第61話

文字数 142文字

 くつ下が見あたらない。それも片っぽだけ。
 脱いだのか脱がされたか覚えていないけど、それきりシーツに紛れてしまったのだろう。口を開けて寝てるこの名前も知らない男の下敷になっているのかもしれない。
 片足裸足のまま、わたしはブーツを履いた。きのうの雨を吸った靴底が、じゅっと泣いた。
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