第13話:バブル崩壊、神戸地震、金融機関の破綻

文字数 1,869文字

 日本のバブル崩壊による深刻な経済問題が表面化するまでには、数年かかり、当初、一時的な景気後退として楽観論が大勢を占めた。1992年、政治的に、宮沢喜一などが公的資金投入による早期の不良債権処理を言及していたが、官庁、マスコミ、経済団体、金融機関などからの強い反対に遭い実行されなかった。

 そのためバブル崩壊と同時に1973年から続いた安定成長期が、終わり、失われた10年の引き金となった。このバブル崩壊後の1993年時点で、経営学者のドラッカーが、日本の経済の先行きについて聞かれて答えた。その話とは、不況という言葉は、不適切と語った。不況に陥っているというよりは変革期というか、節目の時期に突入しているのではないかと指摘。

 さらに、この状況が、続くのは、10年から20年位ではないでしょうかと予測した。日本の株価は、1990年から急落し地価下落が、本格的に始まったのは1991年。しかし、1993年時点で、そこまで悲観的なると予想していた人物は、世界中で、ドラッカー以外、ほとんどいなかった。これから日本を襲う危機の深さに、日本人は気づいていなかった。

 なにしろ、バブルの象徴のように語られる「ジュリアナ東京」では、まだ、この時期、ボディコン女性が、羽根付き扇子を振り回して踊っていた。これから日本を襲う危機の深さに、ほとんどの人は気づいていなかったのだ。阪神淡路大震災は、1995年1月17日、6時前、淡路島北部、神戸市垂水区沖の明石海峡を震源のM7.3の兵庫県南部地震が発生。

 直下型地震で震源に近い神戸市の市街地「東灘区、灘区、中央区『三宮・元町・ポートアイランド』、兵庫区、長田区、須磨区」の被害は甚大。その犠牲者は6434人。阪神淡路大震災は、日本国内だけではなく、世界中に衝撃を与えた。栃木健吾は、地球温暖化について興味を持ち、このまま、近代化の名の元に公害を放置しておくと大変な事になると心配した。

 さらに、水俣病、四日市・川崎喘息など人にとっても有害であると考えていた。加えて、地球全体にとって悪影響を及ぼすと漠然と危惧していた。そのため1997年12月、気候変動枠組条約締約国会議「COP」が京都開かれると聞き12月6,7日「土、日」出かけた。

 この会議で、京都議定書が決定。対象ガスは、6つ二酸化炭素『CO2』、メタン『CH4』、一酸化二窒素『N2O』、ハイドロフルオロカーボン『HFCs』、パーフルオロカーボン『 PFCs』、六フッ化硫黄『SF6』。CO2、CH4、N2Oの3ガスについては、基準年を1990年、HFC、PFC、SF6の3ガスについては基準年を1995年とした。

 二酸化炭素換算での総排出量を少なくとも5%削減「全体で5.2%削減、対策をとらなかった場合と比べて約30%の削減」と言う数量目標を決定。各国は、別途定められた割当量を超過しない事を確保「日本マイナス6%、米国マイナス7%、EUマイナス8%」この会議を傍聴した。栃木健吾は、投資で成功したら、この事業に貢献したいと心に決めた。

 一方、日本経済は、1997年、戦後、初めて兵庫銀行が経営破綻。1997年から98年にかけ北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、山一證券、三洋証券など大手金融機関が倒産する事態が連続した。この頃になって、初めて1990年代の総括として「失われた10年」という言葉が、使われ始めた。

 その後、430万円を投資口座に送金して投資資金を8千万円にした。1998年12月29日、オービック株を10190円で3千株3057万円で購入し、残金が4943万円となった。翌年、1999年8月、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行は、全面的統合による新しい総合金融グループの結成を発表。

 この銀行3行は、「我が国を代表し世界の五指に入る強力なプレーヤーとなる」目標を掲げた。新しい金融グループの創生に向けては、 3行が共同で持株会社を設立し、その傘下に入ると共に、会社分割法制を活用して統合・再編を行い、顧客セグメントと機能で分けた全く新たな法的分社経営を行うこととした。

 新しい総合金融グループの名は、みずほフィナンシャル・グループに決定。これを契機に多くの金融機関が合併しメガバンクが誕生するきっかけとなった。1999年は過去には、例がない程の不景気となり厳しい雇用情勢が続いた。総務庁の労働力調査では、1999年6、7月の完全失業率が史上最悪の4.9%を記録し、300万人を超える人が失業の憂き目にあった。
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