三十八

文字数 141文字

 その晩はずいぶんと冷え込んでいた上に、いつも使ってる電気毛布がいかれて、老人はなかなか寝付けなかった。
 隣の布団の老婆も震えていた。
「一緒に暖まりましょうか?」
 同じ布団で寝るなど結婚して六〇年、初めてのことだった。
 翌朝、抱き合ったまま息を引き取っていた。老衰だった。
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