第23話 押入れ
文字数 564文字
職場の同僚から聞いた話。
彼女が務めていた会社が倒産した。
もともと、ブラックな会社で人間関係も悪く、いつ辞めようか、いつ辞めようか、と考えていたので「踏ん切りがついて良かったと思った」と言う。
悪い縁が切れたのだから、これからは良い縁が来ると前向きに考えて、思い切って、引っ越して、心機一転頑張ろうと考え、不動産で物件探しを始めた。
紹介された、その部屋は築年数が古かったのだが綺麗にリフォームされており、初見の感じは良かったのだそうだ。
台所、お風呂場等、見て回り、
ふと、気になって、押入れの中を開けて見せてもらったところ、押入れの上の段にお婆さんが正座していたのだそうだ。
大変、驚いたのだが不動産会社の人は驚くそぶりもなく、どうやら、お婆さんが見えていない様子だった。
丸っこくて、和服を着た、どこか可愛らしいお婆さんで、嫌な感じはしなかったという。
家賃がその辺の相場より、やや安かったこともあり、彼女はその部屋に引っ越した。
その後、お婆さんの姿を見ることも、何の怪異もなかったが、就職活動で良い会社に就職でき、今のご主人と知り合って、子宝にも恵まれ幸せだという。
「もう引っ越したけど、あの部屋のお婆さんが良かったのかな、と思う時があるの。座敷お婆さんみたいな、良いものだったんじゃないかな」
と、彼女は結んだ。
彼女が務めていた会社が倒産した。
もともと、ブラックな会社で人間関係も悪く、いつ辞めようか、いつ辞めようか、と考えていたので「踏ん切りがついて良かったと思った」と言う。
悪い縁が切れたのだから、これからは良い縁が来ると前向きに考えて、思い切って、引っ越して、心機一転頑張ろうと考え、不動産で物件探しを始めた。
紹介された、その部屋は築年数が古かったのだが綺麗にリフォームされており、初見の感じは良かったのだそうだ。
台所、お風呂場等、見て回り、
ふと、気になって、押入れの中を開けて見せてもらったところ、押入れの上の段にお婆さんが正座していたのだそうだ。
大変、驚いたのだが不動産会社の人は驚くそぶりもなく、どうやら、お婆さんが見えていない様子だった。
丸っこくて、和服を着た、どこか可愛らしいお婆さんで、嫌な感じはしなかったという。
家賃がその辺の相場より、やや安かったこともあり、彼女はその部屋に引っ越した。
その後、お婆さんの姿を見ることも、何の怪異もなかったが、就職活動で良い会社に就職でき、今のご主人と知り合って、子宝にも恵まれ幸せだという。
「もう引っ越したけど、あの部屋のお婆さんが良かったのかな、と思う時があるの。座敷お婆さんみたいな、良いものだったんじゃないかな」
と、彼女は結んだ。