本格推理となったヤゴコロジック

文字数 1,920文字

久遠寺ルナの遺体は火葬場から運び出された。はずだった……。
2017/12/13 21:01
分厚いコンクリートの火葬場から燃え尽きた棺が出てくる。そこには何もない。本当だったら遺骨があるはずなのに。
2017/12/14 20:24
しかし、棺が焼かれて、中の華が燃え尽きてなお、ルナの遺体は焼かれることがなかった。
2017/12/13 21:04
納骨担当のおっさんが、あれ?妙にこの棺軽いな? と疑問に思ったのは当然。だってその段階からすでになかったんだもの。
2017/12/13 21:04
あれやこれや厳重な棺を用意したせいで、中身が消えていたことに誰も気づかない、間抜けな葬式。
2017/12/13 21:05
久遠寺ルナの遺体が消えた……。
2017/12/13 21:05
というのは現在時間から3日前。この物語の主役、瑞生は京都駅近くのニトリに来ていた。
2017/12/13 21:06
瑞生、家具というのはな、使用時間が長いからどうあがいてもお値段以上にならざるを得ないんだ。このお店の広告はあほ丸出しだぞ。
2017/12/13 21:12
碧泉の言うことは正しい。将来ネット作家するなら椅子に金をかけまくれ。ここで贅沢をしないとあとあと悲惨だ。
2017/12/13 21:14
いや、そういう値段はさておきさ、どういう家具が必要なのか俺知らないんだよね。
2017/12/13 21:16
瑞生は京都の一角に自力にて自力で生活しようと策を練っているのだよなあ。
2017/12/14 20:41
そうか、一人暮らしは初めてなのか。ふむ、初体験か。
2017/12/13 21:16
まあ、そうだね。初の体験だけど、碧泉は詳しいだろう?
2017/12/13 21:17
詳しいぞ。何しろ今も独り暮らしだから。オールドのように大きな家があるわけでもないし、部屋は大分狭い。お金を払って大きな家に引っ越すこともできるが、力にものを言わせるのはあほのやることだ。
2017/12/13 21:18
賢者は狭くても部屋を有効な使い方で快適に過ごせる。
2017/12/13 21:19
あれだろ、方丈記の作者が四畳半で生活してたけど、あれぐらいで人間事足りるんだからな。
2017/12/13 21:20
ヤゴコロジック特有の無駄な合理性発動中。
2017/12/13 21:24
西洋人は布団を敷くという習慣がないから、ベッドをどうやって収納するのか苦労しているようだ。実際に見たことがあるわけではないが、頑張ってベッドを収納すると、忍者屋敷みたいなことになる。
2017/12/13 21:27
ロフトベッドぐらいで満足しないものかね。
2017/12/13 21:28
ロフトベッドはいかんぞ。生物、空中に浮いて寝ることは絶対にできない。宇宙飛行士を目指しているなら別だが。
2017/12/13 21:29
その時、店内にJアラートが鳴る。
2017/12/13 21:31
気にすることはない。どうせ狙われるのは東京とかそのあたりだ。仮にゴジラが東京を壊滅させても、地方民には何のダメージもない。
2017/12/13 21:35
これ、俺のスマホの着メロなんだ。面白いだろう?
2017/12/13 21:36
ふむ、なかなか面白いな。Jアラートが実際になった時に電話に出たら、阿部につながるのか?
2017/12/13 21:38
無理だよ。でも、以前電話に出たときは、カップチーノにその着信音黒電話みたい言われて。それよりはましだと思う。
2017/12/13 21:42
黒電話もバカにはできないよ。遠くの人と会話ができるなんて発明が当時としては先進的だったからな。相手が何を考えているのか察しにくいという弱点はあったが。
2017/12/14 18:24
まあ、それは今の時代も変わらないよ。スマホの向こう側の相手なんて何考えてるんだかわからないんだし、ネットの闇だなあ。どうせ出ても相手コミュ障だから何もしゃべれないぜ、きっと。
2017/12/14 18:25
瑞生、それは偏見だぞ。ネトゲ廃人は、オフ会やボイスチャットなどの会話する機会に恵まれ、コミュニケーション能力が極めて高い。お前の考えは前時代的だな。
2017/12/14 18:26
何はともあれ、瑞生は電話に出る。
2017/12/13 21:42
hello help me! the bridge ichijo! help me!!
2017/12/13 21:44
突然の英語、とはいえ、スマホの画面に相手の名前が記載されている。久遠寺ルナ、日本人のようだった。
2017/12/13 21:45
すいません、日本語で大丈夫ですよ。
2017/12/13 21:47
電話は切れた。
2017/12/13 21:47
ヘルプミーか。一条の橋にいるなら、頼るべき相手がほかにいると思うがな。
2017/12/13 21:50
瑞生は無造作に、そして謎の持ち味を踏みにじるように電話してきた相手の連絡先を追跡し、再びかけ直す。
2017/12/13 21:51
もしもし、何かあったんですか?
2017/12/13 21:53
電話の向こうの人は答えた。
2017/12/13 21:53
私、死んだのに生きてる。不思議。死んだのに生きれてる。死んだと思ったのに。
2017/12/13 21:55
それって、普通に生きてるってことではないですかね? あと、次自分が着メロ変えるまでは連絡しないで。Jアラートっぽくて周囲の客が警戒してる。店員が俺を異物でも見るような眼でさ。
2017/12/13 21:55
自業自得ですよ、それ。
2017/12/13 21:57
電話はここで切れた。
2017/12/13 21:58
ルナちゃん正論だったな。瑞生、冗談は休み休み程度で問題ない。たまには休んでおけ。
2017/12/13 21:58
Jアラートだめか。
2017/12/13 21:59
とはいえ、気になるな。一条の橋で生きたの死んだの、引っ掛かりがあるな。
2017/12/13 22:00
何かあるの?
2017/12/13 22:00
死者がよみがえる橋がある。
2017/12/13 22:01
なんか緊急事態っぽいが、妖怪からしてみれば日常かもしれないので、瑞生は買い物が終わってから死者がよみがえる橋に向かおうと思った。
2017/12/14 20:18
今回はここまでです。


悲しいお知らせですが、年末年始集中執筆はヤゴコロジックにはありません。

クリスマス企画も存在しません。


次回更新をお楽しみに。

2017/12/21 18:56
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登場人物紹介

小峠瑞生(ことうげ ずいしょう)

自分が何の妖怪なのか思い出せないかばんちゃんポジション。

人間の特性を使って、謎を解決していく。

碧泉(あいぜん)

謎の女。

瑞生が誰なのか知らないけど、その素質を見抜いて利用している。

浮世離れが非常に深刻で、秋元康はAKBのメンバーだといまだに勘違いしている。

ナレーション。

突っ込み不在の世界に救いを。

地の文に革命を巻き起こすべく生み出された新兵器。

基本的に神視点だが、感情が高ぶると特定のキャラに肩入れする。

オールド

謎の女2

かつて日本の首領(ドン)だったが、部下が有能すぎて出番がなかった。

その部下を愛しさゆえに食べたところ、不死身になったと本人は言うが、大抵の人は信じない。

また、本人にグロ耐性がないので、この話題は避けたがる。

厩戸皇子(うまやどのおうじ)

時代と場所、年代によって呼び方が変わるややこしいひと。

オールドの部下、しかもいつも冷静で取り乱さない。できる人に見えるがただのサイコパスかもしれない。

オールドと1500年くらい前に謎の約束を交わしている。

実は1万円札にその顔が採用されたことがあり、俗世の人間は彼の顔を見ただけで興奮してしまう。年もばれる。

寂推カップチーノ(じゃくすいかっぷちーの)

オールドのメイド。手下。

多分1000年くらい存在しているが、明治維新文明開化後、頭の中お花畑な毎日を過ごしている。名前も常に前時代性を排除して新しいものに改名している。

種族は幽霊。

寂織伏美(じゃくおりふしみ)

種族、幽霊寄りだが例にもれずその他。

出身は尾張の国で相手を馬鹿にするとき『たわけ』という。

何百年も前に封印されて以来、目覚めの時を待っているが、現代の進みすぎた文明を前に、目覚めるに目覚められない。

久遠寺ルナ

種族 ある人は人間だと言い、ある人は死者という。ある人はゾンビだというし、ある人は解脱者だという。答えは藪の中。安定のその他。

作者がさぼっているのではなく、そこが話の主題なので安心してほしい。

天寺結姫(あまでら ゆいき)

種族 ネクロマンサー

ルナちゃんをゾンビに変えた張本人。

しかし、悪意があるわけではないようだ。

また、頭が悪く自然に会話していてもボケに回ってしまう。

伊早坂酒々井(いそざか しすい)

瑞生の過去を知る人物。

瑞生の姉を名乗っているし、瑞生の過去の日記をねつ造して瑞生を都合のいい方向にもっていこうとするが、瑞生の理解が早すぎるため、続きの執筆に追い立てられる。

名前はただのペンネームにすぎず、しかも登録されていないため本名はわからない。

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