ある人からの手紙 二枚目

文字数 780文字



 正直、あの頃、純のことを遠ざけてたことは否定できない。意味わかんないよね。仲良くしたいのに、近づきたくないっていうのは。でも、人ってそういうものだと思う。

 だって、純はあまりにも、恵まれてるように見えてたんだもん。良くも悪くも、親のこと気にしてませんってスタンスが、自分にはないものだったから。

 自分が持ってないものを、純は全部持ってるように見えてたんだ。いろんな人に愛されて。簡単に手に入れられて、ずるいって思ってた。ほんとうは、すごく、うらやましかった。

 だから、純の持っていないものを手に入れて、見せつけようとしてたのかもしれない。

 そんなことしなくても、こちらから近づけば、純は仲良くしてくれてたんだろうけどね。

 純は、それでも優しくしてくれたから。どんなに傷つけても、笑ってそばにいてくれたから。だから一番好きだったし、いつも一緒にいたくて、調子に乗ってしまったんだと思う。
 全部、純のためだって思いながら、純の気持ちを無視し続けてきたんだよね。

 書いてて思ったんだけど、これって俗にいうロミオメールってやつなのかな? だとしたら気持ち悪いよね、ごめん。
 反省してるとか後悔してるとか書いておきながら、自分の気持ちを押し付けてばっかり。あいかわらずだ。

 こんな手紙送っても、純が戻ってくるのはあり得ないってわかってる。でも、会いたい。純のこと、救ってあげたかった。救えるはずだったから。会って、直接話したいんだ。

 ごめん。わかってる。もう、視界に入れたくもないんだよね。ごめんね。

 たまに考えるんだ。過去をやり直せたらって。そんなことできないって、わかってるんだけど。

 今も純と一緒にいたかったし、一緒に同じことして楽しんでいたかった。いなくならないでほしかった。

 なんでもするから。お願い。

 楽しかったころの関係に、戻りたい。







 ――三枚目に続く。



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