第11話 御錠口

文字数 1,299文字

 翌日。わたしはとりあえず、大奥の部屋を探索することにした。

大奥には、いろんな部屋がある。中には、関係者以外立ち入り禁止のエリアもある。

①御広敷御門
通行許可証「御門札」を見せて出入りを許可される大奥の表玄関

②七つ口
1,御末に雇われた部屋子(女中)が買い物に外出する時
2,女中が宿下がりする時
3,女中相手の商人が長局を訪問する時の場所。

③御錠口
広敷役人(男性)がいる御広敷と長局(大奥)との間を隔てる場所
男性はここより内へは入れない
内の方は、御使番(女中)がかけて、外の方は、広敷役人がかける

④御広座敷
大奥の執務所
御客会釈も詰めており、大名の上使、御三家、御三卿などが訪問した際
この部屋へ案内して応対にあたる
また、新規の女中の採用試験の場所
呉服屋が、女中たちを集めて商いを行う場所

⑤御使座敷
諸大名の女中がお使いで訪問した時の控え室

⑥御右筆の間
大奥の公式書類などの作成に従事する役人がいる部屋
将軍の書き役10名 御台所の書き役5名

⑦長局
大奥の女中たちの部屋があるエリア

⑧新座敷 将軍生母の部屋

⑨千鳥の間 御年寄の部屋

⑩呉服の間 裁縫を司る場所

⑪中年寄詰所 御年寄候補(御毒味役)の部屋

⑫北部屋 お産の場所

⑬宇治の間 将軍の嫡男や姫の部屋

⑭御仏間 将軍家の位牌が仏壇に安置した場所

⑮上御鈴廊下 中奥と大奥を結ぶ廊下
将軍が奥どまりする時に使われる廊下

⑯御小座敷 将軍が夜伽相手と一緒に寝る場所

ひととおりまわってみて、課題をクリアする為に

役立ちそうな場所と言えば、

御錠口、御広座敷、御使座敷の3部屋かな?

数日間、そこにいる人たちに頼んでいさせてもらうことにした。

見知らぬ人が見える度、近くにいる大奥の役人に質問する。

如月の部屋子だと名乗ったら、すんなり、受け入れてもらえた。

忙しい合間をぬって相手してもらっている為、

タイミングを見計らったり、お礼もしなくてはならない。

なかなか、神経を使う作業だ。

お礼と言っても金品の授与はご法度。

口頭だけでなく、ちょっとした贈り物。

ちょっとした贈り物と言えば、女同士ならお菓子が良い。

おやつ時に、おやつを配ることにした。

配るお菓子は、如月様からのおすそわけ。

羽が太ることを気にして食べないから好都合。

「おや、うまそうなものを食べているではないか」

 おやつ時、広敷役人の猿渡一寿さんが通りかかると言った。

「おひとついかがですか? この者からの差し入れです」

 御使番のとみさんが、わたしを指さすと言った。

「ひとついただくとしよう。そなた、名をなんと申す? 」

 猿渡さんが、わたしに聞いた。

「るうと申します。表使の如月様の部屋子をしています」

 わたしが、猿渡さんにお菓子を手渡すと答えた。

「さようか。猿渡と申します。

して、この菓子はどちらの品でござるか? 」

 猿渡さんが、お菓子を手に取ると言った。

「これは、越後の菓子です」

 わたしが答えると、猿渡さんがその菓子を一口でたいらげた。

「何か聞きたいことがあったら、答えられる範囲で教えよう」

 何度か、お菓子をおすそわけする内、猿渡さんからそう言われた。

「実は、上役から課題が出されまして」

 わたしは、猿渡さんに課題の内容を話した。



 



















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