第20話:勝男の就職活動と内定

文字数 1,732文字

 その後、K薬品へ行くと千葉大学理学部 数学・情報数理学科と聞くと就職担当者の大仁猛夫さんが、興味を持ってくれた。製薬企業では、統計処理の専門家が欲しいと考えていたと語った。大学で数理統計学、プログラム、情報数学も勉強してきたというと興味を持ってくれた。

 そのせいか、その担当者が名刺をくれ、そう言う人材が、欲しいと語った。そして、そのためには、弊社の福利厚生は、素晴らしいと言い安価で、独身寮、家族寮も用意していると熱心に語った。決して悪いようにはしないから我が社で、新しいことに挑戦して欲しい。

 そのためには、破格の条件を出すと言い肩をたたいた。確かに新しい仕事は、面白いかもしれないと、彼に話には興味を持った。実家に帰りK薬品に就職を前提としたアルバイトがしたいと言うと8月10~24日、松本の独身寮を貸すから是非、来て欲しいと言われた。

 それに同意し、8月9日の晩、松本駅に着くと就職担当者の大仁猛夫さんが、迎えに来てくれた。翌日、本社の統計処理の専門家に面会して話を聞くと統計の仕事は、以前の販売状況から薬品の製造量の予測の話。この程度なら、たいした事はないと感じた。

 次に面会したのは、製造課の部長で効率的な生産の方法だった。これなら支払う給料と生産して得られる純利益を計算すればわかり高度な計算ではない。最後に市場のニーズを予測し、それに会わせた効率的生産を目指すための理想的な生産方法が知りたいと言った。

 これに対し、むしろニーズの適格性の方が重要だと感じた。その後、開発の上司と話をしに行くと求められる新薬の話だったが、内心、神のみぞ知るとつぶやいた。これも市場のニーズを把握する事が重要であり、統計は、補助手段でしかないと感じた。

 結局、興味のあるテーマの仕事はなかった。しかし、就職担当者は、大学院生と同等の待遇で厚遇するから、新しいアイディアを出してもらいた。そして、今までにない新製品の開発、または、従来商品の新しい使用方法の開拓をお願いしたい熱く語った。

 それを聞いて、如月勝男が、社宅を無償提供してくれたら考えますと、笑いながら言うと解りましたと告げた。車も社用車を無償で使えるようにしますと答えたので驚いた。これを聞いて、できるところまで、やってみるかと言う気になってきた。

 最後に御社で、用意してくれる最高の条件を聞かせてもらい判断しますと答えて研修を終えた。9月になってK薬品の就職担当者、大仁猛夫さんから勝男に電話が入り寮と車の費用を特別手当分で支払える様にして初任給も大学院卒と同等の最高給で迎えると言ってくれた。

 それを聞いて就職しますので内定書を送って欲しいというと早速手配しますと言ってくれた。この話を両親にすると、喜んでくれ、そのうち信州に遊びに行きますからと言った。海外では、2014年3月、西アフリカのエボラ出血熱感染拡大した。

 ギニア政府が、「最初の患者が2月に確認され、既に59人が死亡した」と発表し世界中に知れわたった。瞬く間に国境を越え隣国のシエラレオネ、リベリアに飛び火。世界保健機関「WHO」は12月に入り死者は6千人を超えたと発表。感染者は2万人に迫ろうとしている。

 感染は10月になってアフリカ大陸以外にも広がり、スペインや米国で隔離治療が相次いだ。パニックに近い過剰反応もみられたが、欧米では大半が完治。日本でも西アフリカからの帰国者が隔離されたものの感染はしていなかった。

 という事で、日本では対岸の火事として済まされたが、今後、この様な感染症については、増えていくだろうと如月夫妻は、感じた。2014年4月から如月勝男は、K薬品の業務管理課に主任待遇で配属された。

 6月、イスラム過激組織「イラク・シリアのイスラム国」が、第2の都市モスルを制圧し指導者のバグダディ容疑者をカリフとする「イスラム国」の樹立を宣言。シリア内戦でアサド政権の統治が及ばない北東部やイラクの北西部で活動し少数派や他宗派の迫害の残虐行為を続けた。

 2014年8月、米軍は、イラク領内でイスラム国を標的とした空爆を開始。オバマ政権は、有志連合を形成し9月に開始したシリア空爆にはサウジアラビアなどの中東諸国も加わった。
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