人間が栄えると妖怪も繁栄する

文字数 1,018文字

人間増えすぎじゃね?
2018/01/26 13:54
瑞生は京都の中心部を歩きながらそういった。
2018/01/26 13:54
京都といえども中心部は大都会で、東京のビル群と大差ない。道を歩いていると谷底を歩いている気分になる。当然、そこに群がる人間も多い。まあ、そこが道ですから。
2018/01/28 21:27
さっきのは暗黒台詞だったが、今は春の足音がまだ遠い厳冬。瑞生の心が冷たくなるのも当然だった。
2018/01/26 13:55
人間に敵対する妖怪の王様が言いそうな、人間増えすぎ、というワードを言い放つ。
2018/01/26 13:55
ふぅん、それで何か問題でも?
2018/01/26 13:56
話の相手をしているのは碧泉なのだが、碧泉は人間が増えても気にしないようだった。
2018/01/26 13:56
いやほら、近頃人間に敵対する妖怪の王様とか、漫画で人間増えすぎ、とかいうだろう? 夜中、街が明るすぎる、妖怪には住みにくい、とか言ってたと思うんだけど。
2018/01/26 13:57
ははははは、なんだそれは? 面白いな瑞生。いかにも寿命の短い人間の考えそうなことだ。
2018/01/26 13:57
碧泉も悪役っぽくなってきた。
2018/01/26 13:58
例えばそうだなあ、鎌倉市ではリスが異常に増えているようだが、これは問題か?
2018/01/26 13:58
人間は迷惑しているらしいな。
2018/01/26 13:58
では、都心ではカラスが増えすぎている、これは問題か?
2018/01/26 13:59
人間は、迷惑だろうな。
2018/01/26 13:59
おかしい話だな。そのリスやカラスを増やしたのはほかでもない人間だろう。
2018/01/26 13:59
と、言うと?
2018/01/26 14:00
まあ、話を急ぐな。そうだなあ、例えば、ミツバチが全滅すると、人類は4年で死滅すると言われている。これはなあ、人間の農作物の受粉にミツバチが関与しているからなんだ。人間はミツバチに生かされている。
2018/01/26 14:00
それと同じように、都心のカラスは人間の食べ残しという安定した食料供給源を持っている。だから増えたのだ。
2018/01/26 14:01
これは人間が繁栄しなければありえなかったことだ。カラスと人間は別の生き物ではないんだよ。
2018/01/26 14:01
なるほど、じゃあ人間が繁栄すれば妖怪も繁栄するのか。面白いなあ。
2018/01/26 14:02
そういうことだとも。人間が数を増やしていくにしたがって、まあ確かに表に出ることはないが、妖怪は確実に数を増やしている。人間は気付いていないがな。
2018/01/26 14:02
生態系という言葉がある。食物連鎖という話がある。ある種族が滅びるとそれに関連した種族も滅びる。すべての命はつながっているんだよ。系の話。
2018/01/26 14:03
ファンタジーを抜きにして考えたって、オカルト系のメディアが静に盛り上がっているのは言うまでもない。人間が繁栄すると、妖怪も盛り上がる。至極当然の話だ。
2018/01/26 14:07
じゃあ、俺たち妖怪からしてみても人間には繁栄してもらわないと困るわけか。うーん、今度おばあさんが困ってたら荷物でも持ってあげよう。
2018/01/27 09:53
そうするといい。
2018/01/27 09:54
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登場人物紹介

小峠瑞生(ことうげ ずいしょう)

自分が何の妖怪なのか思い出せないかばんちゃんポジション。

人間の特性を使って、謎を解決していく。

碧泉(あいぜん)

謎の女。

瑞生が誰なのか知らないけど、その素質を見抜いて利用している。

浮世離れが非常に深刻で、秋元康はAKBのメンバーだといまだに勘違いしている。

ナレーション。

突っ込み不在の世界に救いを。

地の文に革命を巻き起こすべく生み出された新兵器。

基本的に神視点だが、感情が高ぶると特定のキャラに肩入れする。

オールド

謎の女2

かつて日本の首領(ドン)だったが、部下が有能すぎて出番がなかった。

その部下を愛しさゆえに食べたところ、不死身になったと本人は言うが、大抵の人は信じない。

また、本人にグロ耐性がないので、この話題は避けたがる。

厩戸皇子(うまやどのおうじ)

時代と場所、年代によって呼び方が変わるややこしいひと。

オールドの部下、しかもいつも冷静で取り乱さない。できる人に見えるがただのサイコパスかもしれない。

オールドと1500年くらい前に謎の約束を交わしている。

実は1万円札にその顔が採用されたことがあり、俗世の人間は彼の顔を見ただけで興奮してしまう。年もばれる。

寂推カップチーノ(じゃくすいかっぷちーの)

オールドのメイド。手下。

多分1000年くらい存在しているが、明治維新文明開化後、頭の中お花畑な毎日を過ごしている。名前も常に前時代性を排除して新しいものに改名している。

種族は幽霊。

寂織伏美(じゃくおりふしみ)

種族、幽霊寄りだが例にもれずその他。

出身は尾張の国で相手を馬鹿にするとき『たわけ』という。

何百年も前に封印されて以来、目覚めの時を待っているが、現代の進みすぎた文明を前に、目覚めるに目覚められない。

久遠寺ルナ

種族 ある人は人間だと言い、ある人は死者という。ある人はゾンビだというし、ある人は解脱者だという。答えは藪の中。安定のその他。

作者がさぼっているのではなく、そこが話の主題なので安心してほしい。

天寺結姫(あまでら ゆいき)

種族 ネクロマンサー

ルナちゃんをゾンビに変えた張本人。

しかし、悪意があるわけではないようだ。

また、頭が悪く自然に会話していてもボケに回ってしまう。

伊早坂酒々井(いそざか しすい)

瑞生の過去を知る人物。

瑞生の姉を名乗っているし、瑞生の過去の日記をねつ造して瑞生を都合のいい方向にもっていこうとするが、瑞生の理解が早すぎるため、続きの執筆に追い立てられる。

名前はただのペンネームにすぎず、しかも登録されていないため本名はわからない。

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