第33悔 激闘! マグアインブルグの恋人たち

文字数 1,804文字


 クリストフの声に肉棒の神の力が宿る。

 「さぁ、“無毛猫(ウー・マオ・マオ)”よ。貴様に()いた魔を(はら)ってやろう!」
 一歩一歩、“無毛猫”に近づくたびに、“妄夢(モゥム)”は高く、長く伸びた。

 クリストフと“妄夢”の儀式が始まろうとしていた。
 腰がしびれてしばらく動けそうにない“無毛猫”の頭髪を左手で(つか)み、無理やり股間に手繰り寄せるクリストフ。右手には握られた己自身が激しく脈動している。

 その“妄夢”を(にら)みつける“無毛猫”。
 
 ――ところがその時、クリストフは空前絶後の台詞(セリフ)を聞いた。

 「あれ? もしかして、クリストフ先輩?!」

 その声は、他ならぬ“無毛猫”から発せられていた。

 動揺して儀式を中々中断できないクリストフ。
 「え、ええい! 敬うがいい! 我が――」

 「先輩! あたしだよ、あたし! アンナマリアだよ!」
 そう言うと“無毛猫”は、目隠しを外して素顔を(さら)した。

 何と言う事だろう! 
 ――“無毛猫(ウー・マオ・マオ)”は、あの子だった!
 
 「悪魔よ、滅っ――って、どうして僕だって分かったの?」
 神のいたずらのような偶然に手が震えだしたクリストフは後退(あとずさ)りし、念の為に確認した。

 「だって、クリストフ先輩ったらこの前、カフェで魔羅(マーラ)を出したりしまったりしてたから……覚えちゃったのかな/// 暗いから近くで見るまで気づかなかった!」と膝を抱えて座りなおしたアンナマリアがあっけらかんと話す。

 逡巡(しゅんじゅん)していたあの時! 僕は実際に出していたのか? すでに“妄夢”に乗っ取られていたんだ! そうか! だから急に気まずそうに「学校だ」とか言って行ってしまったのか……。

 「改めて見ると……先輩のすっごく()っきいね! ホント、お世辞じゃないよ!」とアンナマリアが言うと、クリストフは顔を赤らめ「そ、そうかな? 普通だと思うけど……」と謙遜(けんそん)しながら仮面を外した。

 「あ、あのさ!」とクリストフが続ける。
 「あの、あそこのマントの裏側だけど……」と、地面に脱がれた陰茎(いんけい)コレクションマントを指さす。

 「あ、あれね! も、もちろん造り物! 本物は二、三本しかないよ! あたし、学校で教えてもらって、ああいう造り物も得意だから」とアンナマリア。

 「そ、そうか! 良かったぁ」と安堵(あんど)するクリストフ。
 「しかし、衣装のセンスが似てるよね、僕たち」

 「だね! これ、三日三晩かかったんだよ」と彼女。続けて「あとね、絶体絶命の時の超必殺技も実は用意してあったんだぁ!」と告白する。

 なんて素直でかわいい子なんだろう! それに気が合う!
 クリストフは心底感動し、“妄夢”はさらに(たけ)り続けた。

 「どんな感じのヤツなの?」とクリストフが(たず)ねると意外な言葉が返って来た。

 「じゃあさ、先輩! まだ戦っているっていう“状況”に入って……さっきの続き、やってみない?」と“無毛猫”の中の人。

 「え!」とうれしい悲鳴を上げるクリストフは「でも、あそこから逆転できる~?」とわざと揶揄(からか)い疑ってみせる。

 「出来るの! まだ人には試したことないけど……きっと、先輩ビックリすると思う!」

 「よし! じゃあ……やるぞ!」、「うん!」と言うと二人は仮面を被りなおした。

 
 無毛猫(ウー・マオ・マオ)は腰を打って動けない。絶体絶命だ。

 〈ガシッ!〉と無毛猫の頭を鷲掴(わしづか)みにした妄夢が、「魔よ、滅せい!」と己の一物を筆に見立ててエクソシスムを開始しようとしたその時――

 「待っていたわ! この時を」と無毛猫が〈ギニュッ!〉と極大の一物を握り返した。
 
 「な、なんだと?!」と妄夢。

 「真のヴァギーナイフの妙技を味わえ!」と言った無毛猫は、妄夢の極太物を自らのプッシー・ハイジーンに招き入れた。
 
 〈ジュブァ!〉と完全に挿入された妄夢は「なんとぉっ!」と声を出すと同時に果てた。
 
 しかし、無毛猫はさらに両足でクリストフの腰を抱え込み、プッシー・ハイジーンを締め付けて「ここからが本番よ! 吾輩(わがはい)の中で果て死ぬがいい! 喰らえ! 『プッシー・テクノ・ブレイク』!」と超必殺技を繰り出した。  

 緩急自在の(ちつ)の締め付け運動と、腰の高速グラインドが妄夢に三度(みたび)、白い溶岩を噴出させた。
 無毛猫のプッシー・ハイジーンの奥に……。 


 空が白み、長い夜が明ける。
 マグアインブルグに朝が来た。

 城門の下、(ちつ)の中の()りない面々は、まだ戦いを続けていた……。



 第33悔 『激闘! マグアインブルグの恋人たち』 おわり。:*+゜゜+*:.。.*:+☆

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登場人物紹介

フェルディナンド・ボボン


この物語の主人公。

これといった定職には就いていないが、近所では昔から情熱的な男として知られている。

その実体は……。


ノニー・ボニー


皇立ルーム図書館で働く司書で、フェルディナンドの幼なじみ。 

他薦により『ミス・七つの海を知る女』コンテストに出場し優勝。
見聞を広めるための海外留学の旅に出る。

その実体は……。


クリストフ・コンバス

フェルディナンドの竹馬の友。
皇国を代表するファッション・リーダーとして活躍中。

その実体は……。


24歳、185cm。 

エンリケ後悔皇子


リゴッド皇国の第二皇子。

人類の行く末を案じて、後悔することを奨励する。

16歳。13センチ。

トスカネリ・ドゥカートゥス


エンリケの家庭教師であり、「盲目の賢人」、「後悔卿」の異名を持つ後悔研究所所長。

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