第11話:墜落事故は、ボーイングの修理ミスと判定

文字数 1,792文字

 後部圧力隔壁に絞った調査で、実物大の隔壁図面を広げて調べているうちに修理された隔壁の一部に一列しかリベットが効いてない箇所がある事を発見。米国調査団の1人アメリカ連邦航空局 「FAA」技術アドバイザーのトム・スイフトは、修理ミスから金属疲労破壊が発生したと推定。8月24日、3回目の調査に入った米国調査団は、隔壁破断面のレプリカを採取した。

 ワシントンのNTSB本部にレプリカを送って検査したところストライエーションと呼ばれる金属疲労痕が見つかった。8月29日、スイフトは八田委員長に「しりもち事故の修理ミスによって接続強度が大幅に下がり、理論計算上は修理後約1万4千回の飛行で圧力隔壁が破壊する可能性がある」とレポートを示した。

 日本の調査団は、9月5、7、10日の3日間、米国調査団とともに修理ミスや金属疲労痕の調査を行った。9月6日、ボーイングによる修理ミスがアメリカ側の調査で判明。それが原因で圧力隔壁が壊れたとニューヨークタイムスが伝えた。ボーイングは同日声明を発表し、1978年の伊丹空港でのしりもち事故の修理で、隔壁継ぎ目全体の17%に不備があった事を認めた。

 堀越豊裕が、ロン・シュリードにインタビュー取材し、シュリードが、ニューヨークタイムズの記者にリークした事が明らかになった。1985年8月27日、日本の事故調査委員会による中間報告では、修理ミスについて触れられず、ボーイング747の構造自体には、何ら問題無い事を周知するためNTSB委員長ジム・バーネットがロン・シュリードにリークするよう指示。

 シュリードからニューヨークタイムズの記者にリークしたという。しかし、ジャンボジェット事故調査をめぐる疑問点も残された。疑問1、「急減圧」は本当にあったのか? 事故調査報告書では、圧力隔壁の損壊部分から与圧された客室内の空気が一気に吹き出したことで、機内には相当な減圧が発生したと推定している。

 事故調査委員会は。この減圧についての計算を行い、異常発生の8秒後には機内の与圧は、全て失われ気温もマイナス40度にまで低下したことを示唆している。事故発生時、高度は23900フィート「7285メートル」で、気圧や酸素濃度は地上の半分以下。もし急減圧があったなら、耳の鼓膜が破れるか痛くて一時的に何も聞こえなくなる。

 そして、酸素濃度が低いため意識がもうろうとする危険な状態になるが、操縦室では。3人とも酸素マスクを使用した形跡がなく、特に身体的な異常を感じていない。事故機は事故発生から18分間、高度20000フィート「6100メートル」以上を維持しており、生存者も室温の低下や強風も感じなかったと証言している。

 この事から、事故機、に急減圧はなく、圧力隔壁の損壊により客室内部の空気圧が垂直尾翼を破壊したとする事故調の結論は破綻しているとの主張がある。その一方、運輸安全委員会の2011年の解説書は、2009年7月13日に急減圧事故を起こしたアメリカのサウスウエスト航空2294便の事例を示し、搭乗していた非番の機長2名の証言を紹介。

「私は、すぐに急減圧を知覚したが、耳の苦痛がほとんどないのに驚いた」
「ハリウッド映画と違い、何も飛ばされず、誰も穴に吸い込まれることはなかった」
「座席に置かれた書類もそのままだった」
「客室がやや冷え、薄い霧を見たが5秒ほどで消滅した」。

 急減圧が発生した際の123便機内の状況は、客席で発生した風は、最大でも秒速10メートル程度で、7秒間。断熱膨張により室温がマイナス40度まで下がっても、エアコンによって室温は、3分程度で回復する。また、客室内の内壁などは冷えていないため、さほど気温が下がったとは感じられないと考えられる。よって、急減圧を感じなかったのではないかとした。

 運航乗務員が酸素マスクを使用しなかったのは、事故機に生じた程度の減圧に対処するよりも操縦操作を優先したと考えられるとしている。さらに、機内で霧が発生したという生存者の証言がある事。現場で発見された水平尾翼の内側から圧力隔壁内側にあった断熱材の破片が大量に発見された事。これらの証拠が急減圧と圧力隔壁破壊があった事を証明しているとした。

「なお、亡くなられた方々に、改めて、ご冥福をお祈り申し上げますと共に、この情報は、全て、報道を参考にさせていただきました」
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