第36話 奇談散歩 ④
文字数 222文字
港区・狸坂
その昔、この坂周辺は捨て子が多く、夜更けに道端で赤子が泣いていることも珍しくなかった。通行人が「こんなところに、不憫な…」と赤子を抱えて歩き出すと、いつの間にか道に迷っている。「おや、迷ってしまった」と、うろうろしていると抱えている赤子がやけに重い、よく見れば赤子は石地蔵に変わっている。びっくりして投げ出すと、顔も服も泥だらけで、ああ化かされたと狸の仕業に気が付くという塩梅。
当時はこの坂に石地蔵がごろごろ転がっていたという。
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