猫は癒し

文字数 625文字

ここまで来たってことは、手紙を読んでくれたんだね。

そして、君は少なからず興味を持った。
隔離されたこの施設、そう……この閉鎖空間で、どうやってストレスを和らげるかってことに。

笑みを浮かべると、ニコライはアランに一冊の本を手渡した。その本の表紙には、腹を上に向けて寝る猫の写真が印刷されている。

中を覗いてみてよ、アラン君。

それだけでも癒やさるでしょ?

はい。

やはり、可愛い動物は見ているだけで癒やされますね。

いい年した男が、可愛いと発言するのは変かもしれませんが。

可愛い動物には癒やされるものなんだよアラン君。

それに、猫を可愛いと思う気持ちに、年齢や性別は関係ない。
そして、写真よりも本物の方がずっと可愛い。

だからさ、アラン君。

僕はある提案をしたいんだ。

施設内に軽食をとれる部屋を作る。

そして、その部屋では猫が自由にしているんだ。

勿論、人間が好きな猫ばかりを選んで自由にさせておく。
その部屋では、何をおいても猫が優先される。

撫でろと要求されれば撫で、寝た猫を起こすのは厳禁。

だって、猫は自由に振る舞ってこそ可愛いでしょ?

……ええ、そうですね。

良かった、アラン君が同意してくれて。

まあ、猫は何をしていたって可愛いんだけどね。

手を伸ばし、ニコライはアランに渡した本を掴んで引き寄せる。

これは私物だから返してもらうよ? 

詳しいことが決まったらまた連絡する。

ニコライは、そう言うや否や立ち去った。唐突に残されたアランは呆けた表情で、ニコライの背中を見送っている――
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登場人物紹介

ニコライ
ぶっとんだ猫好き

アラン
ニコライに振り回される雇われ

みゃーたん
ニコライに溺愛されるロシアンブルー。
つやっつや。

iCAT
猫三昧出来る素敵端末。
猫耳カバー付き。

ヴィエーリャ
 
ニコライの妹。
いわゆるギーク。

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