クローン技術により、ニホンオオカミが復活したもう一つの日本。そして、予期せぬ副産物として生まれたもう一つの「狼」。

with Object-Limited Viruses：通称wO-LVes

「物質にだけ感染し、特殊な作用を引き起こす」ウイルスを持ってしまった彼らは、現代の人間狼として、顔も身分も隠し、国や自治体の要請で様々な現場に派遣されることと引き換えに日常の平穏を与えられていた。
４月のある日、ガウスこと絵馬深夜は銀行強盗犯、箙司馬（えびらしば）を斃す。しかしそれは、司馬自身により計算されたシナリオだった。
かろうじて保たれていたバランスは、この日からまた狂いだす……。

※時系列としては、〝Ｅｓ　ｉｓｔ　Ｋａｉｎ！〟の二年後になりますが、それぞれ独立した物語です。


　ほぼ現代（2018年現在）の日本、特に浅間山麓（軽井沢、御代田、佐久、小諸）が舞台です。技術水準もほぼ現代に準じます。
　ただし、クローン羊のドリー誕生が1996年、また、イヌ（オオカミ）のクローンは難しいらしいのと、そもそも剥製からのクローンは現時点でも研究段階のようですので、「1992年にニホンオオカミの剥製をもとにクローンオオカミが誕生した」という設定と、それにより「風が吹けば桶屋が儲かる」的にできた法律、協定などの部分で、現実との乖離があります。