猫は癒し
文字数 625文字
笑みを浮かべると、ニコライはアランに一冊の本を手渡した。その本の表紙には、腹を上に向けて寝る猫の写真が印刷されている。
可愛い動物には癒やされるものなんだよアラン君。
それに、猫を可愛いと思う気持ちに、年齢や性別は関係ない。
そして、写真よりも本物の方がずっと可愛い。
だからさ、アラン君。
僕はある提案をしたいんだ。
施設内に軽食をとれる部屋を作る。
そして、その部屋では猫が自由にしているんだ。
勿論、人間が好きな猫ばかりを選んで自由にさせておく。
その部屋では、何をおいても猫が優先される。
撫でろと要求されれば撫で、寝た猫を起こすのは厳禁。
だって、猫は自由に振る舞ってこそ可愛いでしょ?
手を伸ばし、ニコライはアランに渡した本を掴んで引き寄せる。
ニコライは、そう言うや否や立ち去った。唐突に残されたアランは呆けた表情で、ニコライの背中を見送っている――