第11話 白木蓮
文字数 353文字
彼の家は古くて大きく、今時珍しい立派な縁側がある。
縁側から見える裏庭には大きな白木蓮があり、毎年、綺麗に花を咲かせていたのだそうだ。
ある年、いつも以上にみっしりと花が咲き、それは見事なものだった。
その年に祖父が亡くなった。
数年後、やはり、木蓮は多くの花をつけ、その年は祖母が亡くなった。
祖母は脳梗塞の発作で倒れてから体調が良くなかったので、偶然だろうと思っていたが、何となく、気になっていたのだそうだ。
その後、何年か経ち、また沢山の花が咲いた年があり、嫌な予感がしていたのだが、その年は何もなかった。
「でも、うちの縁側の下で黒猫が死んでいて、飼っていたとか、餌をあげていたとかじゃないんだけれど……」偶然だと思う、と彼は言う。
その猫の亡骸は木蓮の下に埋めてやり、お線香をあげて弔ったそうだ。
縁側から見える裏庭には大きな白木蓮があり、毎年、綺麗に花を咲かせていたのだそうだ。
ある年、いつも以上にみっしりと花が咲き、それは見事なものだった。
その年に祖父が亡くなった。
数年後、やはり、木蓮は多くの花をつけ、その年は祖母が亡くなった。
祖母は脳梗塞の発作で倒れてから体調が良くなかったので、偶然だろうと思っていたが、何となく、気になっていたのだそうだ。
その後、何年か経ち、また沢山の花が咲いた年があり、嫌な予感がしていたのだが、その年は何もなかった。
「でも、うちの縁側の下で黒猫が死んでいて、飼っていたとか、餌をあげていたとかじゃないんだけれど……」偶然だと思う、と彼は言う。
その猫の亡骸は木蓮の下に埋めてやり、お線香をあげて弔ったそうだ。