第102悔 思い出のマーラー
文字数 1,850文字
第102悔 『思い出のマーラー』
ペニス型のプラグをヴァギナとアヌスに挿入されたイヴァノフは――下半身が丸出しの状態でありながら――毅然とした態度でもって、ファニチャードの手を引き三階席通路を北側の階段に向かって歩き出していた。
差し込まれた肉棒プラグのおかげで、あの変態仮面が残していった白い溶岩を子宮内にとどめることが出来る! 実際に、どんな子を妊娠したのかはイサベラ様のみぞ知る、だが、少なくとも今の私は性的に自由で、もはや無敵なのだ!
イヴァノフが胸中の自身の言葉に
しかし、気がかりなのは隣の少女の事だった。
イヴァノフは客席から議場出入口への階段まで来ると、慎重な言い回しで少女に尋ねた。
「ファニチャード……ふたりだけの秘密だ。正直に言ってくれ……何か変なことをされなかったか? 例えば……皇子とか……スピナッチやそのほかの大人たちに」
すると――実際にはそれらすべての人たちに変なことをされていた少女が――思いのほかキョトンとした表情で返した。
「エンリケさまに? いいえ、特に何も。どうかしまして?」
十一歳の少女に向かって、
「……いや……それなら良いんだが……」
改めてファニチャードの足もとを見ると、もう白濁液は垂れていなかった。
そして、「どちらかというと……わたしの方がエンリケさまに失礼してしまいましたの!」と笑いながら答えるファニチャードを見て――何もなかったのだ、と安心したのかイヴァノフは「そうかそうか」と少女の頭を撫でてから、ふたりで議場への階段を降り始めた。
中に出され慣れているファニチャードは、イヴァノフに余計な心配をかけまいと、股間に力を入れて“オアシス”の
一方――。
エンリケは円卓の司会席に腰を下ろしたものの、スピナッチもイヴァノフもファニチャードもクリストフも――ましてや一般招待枠のフェルディナンド・ボボンのことなど、もはや誰も覚えていないに違いなかった――まだ戻ってこないため、会議を再開させることが出来ず暇を持て余していた。
そこで、後悔皇子は――ルーム宮殿の中庭の池で釣り竿の糸を垂らすがごとく――暇つぶしに再びキュロットの裾から“十三センチ砲”を露出させてみた。
この空き時間にもう一度、獲物が食い付いてきたら
これには、空気の流れで察知したトスカネリも驚いた。
今まで考えたこともなかったが……どれほど絶倫なのだ、この青年は。何度だって起ちあがるではないか……。
その能力は――恐らくは生後間もなくから『
その模様を何やらしんみりとした様子で眺めていた後悔三銃士ロニーに、ノギナギータ・ソワルツが尋ねた。
「あのコ……どういうつもりだったのかしらね。急にエンリケ皇子に口奉仕を始めて……」
これに対し、
「もしかしたら……思い出していたのかも知れないですね、かつての恋人を……」
「恋人の……」とまで言うと、ノギナギータはそれまでにないロニーの落ち込みようを察して口をつぐんだ。
ソレは確かに似ていた――。
『エリクソンの大後悔』の前日、マウント・ノギ山頂の山小屋の入口に放置された下半身のない二つの遺体。
その一つであるキャスの恋人マーカス・ローマンの一物も、エンリケ後悔皇子と同じく十三・五センチ程度のささやかなモノであった。
彼のモノもしかし、それなりの硬度と連射性を誇り、それがマーカスの自慢の種でもあった。
タイタスの弟マーカスは、キャスと二人きりならどんな時でもその肉棒を露出して彼女を誘惑した。
たとえ外出中でも周りに誰もいないと見るや、股間から〈ポロリ〉と出してから、キャスの太ももや尻をソレで
すると、キャスには何らかの透明な分泌液が付着したが、彼女にはそれがとても愛おしく思えた。
彼女が酷い目に遭いながらも後悔三銃士を続ける理由がソレだった。
「かならずマーカスの失われた肉棒を探し出してみせる!」
第102悔 『思い出のマーラー』 おわり。:*+゜゜+*:.。.*:+☆