第20話 ビジネスホテル

文字数 249文字

 ビジネスホテルに宿泊した知人の話。
 
 夜、寝ているとカリカリ音がする。
 ネコが爪を研いでいるような、か細い音。
 隣の部屋からではなく、この部屋の中から聞こえる。
 何度か確認したが、部屋の中にそのような音を出すものは無い。
 眠れずに、部屋に備え付けのポットでお湯を沸かしていると、視界をちらちらするものがある。
 ドアの下に赤いものが動いているのが目に留まった。
 近づいてみると、赤いマニュキュアを塗った指がドアの下をすり抜けて外へ消えてゆく。
 無論、ドアの下に隙間は無い。
 後はもう寝られなかった。
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