問いが正しくないと正しい答えは得られない

文字数 1,731文字

午後18時、夕日が少し沈んで空が紅くなったころ、瑞生の心は太陽よりも沈んでいた。
2018/02/23 19:36
(なんてことだ。家族愛なんて話に落ち着くなんて。俺は何を考えればいいのかな?)
2018/02/23 19:37
ルナちゃんが家出をして、結姫のところで少し生活する。それだけの話でしかない現在、瑞生は気持ちのやりどころに困っていた。
2018/02/23 19:38
今、泉は育てた娘の作ったご飯をうまいうまいといって食べている。それだけで家族愛が再確認できる、というのが知識として理解できているが、本能からはわからない。
2018/02/23 19:38
夕日が沈んでいくのに比例して、瑞生の中の虚無感もどんどん膨れ上がる。
2018/02/23 19:39
結姫の家を裏口から出て、くらい夜道を歩きだす。
2018/02/23 19:40
瑞生、落ち込んでいるのか?
2018/02/23 19:41
いつの間にか、隣に碧泉が立っていた。
2018/02/23 19:41
落ち込んでるというか、真空に投げ出された気分だよ。
2018/02/23 19:42
真空か。
2018/02/23 19:42
変な期待をしてた俺が間違ってたっていうのはわかるよ。ただ、あんまりにもあっさりしすぎで、気持ちにやりどころがない。
2018/02/23 19:43
そうか。大変だな。
2018/02/23 19:44
碧泉だって反応に困っているのだろう。碧泉にとってこの問題は些細なことだし、瑞生がどんな対応をしたかも碧泉は知らない。くだらない話にしか聞こえないから、大きなことは言わないのだろう。
2018/02/23 19:44
ああ、そうか。とか、大変だな、ぐらいしか言わない。
2018/02/23 19:45
結論から言えば、瑞生はそういう些細なやり取りさえ無意味に感じるほど心が荒んでいた。
2018/02/23 19:47
ルナちゃんの種族不明、という謎は残ってしまったが、事件はそれなりに丸く収まったはずだ。
2018/02/23 19:47
瑞生、何をそんなに考え込んでいるんだ? もう終わったことだぞ?
2018/02/23 19:49
終わってなんていない、と瑞生は思った。ルナちゃんの種族がわからないなら、それなりに大変なことは起こるはずだ。それにもう終わったことなんて……。
2018/02/23 19:53
なにか、これから困ったことが起こるんじゃないかと不安なんだ。ルナちゃんがどんな存在なのかわからなくて、なんて言ったらいいかな、まあ、ひたすら不安だ。
2018/02/23 19:54
正直、当たり前の感覚ですね。不安なんてコモン中のコモンだ。新しい小説を読むとき、この作品はクソ作品ではないかと不安に思わない人は感想等で名乗り出てほしい。
2018/02/23 19:54
未来に不安があるのか?
2018/02/23 19:58
不安しかない。ルナちゃんがお父さんに再会したくらいで安心できないよ。
2018/02/23 19:58
瑞生、その問いは正しくない。お前は、不安のない未来なんて想像できるのか? 実在すると思うのか? そういう誤解があるから、ルナのことも受け入れられないのだろう。
2018/02/23 19:59
あ、新手の精神攻撃にしか聞こえないんだが、俺がおかしいのか?
2018/02/23 20:00
おかしくなんてない。
2018/02/23 20:01
いや、肯定しろよ。
2018/02/23 20:02
面白いなあ、瑞生は。ルナの未来が不安か?
2018/02/23 20:02
不安で仕方がないよ。というか、碧泉さっき未来に不安はつきものだって、そういう話したよな。そんなものかなあ。
2018/02/23 20:03
そんなものだな。
2018/02/25 21:15
いや、否定しろよ。
2018/02/25 21:16
否定してほしいのか?
2018/03/03 21:21
精神攻撃、といえば確かにそうだ。
2018/03/03 21:22
しかしながら、困ったことがない未来が存在しない、と言われればそれまでだ。
2018/03/09 00:59
(不安がない未来なんてない。そんな話で終了なのか?)
2018/06/08 11:32
碧泉は、ルナちゃんの種族が不明になって、それで心配じゃないのか?
2018/06/08 11:34
別に何も思わないな。
2018/06/08 11:34
様々な謎が絡んでくる今回、家族愛があれば大丈夫だ、という結論に至った。
2018/06/08 11:35
支離滅裂ではあるものの、いいや、理屈で通らなくとも、愛があれば大丈夫なのか。
2018/06/08 11:35
瑞生、お前は納得しにくいだろうがな、何事も精神が大切だ。ルナと父親の関係が修復されれば、それはそれでいいのだよ。なんであろうとな。
2018/06/08 11:36
そういうもんか。納得できないけれどね。
2018/06/08 11:37
確かに、納得はできないだろうな。
2018/06/08 11:37
そうなんだけれど、俺さ、家族とかいないから、父親が誰なのかも知らないし、母親がどんな人間なのかもしれない。そういう存在だから、家族愛っていうものが理解できないでいるんだよ。
2018/06/08 11:37
それなら、これからも私が友になってお前のそばにいてやろう。そうすれば、お前もいずれは理解するんじゃないか?
2018/06/08 11:38
理解か。俺、碧泉がそう言ったから、今すぐにでも理解したつもりなんだけどな。
2018/06/08 11:39
ふふふ、そうか。
2018/06/08 11:42
瑞生は自分が何者かわからない、と不安に思っていたが、その不安も、消えつつあった。今の自分には碧泉がいるし、たいして不安に思うことはない、そう思い始めていた。
2018/06/08 11:42
未来に不安はあるものの、不安のない未来なんてない。
2018/06/08 11:43
瑞生はこれからも妖怪と一緒にひっそりと生きていくだろう。
2018/06/08 11:45
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登場人物紹介

小峠瑞生(ことうげ ずいしょう)

自分が何の妖怪なのか思い出せないかばんちゃんポジション。

人間の特性を使って、謎を解決していく。

碧泉(あいぜん)

謎の女。

瑞生が誰なのか知らないけど、その素質を見抜いて利用している。

浮世離れが非常に深刻で、秋元康はAKBのメンバーだといまだに勘違いしている。

ナレーション。

突っ込み不在の世界に救いを。

地の文に革命を巻き起こすべく生み出された新兵器。

基本的に神視点だが、感情が高ぶると特定のキャラに肩入れする。

オールド

謎の女2

かつて日本の首領(ドン)だったが、部下が有能すぎて出番がなかった。

その部下を愛しさゆえに食べたところ、不死身になったと本人は言うが、大抵の人は信じない。

また、本人にグロ耐性がないので、この話題は避けたがる。

厩戸皇子(うまやどのおうじ)

時代と場所、年代によって呼び方が変わるややこしいひと。

オールドの部下、しかもいつも冷静で取り乱さない。できる人に見えるがただのサイコパスかもしれない。

オールドと1500年くらい前に謎の約束を交わしている。

実は1万円札にその顔が採用されたことがあり、俗世の人間は彼の顔を見ただけで興奮してしまう。年もばれる。

寂推カップチーノ(じゃくすいかっぷちーの)

オールドのメイド。手下。

多分1000年くらい存在しているが、明治維新文明開化後、頭の中お花畑な毎日を過ごしている。名前も常に前時代性を排除して新しいものに改名している。

種族は幽霊。

寂織伏美(じゃくおりふしみ)

種族、幽霊寄りだが例にもれずその他。

出身は尾張の国で相手を馬鹿にするとき『たわけ』という。

何百年も前に封印されて以来、目覚めの時を待っているが、現代の進みすぎた文明を前に、目覚めるに目覚められない。

久遠寺ルナ

種族 ある人は人間だと言い、ある人は死者という。ある人はゾンビだというし、ある人は解脱者だという。答えは藪の中。安定のその他。

作者がさぼっているのではなく、そこが話の主題なので安心してほしい。

天寺結姫(あまでら ゆいき)

種族 ネクロマンサー

ルナちゃんをゾンビに変えた張本人。

しかし、悪意があるわけではないようだ。

また、頭が悪く自然に会話していてもボケに回ってしまう。

伊早坂酒々井(いそざか しすい)

瑞生の過去を知る人物。

瑞生の姉を名乗っているし、瑞生の過去の日記をねつ造して瑞生を都合のいい方向にもっていこうとするが、瑞生の理解が早すぎるため、続きの執筆に追い立てられる。

名前はただのペンネームにすぎず、しかも登録されていないため本名はわからない。

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