第45話

文字数 131文字

 彼の手袋にはずっと前から穴が空いていた。茶色い毛糸の手袋で、親指の先が破れて爪が顔をのぞかしていた。
「好きなものを使っていたいんだ。破れていたとしてもね」
 別れてから数年。再会した彼の手には新しい、暖かそうな手袋がはめられていた。もうすぐ結婚するらしい。
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