが見間違えたんじゃないかな。
と、話を戻すと、口裂け女のリバイバル性だ。口裂け女の話が大規模に広がったのは先の1979年だが、その後も折をみて噂が復活している。しかも時代に合わせたバリエーションをつけながら。
口裂け女のベーシックストーリーは、マスクをつけた女が「わたしきれい?」って聞いてきて、きれいって答えたら口裂け女はマスクを外す。そうすると口が裂けてて、口裂け女にハサミで口を裂かれるってパターン。
これに、口が裂けた理由として整形手術の失敗ってのが加わったのが1990年代。
1979年頃は整形手術って知られてなかったから存在しなかったのを、1990年ごろの整形手術への不安とか反発とかを取り込んで、新しい理由づけになった。
つまり口裂け女は流行を取り込んだんだ。
さっき上がったトイレの花子さんも似た系統ではある。友達妖怪とかいろいろなバリエーションがあるし、最近は男子バージョンもあるらしい。小学校っていう舞台と子供の発想の豊かさから、どんどん新しい噂が誕生するんだ。荒唐無稽でも子供は気にしないからな。でも場面が学校に限定されるから社会に広がるのは難しいし、今のトイレは明るくて綺麗だから、今後はなかなか難しいかもしれない。
普通に事件としてもあり得るよね。不審者とか異常者とかリアルに存在しえるから、長年ありうるうわさとして存在しえたんだと思う。
空想科学都市伝説でかいてみた、実在性というか。結構突拍子もない設定を付け加えてみてもありえると思えてしまうところとか。
ああ、限界値が6話ででてきた『口裂け女はかかと落とししながら斧を投げてきたりしない』ってやつか。
確かにそこまでいくとないだろと思うけど、包丁もってたり首を切ったあと口を裂くとか、いくらでもバリエーションはできそうだなぁ、怖ぇぇ。
でも最近はあんまり聞かないぞ。もう廃れたんじゃないの?だから今の口裂け女は別の方向で草の根活動をしている。
しかもメリーさんは2017年、かしまさん2は2018年の最近の話だ。
ちなみに面白いかというとどれも微妙なとこだが。
あと海外展開もしてる。2019年の秋「ゴーストマスク〜傷〜」ていう口裂け女モチーフの韓国映画が上映された、見てないから見たい。2014年だが「口裂け女in LA」ってのもある。こっちは何が何だかよくわからん映画だったがジャケは怖い。
でも最近の都市伝説感からは離れて来てるから、そろそろリアルでは廃れる気もする。
ところでナナオさんは、最近の都市伝説って何が思い浮かぶ?
知らない女に話しかけられて応答するところから始まるだろ? ところが今の子供は知らない人に話しかけないし話しかけられたら逃げるように指導されてる。きれいもなにもないな。会話が始まらん。
それに今は着信アリとか前に流行った呪いのチェンメとかのキャラクターがないのも台頭してる。電話系はメリーさんに先取りされてるしな。
だからこそ、電脳空間にダイブする方式でパラダイムシフトをしてもらえると面白いんだが。他の怪異とのメディアミックスでドリームチームを作るとか。口裂け女にも頑張ってほしい。なんだろう、この非現実の更なる非現実化というカオスな感じ。