(一)

文字数 971文字

 私は二人に両手を取られ、引きずられるように奥の部屋の連れて来られた。そこは打ちっ放しのコンクリのような床と壁に、ベッドとそれを覆うような白い傘と撮影用の機材が置いてあるという場所だった。
「おい、何をする心算だ!」
 私の問いに、例の社長が私の横で、嬉しそうに説明しだした。
「折角、遊びにいらしたんだ、あなたも女の子なら、モデルみたいにカメラに写されたいでしょう? あなたのビデオを撮って差し上げようっていうんですよ。いいでしょう? 差し詰めタイトルは、『凌辱、現役女子高生、集団レイプ現場』ってとこでしょうかね」
 その時、ここの社員に一人が社長に私のカバンを持って近づいてきた。
「社長、ありましたぜ、生徒手帳、それも写真入り」
 社員が取り出したのは私の生徒手帳だった。社員はそれを社長に手渡した。
「いいですね。これ、これ。これがあると、ビデオが何倍にも値が上がるんですよ。是非パッケージのデザインに使わせて貰いましょうね」
「ふざけるな! 警察に訴えてやるぞ!」
「止めて下さいよ、そんなことしたら、あなたも私もお互いに破滅ですよ。
 いいですか? 私はあなたのビデオを一般ルートの販売や、ネット販売なんかしないんです。一部の金持ちの変態社長や重役に無修正で高く売るんですよ。彼らの変態ぶりは素晴らしいですね。娘どころか孫娘の歳の少女が、無理やり犯される所を見て悦に浸っているんですからね。
 彼らも私どもも、これが非合法と云うことを知っています。ですから、これを外に出すことなど決して致しません。そういう意味ではあなたの秘密は100パーセント守られます。ご安心ください。
 ですが、もし警察に通報されるようなことがあると、私どもがしなくともお客さまが報復にネットに流すかも知れませんし、警察に没収の後、誰かが公にしないとも限りません。そうなったら、あなたの明るい未来にも、少なからず影が差すと思いますよ」
 私は言葉を失った。そして抵抗する気力も萎えてくる。
「仕方ないじゃないか。もう逃げられないんだ。抵抗したって同じだ。乱暴されたり殴られたりしたら痛いだけじゃないか。ここで奴らのすることを暫く我慢していれば、誰にもバレやしない。ちょっと運悪く犬に噛まれたと思えばいいじゃないか」
 心の中の私が、お為ごかしに私を宥める。
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