球技 その5 バスケットボール
文字数 1,743文字
「わかった!みんなで思おう!俺たちの手の近くにあるボールは、すべてアルゼンチンボールだ。それに大事なことだが、ゴールに差し掛かったら、ボールは入ったと思うんだ。」
ジャンがルイスに続いて発言する。アルゼンチンの選手たちは素直だった。アメリカの選手たちはシステムに合わせて練習したので、システムを疑うことが無かった。
ここからアルゼンチンの快進撃が始まる。ボールはまるで吸い寄せられるようにアルゼンチンの選手たちの手の中に入っていく。パスが明らかに曲がることすらあった。アトキンソンをはじめとするアメリカの選手たちは何が起こったのか理解できなかった。ボールに磁力があるようにアルゼンチン側に吸い寄せられていく、手元にあったはずのボールさえアルゼンチンに寄って行く。点差は一気に縮まる。
アトキンソンがドリブルし、ノールックパスでマイケルにボールを回す。マイケルは高速で移動するビリーに矢のようなパス。ゴール前に到達していたビリーはすでに離陸して、ボールを掴んでダンクシュート。こういった規則的な動きに入ってしまうとアルゼンチンはボールに触ることすらできなかったが、次にオフェンスに回ると、矢継ぎ早にパスを出す。少し離れていようと、背面であろうと、ボールがしっかりとパスされる。いくらアメリカがカットしようにも、ボールの軌道さえ読めない。
「タイムだ!おい、ルイス、お前たち、何か隠してないか!」
思うようにプレーできないアトキンソンがイラ立ち、声を上げる。他のアメリカ選手たちもコンピューターグラフィックスで分かりづらいが表情を変えている。
「言いがかりはやめなよ!アメリカ製のビデオゲームに、俺たちに何ができる?コンピューターのプログラムなんて、ボールばっかり触ってて勉強なんてしたことないぞ。」
ルイスは呆れた風に反論する。アトキンソンは、アメリカ製と言われてしまえば、言い返しようがなく、天を仰ぐが、その目線の先には、ただ、真っ白な作り物の空間しか広がっていない。ルイスは腹が立ってテレパシーでメンバーに毒づく。
「おい、あいつらの態度、どういうつもりだ!アメリカの連中、勝って当然なんて思ってやがんだ!ふざけやがって!」
「ルイス、ちょっと思ったんだが、ボールがこれだけ思い通りになるんだったら、思いが強ければ、俺たちは、このバカげたコートで神様になれるってことだろ?ちょっとやってみないか?」
ジャンのアイデアを聞いて、アルゼンチンの選手たちは可笑しくて笑いだした。しかし、確かにやってみる価値がある。合図はボールに近づいた時のメンバーの一つ目の動作だった。その時に同じように祈れば、思いが形になるかもしれない。ボールの近くでは補正がかかることは理解していた。だったらそれをネタにアメリカの連中を驚かせてやろう。
アメリカのオフェンス、ボールをキープするアトキンソンにジャンが近づく、アトキンソンはフェイントを一度入れ、走り出したマイケルにボールをパスする。そこにルイスが手を伸ばす。届くはずがない距離だが、アルゼンチンチームの全員の思いが形になる。
なんとルイスの手が一メートル伸びたのだ!
ボールの軌道を遮り、ルイスはアメリカのボールを奪った。アメリカの選手たちは何が起こったのか分からなかった。アルゼンチンのチームメイトたちはルイスが持ったボールに思いを託す
「腕よ伸びろ!もっと伸びろ!そのままダンクを決めてしまえ!」
ルイスの腕は六メートル延びて、手に張り付いたボールをゴールに押し込んだ!アメリカの選手たちは、顎が落ちたように呆然とした。「なんだこれは?」アメリカの選手たちはゲームに信用を失い、ついには仮想コートを否定した。否定の判断がニューロンから人工シナプス伝ってコンピューターにインプットされた。アメリカの選手たちが仮想コートから次々と消えていく。仮想コートという空間が神である選手に否定された瞬間だった。世界の斜め半分が真っ黒になり、アルゼンチンの選手たちは気味の悪い空間に残されたが、面白いので手足を伸ばしてみた。まるで漫画の主人公になったようだと喜んだが、眠っているアルゼンチンの選手たちの体にも異変が起こっていた。手足がびろーんと伸びていたのだ。
ジャンがルイスに続いて発言する。アルゼンチンの選手たちは素直だった。アメリカの選手たちはシステムに合わせて練習したので、システムを疑うことが無かった。
ここからアルゼンチンの快進撃が始まる。ボールはまるで吸い寄せられるようにアルゼンチンの選手たちの手の中に入っていく。パスが明らかに曲がることすらあった。アトキンソンをはじめとするアメリカの選手たちは何が起こったのか理解できなかった。ボールに磁力があるようにアルゼンチン側に吸い寄せられていく、手元にあったはずのボールさえアルゼンチンに寄って行く。点差は一気に縮まる。
アトキンソンがドリブルし、ノールックパスでマイケルにボールを回す。マイケルは高速で移動するビリーに矢のようなパス。ゴール前に到達していたビリーはすでに離陸して、ボールを掴んでダンクシュート。こういった規則的な動きに入ってしまうとアルゼンチンはボールに触ることすらできなかったが、次にオフェンスに回ると、矢継ぎ早にパスを出す。少し離れていようと、背面であろうと、ボールがしっかりとパスされる。いくらアメリカがカットしようにも、ボールの軌道さえ読めない。
「タイムだ!おい、ルイス、お前たち、何か隠してないか!」
思うようにプレーできないアトキンソンがイラ立ち、声を上げる。他のアメリカ選手たちもコンピューターグラフィックスで分かりづらいが表情を変えている。
「言いがかりはやめなよ!アメリカ製のビデオゲームに、俺たちに何ができる?コンピューターのプログラムなんて、ボールばっかり触ってて勉強なんてしたことないぞ。」
ルイスは呆れた風に反論する。アトキンソンは、アメリカ製と言われてしまえば、言い返しようがなく、天を仰ぐが、その目線の先には、ただ、真っ白な作り物の空間しか広がっていない。ルイスは腹が立ってテレパシーでメンバーに毒づく。
「おい、あいつらの態度、どういうつもりだ!アメリカの連中、勝って当然なんて思ってやがんだ!ふざけやがって!」
「ルイス、ちょっと思ったんだが、ボールがこれだけ思い通りになるんだったら、思いが強ければ、俺たちは、このバカげたコートで神様になれるってことだろ?ちょっとやってみないか?」
ジャンのアイデアを聞いて、アルゼンチンの選手たちは可笑しくて笑いだした。しかし、確かにやってみる価値がある。合図はボールに近づいた時のメンバーの一つ目の動作だった。その時に同じように祈れば、思いが形になるかもしれない。ボールの近くでは補正がかかることは理解していた。だったらそれをネタにアメリカの連中を驚かせてやろう。
アメリカのオフェンス、ボールをキープするアトキンソンにジャンが近づく、アトキンソンはフェイントを一度入れ、走り出したマイケルにボールをパスする。そこにルイスが手を伸ばす。届くはずがない距離だが、アルゼンチンチームの全員の思いが形になる。
なんとルイスの手が一メートル伸びたのだ!
ボールの軌道を遮り、ルイスはアメリカのボールを奪った。アメリカの選手たちは何が起こったのか分からなかった。アルゼンチンのチームメイトたちはルイスが持ったボールに思いを託す
「腕よ伸びろ!もっと伸びろ!そのままダンクを決めてしまえ!」
ルイスの腕は六メートル延びて、手に張り付いたボールをゴールに押し込んだ!アメリカの選手たちは、顎が落ちたように呆然とした。「なんだこれは?」アメリカの選手たちはゲームに信用を失い、ついには仮想コートを否定した。否定の判断がニューロンから人工シナプス伝ってコンピューターにインプットされた。アメリカの選手たちが仮想コートから次々と消えていく。仮想コートという空間が神である選手に否定された瞬間だった。世界の斜め半分が真っ黒になり、アルゼンチンの選手たちは気味の悪い空間に残されたが、面白いので手足を伸ばしてみた。まるで漫画の主人公になったようだと喜んだが、眠っているアルゼンチンの選手たちの体にも異変が起こっていた。手足がびろーんと伸びていたのだ。