夢の中に引きこもる伏美ちゃんを外へ連れ出そう

文字数 2,659文字

推古グループが経営する宿屋にて。夜眠る前、瑞生は碧泉と一緒に作戦会議をしていた。
2017/11/04 08:22
場所は瑞生が寝泊まりしている部屋。元々一人用の部屋なのか、二人でいると狭い。
2017/11/06 10:40
伏美をどうやって夢の中から現世に連れてくるか、だが、何か案はあるか?
2017/11/04 08:23
無理やりってのは一番いやだから、それは理解してくれ。
2017/11/04 08:23
私も無理やりは嫌だな。とはいえ、ああいう女の子をずっと閉じこもらせておくわけにもいくまい。
2017/11/04 08:23
いつの間にか、引きこもりの女の子をいかに部屋の外に連れ出すかの会議になっている。
2017/11/04 08:24
古い記録によると、こういう状況になったら外でお祭り騒ぎをして、興味が出て覗いてみたところを捕まえる、というのが定番だというがなあ。
2017/11/04 08:24
なにそれ? そんなのあるの?
2017/11/04 08:25
古事記の天の岩戸屋隠れ、というのがあってな。まあ、参考までに。
2017/11/04 08:25
まあ確かに、外の世界に興味を持ってもらわないとな。でも、伏美ちゃんはすでに興味あるぞ。単に勇気が出ないだけで、少しのきっかけがあれば現世に来るんじゃないか?
2017/11/04 08:26
そのきっかけをどうしようか?
2017/11/04 08:27
俺に任せておけよ。何とかやってみるって。
2017/11/04 08:27
ふぅん、どうするのだ? 何か妙案でも?
2017/11/04 08:27
ないな。でも、伏美ちゃんが俺がを信頼しているなら、目覚める決断をしてくれるはずだ。
2017/11/04 08:33
そうだな。信頼していればこそ、だな。お前に任せれば安心だろうな。
2017/11/04 08:34
こういう信頼されるかどうか、という綱渡り的な案は、意外と心を動かすためには大切なことなのだ。信頼されているからこそ、相手に何かを任せようと思う。
2017/11/06 10:40
確かに伏美ちゃんは現代に対して恐れがある。しかしながら、瑞生を信頼していればある程度その恐怖は和らぐだろう。
2017/11/06 10:41
理論的な話はさておき、信じられるかどうかという精神論が始まってしまうが、まあそんなものだろう。子供から信頼されない大人、というのも悲しい話なので。
2017/11/06 10:42
そういえば、伏美ちゃんはどうして夢の中に封印されてるんだろうな?
2017/11/06 10:42
知りたいか?
2017/11/06 10:43
碧泉、お前知ってるのか?
2017/11/06 10:43
知っているとも。しかしながら、乙女の秘密を暴こうなど、なかなか下衆のやることだと理解していないわけではあるまいな?
2017/11/06 10:43
まあ、触れてほしくないなら触れないけど、碧泉は知ってるのか?
2017/11/06 10:44
知らないぞっと。
2017/11/06 10:44
(知ってるんだろうなー。まあ、無理に聞き出したりはしないけど)
2017/11/06 10:44
とはいえ、伏美ちゃんのバックグランドを理解しないと分かり合えないというか……基礎情報入るだろう?
2017/11/06 10:44
なぜだ?
2017/11/06 10:46
だってさ、伏美ちゃんが結局のところ何者かわからないと話し合いができないじゃないか。どういう考えを持っていて、どういうものに興味を示すか、とか。
2017/11/06 10:46
プロフィールが見えてこないと会話が弾まないだろう?
2017/11/06 10:47
そんなもの、必要ないと思うぞ。
2017/11/06 10:47
なかなか冷たい言い方だな。伏美ちゃんが誰なのか知りたくないのかよ。彼女の個性に関わる問題だぜ?
2017/11/06 14:57
どうでもいいと思うぞ。そんなもの、瑞生が一番よく知っているじゃないか。お前には自分が誰なのか説明できるのか?
2017/11/06 15:05
そういう個性という問題は他でもない伏美の問題なのだから、お前は気にするな。
2017/11/06 15:08
じゃあ、俺の問題は俺自身の問題なのか?
2017/11/08 11:30
そんなもの当たり前だろう。お前に記憶がないのはお前の責任だろう。最低限手伝ってやるつもりはあるが、まあ、私だって制約の中で動いているからな。最低限しか手伝えない。
2017/11/08 11:30
あーあ、碧泉も相当ツンデレだな。手伝おうという気はあるのだが、やっぱり素直に全面的に手伝うとは言っていない。
2017/11/08 11:31
とはいえ、伏美ちゃんを夢の外に出したとして、それで瑞生にメリットがあるか?
2017/11/08 11:31
自分が何者かわからない、という不安さが少しでも拭い去れるのか。
2017/11/08 11:32
碧泉、俺、自分の記憶が戻らないのをそれなりに心配してるんだ。伏美ちゃんの手助けをしたとして、それが俺にどんな得があると思う? 今更で申し訳ないんだけど。
2017/11/08 11:32
来世のためになるな。お前、記憶を失っているようだが、それをお前の前世だった、と言い換えることはできるか?
2017/11/08 11:33
難しいけど、記憶を失う前が前世か。面白いこと言うな。確かに前世と言われればそう思えるな。
2017/11/08 11:33
お前は記憶を失う前の自分が善行を積んでいたとして、記憶を失ったら報いに助けてくれる人が何人かいたとして、それでいいじゃないか?
2017/11/08 11:34
善行とは、未来への投資だよ。来世まで待て、とは言わないし、今生で帰ってくることも多い。記憶を取り戻すのには役立たないかもしれないが、近いうちに伏美は役に立つだろうな。
2017/11/08 11:35
記憶を取り戻すのには役に立たないかもしれないのか。
2017/11/08 11:35
いやいや、逆に過去に固執するなよ、そんなに。昨日何を食べたが思い出さないと今日の食事を決められないのか? 今日は今日、記憶を失う前は記憶を失う前、別に過去が明日に続いているわけでもない。
2017/11/08 11:37
しかしながら、碧泉のある意味合理的な考えを瑞生は心の中では否定する。
2017/11/08 21:47
(女の子を釣ってくるんだったら、こういう現実論はあんまりしないほうがいいな。俺自身現実主義者のつもりだから、割と理解できるけど、こういう場に現実論はよろしくない)
2017/11/08 21:48
あえて口には出さないが、瑞生の中で伏美ちゃんをどのように現実に連れ出すのか、何となく決まっていた。
2017/11/08 21:49
(あれだろう。ユーチューバーが商品のレビューしてるみたいに、感想をひたすら言い続ければ興味をもって夢から出てきてくれるだろう)
2017/11/08 21:50
確かに、夢の中にいつづけてもつまらないだけなので、こっちのほうが面白いよ、と言ってしまうのは手だ。
2017/11/08 21:51
瑞生自身、ここ数日でいろいろなことが起こり楽しさ満点なのでその説明は容易だ。
2017/11/08 21:53
(疑問だよなあ。俺はどうして心を動かすのに必要なことを知っているんだ? 記憶喪失じゃないのか? どうして覚えているんだ?)
2017/11/08 21:54
(本当は記憶を失っていないで、何か覚えていることがあるのかな?)
2017/11/08 21:55
笑わせるなよ瑞生。心があるなら、それなりに生活していれば理解できてしまうものなのさ。確かに生きているなら心に穢れを背負い込むこともある。でも、素直に物事を見つめていれば、次第にわかってくるものなんだよね。
2017/11/08 21:56
でも、そのことを碧泉に説明しようとは思わない。碧泉に言って共感してくれるかどうか、非常に怪しいのだ。あからさまに戸惑っている。
2017/11/08 21:58
碧泉に情というものを期待できるのか、それとも碧泉は自分の思う合理のために動いているのか。
2017/11/08 21:59
心ゆえの沼。
2017/11/08 22:00
瑞生は自分が感じている迷いを、誰に打ち明けたらいいのかわからなくなった。ある意味碧泉は信頼できたが、瑞生が思う理想の相手ではない。碧泉の、現実にあるならあって当然の不完全な部分、それが瑞生の心に深く刺さっていた。
2017/11/08 22:12
(こんな迷いを抱えながら、伏美ちゃんに現実をお勧めか。一つのギャグだな)
2017/11/08 22:16
今回はここまでになります。

次回更新をお楽しみに。

2017/11/14 09:34
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登場人物紹介

小峠瑞生(ことうげ ずいしょう)

自分が何の妖怪なのか思い出せないかばんちゃんポジション。

人間の特性を使って、謎を解決していく。

碧泉(あいぜん)

謎の女。

瑞生が誰なのか知らないけど、その素質を見抜いて利用している。

浮世離れが非常に深刻で、秋元康はAKBのメンバーだといまだに勘違いしている。

ナレーション。

突っ込み不在の世界に救いを。

地の文に革命を巻き起こすべく生み出された新兵器。

基本的に神視点だが、感情が高ぶると特定のキャラに肩入れする。

オールド

謎の女2

かつて日本の首領(ドン)だったが、部下が有能すぎて出番がなかった。

その部下を愛しさゆえに食べたところ、不死身になったと本人は言うが、大抵の人は信じない。

また、本人にグロ耐性がないので、この話題は避けたがる。

厩戸皇子(うまやどのおうじ)

時代と場所、年代によって呼び方が変わるややこしいひと。

オールドの部下、しかもいつも冷静で取り乱さない。できる人に見えるがただのサイコパスかもしれない。

オールドと1500年くらい前に謎の約束を交わしている。

実は1万円札にその顔が採用されたことがあり、俗世の人間は彼の顔を見ただけで興奮してしまう。年もばれる。

寂推カップチーノ(じゃくすいかっぷちーの)

オールドのメイド。手下。

多分1000年くらい存在しているが、明治維新文明開化後、頭の中お花畑な毎日を過ごしている。名前も常に前時代性を排除して新しいものに改名している。

種族は幽霊。

寂織伏美(じゃくおりふしみ)

種族、幽霊寄りだが例にもれずその他。

出身は尾張の国で相手を馬鹿にするとき『たわけ』という。

何百年も前に封印されて以来、目覚めの時を待っているが、現代の進みすぎた文明を前に、目覚めるに目覚められない。

久遠寺ルナ

種族 ある人は人間だと言い、ある人は死者という。ある人はゾンビだというし、ある人は解脱者だという。答えは藪の中。安定のその他。

作者がさぼっているのではなく、そこが話の主題なので安心してほしい。

天寺結姫(あまでら ゆいき)

種族 ネクロマンサー

ルナちゃんをゾンビに変えた張本人。

しかし、悪意があるわけではないようだ。

また、頭が悪く自然に会話していてもボケに回ってしまう。

伊早坂酒々井(いそざか しすい)

瑞生の過去を知る人物。

瑞生の姉を名乗っているし、瑞生の過去の日記をねつ造して瑞生を都合のいい方向にもっていこうとするが、瑞生の理解が早すぎるため、続きの執筆に追い立てられる。

名前はただのペンネームにすぎず、しかも登録されていないため本名はわからない。

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