カップチーノとお茶会

文字数 2,832文字

瑞生はその後もカップチーノと行動を共にした。
2017/10/25 10:40
どうせやることもないし、暇なのだ。カップチーノもカップチーノでオールドの身の世話などやることはあるはずだが、なぜか瑞生に付き合っている。
2017/10/25 10:41
瑞生は仕事で忙しいであろう一般市民を一瞥して、一つの優越感を持った。
2017/10/25 10:41
(まるで、屋根の上で眠ってる猫になった気分だな。皆さまご苦労様ですよ、本当に)
2017/10/25 10:42
ここは京都駅近くの喫茶店。言ってしまえばチェーン店だが、それでもカップチーノはお気に入りのようだった。
2017/10/25 10:42
これから注文をするためにレジに向かうところだ。
2017/10/25 10:45
瑞生さんは何頼みますか?
2017/10/25 10:45
何があるんだろうなあ。
2017/10/27 16:33
そういう時は本日のおすすめを選ぶのがいいと思います。
2017/10/27 16:33
変な話、瑞生は回転寿司にて、流れてくる寿司をひたすら食べ続ける自分のないタイプだった。こういうご自由にどうぞ、という流れがものすごい苦手。
2017/10/27 16:34
マクドナルドに入って新作メニューを頼むと、サイドメニュー選びに時間が必要な、店員をイラつかせる危険な客。
2017/10/27 16:35
本作の和風ファンタジー要素なのだが、というかただの和の考え方なのだが、お店に入ったら基本的に、適当に握ってくれ、これが基本。本日のおすすめを頼んでおけば安定。
2017/10/27 16:36
じゃあ本日のおすすめにしますかねえ。
2017/10/27 16:38
誰の本日のおすすめにしますか?
2017/10/27 16:40
え? 誰? 誰ってどういうことですか?
2017/10/27 17:32
お店のおすすめはコーヒーになってますけど、私は紅茶のほうが好きです。私のおすすめは嫌いですか?
2017/10/27 17:32
(うぐぅ、どっちでもいいよ、そういうの、と考えてはいけないのか。まあ、素直になっておくか)
2017/10/27 17:33
カップチーノさんのおすすめで。
2017/10/27 17:34
ふふふふ、よかろう。貴様にはたっぷりと、いや、気が変わった。アイスココアをくれてやろう。
2017/10/27 17:34
ちなみに、お店のおすすめを選んだ場合どうなったんですか?
2017/10/27 17:34
拗ねます。
2017/10/27 17:35
カップチーノは即答だった。
2017/10/27 21:04
女の子と喫茶店に行くという伝説の現象が起きているのに、瑞生は謎の圧力をひしひしと感じていた。
2017/10/27 21:05
どうやら、何から何までカップチーノに従わなくてはいけないらしかった。
2017/10/27 21:06
(まあ別にココアでもいいんですけどね。こういうまともなお店のココアはおいしい、と評判らしいから。下手にコーヒーを頼むより賢い選択かもしれない)
2017/10/27 21:07
メニュー選びにそんな本気になる必要はないよ。おすすめを頼んでおけばいい。
2017/10/27 21:09
という突っ込みはさておき、瑞生とカップチーノはお店の椅子に座って、テーブルにお茶をおいてくつろぎ始める。
2017/10/27 21:09
ココアがお茶か、という疑問が残るかもしれないが、午後の紅茶がお茶か、紅茶花伝がお茶か、透明なミルクティーはお茶か、という話が不毛だったので、ここではあえて触れない。
2017/10/27 21:10
ちなみにカップチーノが注文したのはホットココアだった。
2017/10/27 21:13
カップチーノは無造作に瑞生のアイスココアと自分自身のホットココアを混ぜ合わせて、ぬるいココアを錬成していた。
2017/10/27 21:14
(まあ、何か考えがあるんだろうなあ)
2017/10/27 21:15
私、冷たすぎる飲み物は受け付けないんですよね。
2017/10/27 21:15
だからいつもこうして温めてるんですけど、回りくどいですかね?
2017/10/27 21:17
何の考えもなかったよ。
2017/10/27 21:17
うーん、芸風が変わっていますけど、合理的な選択ですね。って言えばいいんですか?


2017/10/27 21:18
ごめん、こういう時なんて言ったらいいのかわからないですよ。ちょっと行動がとびぬけているというか……
2017/10/27 21:19
メイドさんって所詮は家事労働ですから。ごく普通の家庭の主婦と変わらないんですよ。そういう生活してると、非日常を追い求めてしまうんですよね。
2017/10/27 21:20
カップチーノの口調は棘のあるものだった。やる気のない、脱力しきった中に猛毒がありそうな、一度体に取り込んでしまうと取り返しのつかない要素があった。
2017/10/27 21:21
突っ込んだら負け、という考え方もできるが、あえて話を進めると、どうやらカップチーノは本当に疲れているようだった。
2017/10/28 20:07
悲しい性質ですね、こういう飲み物を交わすと、本音が出てしまうんですよ。
2017/10/28 20:08
オールド様、鯛のてんぷら全く食べないんですよ。なんでだと思います?
2017/10/28 20:09
知らないですよそんなの。知ってるわけがないでしょう。
2017/10/28 20:10
徳川家康が食べて死んだからだ、と言っています。妙な偏見ですよね。
2017/10/28 20:10
他にも、吾輩は猫であるの内容は夏目漱石の自虐、人間失格は太宰治のギャグ、ドグラマグラの内容は読者のほうが詳しい、言いたい放題です。
2017/10/28 20:14
全部あってるぞ、それ。
2017/10/28 20:16
そういう変な偏見をあげたらきりがありませんよ。あの人は何を見て生きているんでしょうね?
2017/10/31 14:11
世間ってそういうものじゃないですかね?
2017/10/31 14:12
それ、逃げの一言ですよ。まあ、実際そんなものだってわかってますけどね、さすがの私もやさぐれちゃいます。
2017/10/31 14:12
女の子の黒い本音を味わう瑞生。物事には美しい側面と汚い側面、両方あるのが当たり前。光と闇が組み合わさって現実に存在できる。
2017/10/31 14:12
とはいえ、これからしばらくカップチーノの愚痴に付き合わされるであろう瑞生は少しかわいそうだ。
2017/10/31 14:15
こういう、心に穢れが貯まったときは、無意味な、何の目的もないおしゃべりをするのが、一番の浄化なんですよ。退屈は心を殺していくのに最も有効な手段ですからね。
2017/10/31 14:15
とはいえ、刺激の強すぎるストレス発散をやると、逆に穢れを背負い込むというか、給料日にシャンパンタワーやると次の日に響いて大変なことになるんです。まあ、分かりますよね?
2017/10/31 14:18
(なんて言えばいいんだ。そんなあほなことする奴と一緒にいていいわけがない)
2017/10/31 20:04
まあ、グラス4つの小規模なやつですよ。
2017/10/31 20:05
逆に楽しいんですか、それ?
2017/10/31 20:05
そういう楽しさではなくて、いかに非生産的か、無駄な行為か、そういうステータスが重要になってくるんですよ。わかりませんかねえ?
2017/10/31 20:06
まあ、わからないでもないですが、全面的に肯定するのもどうかと。
2017/11/03 12:43
瑞生さんが冷静なのはわかりますよ。でもね、私はあんまり頭よくないですから。こうやってバカなことをやらないと心が持たないんですよ。まあ、娯楽ってやつかな?
2017/11/03 12:43
(娯楽……俺も記憶を失う前は娯楽をやっていただろうな。そういうのをやらないと心が持たないらしいし。何か趣味でもあったほうがいいかな?)
2017/11/03 12:44
瑞生さんは何してる時が楽しいですか?
2017/11/03 12:45
あんまり心躍ったりするタイプではないので。まあ、宿のテレビを見ている時とか楽しかったですけどね。でもあれ、テレビ見るのは無趣味の代表格だろう?
2017/11/03 12:45
確かに、動画鑑賞は無趣味の代表格ですね。ほかにも音楽鑑賞も無趣味の代表格ですし、読書も無趣味の代表格ですね。そういう何も生み出さない、非生産的な趣味というのは、続ければ続けるだけ心が擦り切れていきますからね。
2017/11/03 12:45
こう、何も生み出さない、消費するだけの趣味は所詮作り出す趣味には遠く及ばないんですよね。
2017/11/03 12:46
そんなカップチーノにはファイナルファンタジーじゃなくてRPGツクールをお勧めしたい。とはいえ、さっき非生産的な行為が楽しい、と言っておいて、もう生産的な趣味の話をしている。話が矛盾だらけだ。
2017/11/03 12:47
しかしながら、やはり何かを作り出す趣味を趣味にしないと、満足できないのは当然だ。消費するだけの趣味は人間をダメにしていく。
2017/11/03 12:48
このままカップチーノとの話を続けるとだらだら続いてしまうので、今回はここまで。

次回に続きます。

2017/11/03 12:50
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登場人物紹介

小峠瑞生(ことうげ ずいしょう)

自分が何の妖怪なのか思い出せないかばんちゃんポジション。

人間の特性を使って、謎を解決していく。

碧泉(あいぜん)

謎の女。

瑞生が誰なのか知らないけど、その素質を見抜いて利用している。

浮世離れが非常に深刻で、秋元康はAKBのメンバーだといまだに勘違いしている。

ナレーション。

突っ込み不在の世界に救いを。

地の文に革命を巻き起こすべく生み出された新兵器。

基本的に神視点だが、感情が高ぶると特定のキャラに肩入れする。

オールド

謎の女2

かつて日本の首領(ドン)だったが、部下が有能すぎて出番がなかった。

その部下を愛しさゆえに食べたところ、不死身になったと本人は言うが、大抵の人は信じない。

また、本人にグロ耐性がないので、この話題は避けたがる。

厩戸皇子(うまやどのおうじ)

時代と場所、年代によって呼び方が変わるややこしいひと。

オールドの部下、しかもいつも冷静で取り乱さない。できる人に見えるがただのサイコパスかもしれない。

オールドと1500年くらい前に謎の約束を交わしている。

実は1万円札にその顔が採用されたことがあり、俗世の人間は彼の顔を見ただけで興奮してしまう。年もばれる。

寂推カップチーノ(じゃくすいかっぷちーの)

オールドのメイド。手下。

多分1000年くらい存在しているが、明治維新文明開化後、頭の中お花畑な毎日を過ごしている。名前も常に前時代性を排除して新しいものに改名している。

種族は幽霊。

寂織伏美(じゃくおりふしみ)

種族、幽霊寄りだが例にもれずその他。

出身は尾張の国で相手を馬鹿にするとき『たわけ』という。

何百年も前に封印されて以来、目覚めの時を待っているが、現代の進みすぎた文明を前に、目覚めるに目覚められない。

久遠寺ルナ

種族 ある人は人間だと言い、ある人は死者という。ある人はゾンビだというし、ある人は解脱者だという。答えは藪の中。安定のその他。

作者がさぼっているのではなく、そこが話の主題なので安心してほしい。

天寺結姫(あまでら ゆいき)

種族 ネクロマンサー

ルナちゃんをゾンビに変えた張本人。

しかし、悪意があるわけではないようだ。

また、頭が悪く自然に会話していてもボケに回ってしまう。

伊早坂酒々井(いそざか しすい)

瑞生の過去を知る人物。

瑞生の姉を名乗っているし、瑞生の過去の日記をねつ造して瑞生を都合のいい方向にもっていこうとするが、瑞生の理解が早すぎるため、続きの執筆に追い立てられる。

名前はただのペンネームにすぎず、しかも登録されていないため本名はわからない。

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