第22話 旧軍人会館

文字数 274文字

 廊下に響く靴音、小雨の降る深夜、入り口に旧陸軍将校の姿で佇む人影など、有名な話がいくつもある様ですが、この話はオカルトではないのです。
 すみません……

 この会館で無線の交換手をしていた女性のお話を伺う機会があった。
 大戦も末期になると大変忙しく、帰宅もままならなくなり、それまではブラウスにスカートであったのをモンペに履き替えて、交換手は皆泊まり込むようになったのだそうだ。
「交換手の女の子が雑魚寝をしていると、必ず夜半に様子をうかがいにくる将校さんがいてね。みんなであの人、助平だわよねって噂したのよ」
 と、上品な老婦人は語った。
 将校さん……
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