Valentine

文字数 579文字

ねえ、アラン君。
豚のイメージって、どんな感じ?
豚……ですか? 
臭くて、どんくさくて、太っているイメージですかね。
綺麗好きとも聞きますが、いまいちピンと来ませんし。
ま、匂いってのは生物の種によって好き嫌いがあるしね。
どんくさいって言うのは微妙だけど。
人間が飼い慣らしたとは言え、元は猪なんだし。
それと、体脂肪率で言えば豚は太っていないよ? 
考えてもみなよ、脂身ばかりの豚肉なんて、体に悪そうで好まれないでしょ。
確かに……猪は突進されたら危ないですし、好みはあれど脂身ばかりというのは体に悪そうです。
でしょ? 
それに、雌豚限定だけど、高級食材を探すのに使えるし。
ま、ただ単に雄を求めているだけとも言えるけど。
 
ま、三大珍味なら、僕はサメの卵の方が好きだな。
トリュフなんて、菌類だし?
ニコライは内ポケットに手を入れた。彼は、内ポケットから小さな箱を取り出すとアランに手渡し、微笑みながら言葉を紡ぐ。
でも、トリュフチョコは別。
美味しいから、試してみてよ。
一個だけしかあげないけど。
お気遣い、ありがとうございます。
そう言えば……極東のある国では、バレンタインにチョコを送って告白する風習があるんだって。
それを、君がどう受け取るかは自由だよ? 
それじゃ。
ニコライは、そう言い残すとアランの前から立ち去った。一方、アランは渡された小箱を見下ろし、暫くの間動くことは無かった
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登場人物紹介

ニコライ
ぶっとんだ猫好き

アラン
ニコライに振り回される雇われ

みゃーたん
ニコライに溺愛されるロシアンブルー。
つやっつや。

iCAT
猫三昧出来る素敵端末。
猫耳カバー付き。

ヴィエーリャ
 
ニコライの妹。
いわゆるギーク。

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