第9話 虫送り
文字数 273文字
知人の田舎では、今も初夏に虫送りを行うそうだ。
まだ昭和で、知人が小学生だった頃、
何時もの様に夕暮れから虫送りが始った。
藁人形を先頭に、松明を焚いて、鐘、太鼓を叩きながら行列して村境に行き、川に人形を流す。
川の近くまで行くと、もう暗くなった草むらに、ほんのり光るものが見える。
蛍だろうか、と思ったが、蛍の光とは違うようだ、
見ていると、ほつほつと光は増えてゆき、まっすぐに尾を引いて空に昇っていく。
茫然と見ていると、夜空に消えた。
「皆には蛍じゃなかったのか?と言われたんだけどね。綺麗でね、もう一度見たかったけど、その年だけだったな」
まだ昭和で、知人が小学生だった頃、
何時もの様に夕暮れから虫送りが始った。
藁人形を先頭に、松明を焚いて、鐘、太鼓を叩きながら行列して村境に行き、川に人形を流す。
川の近くまで行くと、もう暗くなった草むらに、ほんのり光るものが見える。
蛍だろうか、と思ったが、蛍の光とは違うようだ、
見ていると、ほつほつと光は増えてゆき、まっすぐに尾を引いて空に昇っていく。
茫然と見ていると、夜空に消えた。
「皆には蛍じゃなかったのか?と言われたんだけどね。綺麗でね、もう一度見たかったけど、その年だけだったな」