伏美ちゃん現代にビビる

文字数 2,141文字

金閣寺を見た日の夜、瑞生は推古グループが経営する宿に戻り、一睡することにした。
2017/10/01 08:35
当然眠らない、という選択肢もあるのだが、その場合、明日は激し頭痛や倦怠感、その他やる気の低下など様々な苦痛にまみれて過ごすことになる。
2017/10/01 08:36
こんにちは、お兄さん。
2017/10/01 08:37
案の定、伏美ちゃんは夢の中に現れた。ちなみに、夢を見ている状態だと脳は半分覚醒しており、その分余計に睡眠に割ける割合が減るので、実は瑞生は今、睡眠を邪魔されているのだ。そのことに気付かない瑞生は、哀れとしか言いようがなかった。
2017/10/01 08:37
まあ、多少は大丈夫ですよ?
2017/10/01 08:38
金閣寺見てきたよ。
2017/10/01 08:38
どうだった?
2017/10/01 08:38
え? どうだったって、コメントしようがなくないか? 確かにすごい建物なのはわかるけどさ、一般市民にあれを批評するのは不可能だと思うよ? 俺の記憶を探って金閣寺の感想を、伏美ちゃんもどうぞ、ぐらいかな?
2017/10/01 08:39
たわけ、安土城はあれよりもはるかに強大よ。と言いたいところだけど……さすがに武力と宗教は比較対象にならないわね。
2017/10/01 08:40
でも、その様子だとたわけの極みね。バカの極み、あほの極みよ。すごいものを見て、素直にすごい、と言えないのは、心に余裕のない証拠ね。あなたの記憶を読む限りだと、碧泉さんにもそう思われたんでしょう?
2017/10/01 20:26
ならさ、わかるだろう? 心に余裕がない人なりの対応をしてくれよ。たわけとか言っちゃダメなのわかるだろう?
2017/10/01 20:28
とかいう私も余裕がないわ。
2017/10/05 20:31
私が生きていた時代は、人間があんなに多くなかった。今となっては、あの数になっている。
2017/10/05 20:32
眠りから目覚めたいけれど、不安だわ。現代になじめるのかしら?
2017/10/05 20:33
あほやろう、いいや、たわけむすめ。異世界転生で別世界にあれほど慣れ親しんでいる人類が多い中、そういう不安を抱いているキャラは排除される、そういう世の中。わかってないですね。
2017/10/05 20:33
伏美が仕えていた織田信長は、鉄砲を見た途端導入、キリスト教を感じた途端入信、そういうやつだったが、伏美にその素質はなかったか。
2017/10/05 20:34
不安か。確かにそうだね。現代のありさまは知らない人には厳しいよ。それこそ、生まれてからこの世界にずっと生きてないと適応できない、そう考えてすらいる。俺はね。
2017/10/05 20:35
啓発かしら? あいにくと、私も現代にはなじみたいところよ。
2017/10/05 20:37
でも、いくらなんでも今の様子は慣れるのに時間がかかると思うわ。
2017/10/05 20:39
(違うな、単純に怖いんだろうな。言わないでおくけど、今までの自分の常識が使えなくなって戸惑ってるんだろうな)
2017/10/05 20:39
瑞生の考えは的を得ていた。確かに伏美は今まで自分が築いてきた地位や概念、手に入れてきた知識が全く役に立たないということで現代を恐れているのだ。
2017/10/05 20:40
環境が一変してしまうことへの、素朴な不安、誰にでもあるけれど、その克服は難しい。
2017/10/05 20:41
これは心の認識への疑い、迷い、戸惑いが感じられる一文にも思われるが、大したことはない。
2017/10/05 20:43
誰もが日常で経験していることだ。
2017/10/05 21:12
例えば、FF13で勝利のファンファーレを消したときにスクエニがどれだけ叩かれたかれたのか。これが今までの常識を破壊した奴らへの報いと考えれば、大した感情ではないとわかるだろう。
2017/10/05 21:12
(どうしよう、どうしようかしら)
2017/10/05 21:14
(今まで私が体験したことが何の役にも立たないなんて。必死でかき集めた500万は役に立つのかしら?)
2017/10/05 21:20
謎の話、伏美はあえてお金について自分に言い聞かせた。この薄汚れた世界、お金だけが全てだ、と思う人も多いからね。お金なんて、時代が変わればただの紙切れなんですよ。
2017/10/05 21:21
お兄さん、私、何を信じたらいいのかしら? 私が今まで本当だと思ってきたことが、すべて否定されている気分だわ。
2017/10/05 21:22
ふーん、伏美ちゃんは何を本当だと思ってきたの?
2017/10/05 21:22
私が目覚めるころには信長の統治が世界中に広がっていて、私の地位が約束されている。
2017/10/05 21:23
(こいつ、あほだろ。言わないけど、今まで長く続いた国があったか? というか日本ですら伏美ちゃんの理屈だと、織田信長が新しい国作って終わってました、って感じになるぞ)
2017/10/05 21:24
聞こえてるからね、お兄さんの心の声。
2017/10/05 21:25
じゃあ言うけど、尾張の国滅んだよ?
2017/10/05 21:27
そうよね、知ってた。でも、認めたくないものね。
2017/10/06 12:31
これが現実なんだよなあ。諸行無常の理? っていえば伝わるかな?
2017/10/06 12:31
お兄さん、まだお若いのに、そんな難しい言葉使っちゃって。妖怪は外見じゃないのかしら?
2017/10/06 12:32
年齢かあ。若いかどうかはさておき、色々精神的に老けてるかもな。ははっ。
2017/10/06 12:32
年齢1000歳越えのキャラ多い中、瑞生はどこまで戦えるのだろうか?
2017/10/06 12:33
まあ、そんなに急ぐ必要はないよ。現世になれるにしても、慣れたら慣れたで別の問題とか出てくると思うし、今急いで慣れる必要もないよ。
2017/10/06 12:33
ふぅむ、だれが現世に現れると言ったのかしら? 私はできれば眠ったままがいいわ。
2017/10/06 12:34
おうふ、眠ったままか。それでいいのかな?
2017/10/06 12:34
だって勇気が出ないもの。
2017/10/06 12:35
そういうさ、頭で理解できない勇気という単語を出されてもさあ、この物語がただの感情的な話になっていって、最終的に理屈も何もない話になりかねないんだけど?
2017/10/06 12:35
いわゆる頭のいい人たちが呆れかえる理由だよ、それ。まあ、わからんでもないのだが。
2017/10/06 12:36
勇気は大切だよ。でも、それが出ないんじゃなあ。
2017/10/06 12:36
出ないものは出ないわ。ごめんなさいね。
2017/10/06 12:37
また明日の夜、瑞生さんの夢に現れてもいいかしら?
2017/10/06 12:38
いいよ。
2017/10/06 12:38
ありがとう、それじゃあ、また明日ね。
2017/10/06 12:38
今回はここまでになります。
2017/10/09 09:59
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登場人物紹介

小峠瑞生(ことうげ ずいしょう)

自分が何の妖怪なのか思い出せないかばんちゃんポジション。

人間の特性を使って、謎を解決していく。

碧泉(あいぜん)

謎の女。

瑞生が誰なのか知らないけど、その素質を見抜いて利用している。

浮世離れが非常に深刻で、秋元康はAKBのメンバーだといまだに勘違いしている。

ナレーション。

突っ込み不在の世界に救いを。

地の文に革命を巻き起こすべく生み出された新兵器。

基本的に神視点だが、感情が高ぶると特定のキャラに肩入れする。

オールド

謎の女2

かつて日本の首領(ドン)だったが、部下が有能すぎて出番がなかった。

その部下を愛しさゆえに食べたところ、不死身になったと本人は言うが、大抵の人は信じない。

また、本人にグロ耐性がないので、この話題は避けたがる。

厩戸皇子(うまやどのおうじ)

時代と場所、年代によって呼び方が変わるややこしいひと。

オールドの部下、しかもいつも冷静で取り乱さない。できる人に見えるがただのサイコパスかもしれない。

オールドと1500年くらい前に謎の約束を交わしている。

実は1万円札にその顔が採用されたことがあり、俗世の人間は彼の顔を見ただけで興奮してしまう。年もばれる。

寂推カップチーノ(じゃくすいかっぷちーの)

オールドのメイド。手下。

多分1000年くらい存在しているが、明治維新文明開化後、頭の中お花畑な毎日を過ごしている。名前も常に前時代性を排除して新しいものに改名している。

種族は幽霊。

寂織伏美(じゃくおりふしみ)

種族、幽霊寄りだが例にもれずその他。

出身は尾張の国で相手を馬鹿にするとき『たわけ』という。

何百年も前に封印されて以来、目覚めの時を待っているが、現代の進みすぎた文明を前に、目覚めるに目覚められない。

久遠寺ルナ

種族 ある人は人間だと言い、ある人は死者という。ある人はゾンビだというし、ある人は解脱者だという。答えは藪の中。安定のその他。

作者がさぼっているのではなく、そこが話の主題なので安心してほしい。

天寺結姫(あまでら ゆいき)

種族 ネクロマンサー

ルナちゃんをゾンビに変えた張本人。

しかし、悪意があるわけではないようだ。

また、頭が悪く自然に会話していてもボケに回ってしまう。

伊早坂酒々井(いそざか しすい)

瑞生の過去を知る人物。

瑞生の姉を名乗っているし、瑞生の過去の日記をねつ造して瑞生を都合のいい方向にもっていこうとするが、瑞生の理解が早すぎるため、続きの執筆に追い立てられる。

名前はただのペンネームにすぎず、しかも登録されていないため本名はわからない。

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