第8話 油揚げ

文字数 231文字

油揚げ
 小学校時代の思い出。
 こっくりさんが流行っていたころ、お願いしても帰って頂けないことがあった。
 こっくりさんをしていた三人の女子児童は、もう半泣きで、
「こっくりさん、お帰り下さい」
を、繰り返していた。
 ふと、一人の男子児童が、
「お礼の油揚げ、どうしたん?」
と、聞いた。
 油揚げは隣の机の上に置かれていた。
「袋に入ったままじゃあ、食べれんなあ」
と言うと、男子児童は袋から油揚げを出した。
 十円玉は「あ・り・が・と・う」と動いて、こっくりさんは帰って行った。

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