15話―3

文字数 4,790文字

「チェスカさん、ちょっといいですか?」

 休憩が終わり、子供達はフィードを連れて再び外に飛び出した。ナトも誘われたが、どうしてもチェスカに聞きたいことがあり、車内に残ったのである。
 彼は洗い物の手を止めずに「どうしました?」と返す。だが、ここには窓の外を眺めながら絵と向き合うラウロもいる。自分の目線に気づいたのか、チェスカは「もうすぐ終わりますからね」と作業の手を速めた。
 マグカップを手分けして戸棚に戻し、二人は誰もいない女子部屋に入る。窓際の席に腰かけると、外の喧騒がくぐもって聞こえた。

「ナト、私に聞きたいことがあるのでしょう? ここなら誰の耳にも入りません。安心して、話してみてください」

 要件は伝えていないが、『父』にはお見通しだったようだ。ナトは勇気を出して、口を開く。

「前から気になってたんです。チェスカさんは[オリヂナル]の追跡に積極的ではなかった。それどころか、隙をついて逃がそうとしました。最初はナタルさんのためかと思いましたが、もしかして、ラウロさんのためではないでしょうか。何故そこまで肩入れするのか、教えていただきたいです」

 チェスカはしばらく黙っていたが、不意に表情を和らげた。

「貴方は本当に、賢い子ですね。この手の話はまだ早いと思いますが、正直に白状するとしましょう。少々長い話になります。つき合っていただけますか?」

 彼が事実を伏せる時は、決まって心が痛む話になる。だが、ナトは重く頷いた。どんなに辛くても、事実を知りたいのだ。チェスカは椅子にもたれかかり、昔話を語り出した。

 ラウロは以前、身体を売る仕事をしていた。だがフィードを相手した際本社に監禁され、光の届かない地下室で三年間、不特定多数の社員に暴行され続けたという。チェスカが彼と出会ったのはその時であり、哀れに思ったことから、身の回りの世話を始めたのだ。
 しかしラウロは忽然と姿を消した。捜索の末に[オリヂナル]にいることが分かり、フィードは彼を誘拐し自室に閉じこめた。だが約一ヶ月後、本社に侵入したナタルに襲撃され、ラウロは再び逃走した。ナトがチェスカの『娘』になった時には既に、一連の事件の最中だったという。

 その後の展開はナトも知っている。ラウロはフィードに捕らわれることなく、紆余曲折の末、この地で和解したのだ。

「経緯は分かりましたが、何故、お二人は和解したのでしょう?」

 理由が分からず頭を抱える。チェスカは「『愛』ですよ」と呟き、言葉を続ける。

「ラウロさんもチーフも、長い間互いへの『愛』に気づきませんでした。ですが旅を経て、ようやく結ばれたのです」
「『愛』、ですか……」

 書斎の本は読み尽くしたが、『愛』に関する文献はなかった。どのような意味、どのような感情なのだろうか。疑問に思っていると、チェスカは寂しげに微笑んだ。

「貴方のような我が子を大切に想う気持ちも『愛』ですが、それとはまた違った意味ですね。説明するのは難しいのですが、いずれ、貴方も経験すると思いますよ」
「ということは、チェスカさんも経験したことがあるのですか?」
「えぇ。ラウロさんを見た瞬間、はっきりと分かりました」

 ナトは絶句する。チェスカはほんのりと頬を赤く染め、気まずそうに話を進めた。

「身体の中に雷が落ちたような感覚は、今でも忘れられません。壊したいほどの衝動に駆られましたが、欲望に負ける訳にはいかなかった……私は、彼の苦しみも痛みも、全て知っているから」

 チェスカは自分から目を逸らし、俯く。そして、まるで独り言のように、ぽつりぽつりと声を絞り出した。

「子供の頃、『髪の色が女みたい』という理由だけでからかわれてきた。同じ色を持つ父は黒く染めていたけれど、私は学校の規則で染められず、刈り上げて帽子を被ることで他人にも、自分にも見せないようにした。でも一人だけ、自分の色を褒めてくれた人がいた。中学時代の同級生だった」

 可憐な花を思わせる薄桃色。束ねた長い髪は、さらりと肩を流れ落ちる。

「『君の色はきっと、伸ばした方が似合うよ』。そう言ってくれたのが嬉しくて、私は髪を伸ばし始めた。長くなるにつれて、からかわれることも減った。私は彼に感謝したし、良い友人だと思っていた……あの時までは」

 語尾が震える。チェスカは一瞬声を詰まらせ、悲痛な声で続ける。

「彼は『抱かせてくれ』と言って、私を襲った。髪を伸ばすよう勧めたのは、自分好みに仕立てるため。私は抵抗出来なかった。それを肯定と捉えたのか、彼はその後も度々誘ってきた。断ろうと思えば断れた、でも、どんなに辛く苦しくても、私は断らなかった……あの感覚が忘れられなかったから」

 彼の言う『その単語』の意味は分からない。だが、同意無しにしてはならないこと、だと理解出来た。チェスカは忌々しい物を触るように、自身の髪を一房掴む。

「中学卒業を期に、彼とは縁が切れた。髪を染めることも切ることも考えたけれど、どうしても、手をつけられなかった。だからその後も別の人に言い寄られ、時には襲われて、自分自身のことなどもう、どうでもよくなった」

 チェスカは何故、自分に『男の子』のふりを指示したのか。ナトはその理由が分かってしまった。『女の子』というだけで、危険な目に遭う可能性が増えてしまうのだ。もし自分が『男の子』にならなかったら、彼のような被害に遭っていたかもしれない。

 しばらく沈黙が流れた後、チェスカは顔を上げる。絶望に彩られた瞳の中に、僅かな光が見えた。

「……ですが、ラウロさんと出会ったことで、目が覚めました。こんなことがあっていいはずがない。私は、何とか彼を助けられないか、模索し続けました。二度目の監禁の際、ラウロさんとチーフの間に『愛』があるのかもしれないと気づき、もしかしたら気づかせることが出来るのではないか、と思いつきました」

 チェスカは本社に侵入したナタルにも、ラウロにもフィードの変化を伝え、彼を救うよう頼んだ。ナトも同行した追跡時に襲撃の機会があったそうだが、『ここは捕えず油断させましょう』と提案したことで難を逃れたという。セントブロード孤児院周辺の騒動は予想外だったが、運良くフィードが体調を崩したおかげで、逃走に介入出来た訳だ。
[家族]はその後クィン島、フィロ島を縦断したが、その間フィードの心情は大きく変化していた。彼らは共にいくつかの事件に巻きこまれたらしいが、それを乗り越え、フィードはようやく『愛』を理解したのだった。

「チェスカさんは、それでいいのですか?」

 ナトは、理由の分からない悔しさに拳を握り締める。彼は『愛』を抱いた相手のために奔走したというのに、見返りがないではないか。チェスカは席を立ち、ナトの横に跪く。彼は冷たくなった指先で、自分の頬に触れてきた。

「もちろんです。ラウロさんだけでなく、チーフやお嬢様、そして貴方。大切な方々の幸せが、私にとっての幸せですから」

 溢れ出る涙に邪魔され、笑顔を直視出来ない。『父』はどこまでも、『自分自身のことはどうでもいい』と思っているのだ。

 ナトは腕で涙を拭い、チェスカを抱きしめた。泣きじゃくる自分を慰めるように、優しく背を摩られる。「慰めたいのは僕の方なのに」と心の中で吐き捨て、ナトは長い間、彼の胸の中に埋まっていた。


――
 数日後、フィードの怪我が完治した。ナト達は[家族]と別れ、RC本社に帰還する。家に戻るのは一ヶ月ぶりだ。つい先日まで寒さに震えていたのに、季節はもう夏。窓も閉め切っていたため、部屋全体に熱い空気が充満していた。
 チェスカは荷物を床に置き、窓を全開にする。ナトは自分のリュックを開け、荷物整理を始めた。

「いただいたお洋服は、皴が寄らないようクローゼットにかけておきますね」
「はいっ、ありがとうございます」

 丁寧に畳まれたワンピースを数着スーツケースから出し、チェスカは寝室へ向かう。モレノの妹、ミックのお下がり達だ。
 彼女からは、綺麗な宝石のブローチやネックレスも譲り受けている。また、ナタルは『私の部屋にあった物は、自由に使って!』と言ってくれた。二人からの贈り物も、[家族]との思い出も全て、大切な宝物になるだろう。

 そういえば、写真で見たナタルの姿は『男の子』だったが、フィロ島で会った時は『女の子』に戻っていた。肩より少し長いストレートの金髪に、リボンなどの装飾のついた可愛らしい服装(戦いやすさを重視したパンツスタイルだったが)。ナタルの姿は、アルバムで見た『社長令嬢』そのものだった。

「チェスカさん、ちょっといいですか」

 ナトは片づけを中断し、寝室に入る。彼は手を止め、「どうしました」と振り向いた。

「この旅でようやく、自分のやるべきことが分かったんです。聞いてくれませんか?」
「そうですか……分かりました。しかと聞きましょう」

 チェスカはベッドに腰かける。ナトは隣に座り、彼を真っ直ぐ見上げた。

「チェスカさんの力になりたくて、今までたくさんの本を読んで勉強したつもりでした。でも[家族]の皆さんと出会って、僕は何にも知らなかった、と気づいたのです。世界には素晴らしい場所が無数にあること、心優しい人もいること、『愛』だってそうです。僕がチェスカさんを助けたいこの気持ちも、『愛』の一種なんだと思います」

『父』の想い、壮絶な過去を聞いた時から、『愛』とは何かを考え続けてきた。互いに支え合う夫婦、妹に煩わしく構う兄、犬を毛づくろいする猿、そして何気ない会話を交わす追跡者と獲物。他者を大切に想う気持ちこそが『愛』の本質であり、見返りの有無など関係ないのだろう。

「僕はあなたの『娘』ですが、元々は無力な孤児です。[家族]の皆さんもそうだったと聞きましたが、彼らは『先生』という方に教わったおかげで、様々なことを知っているんだと思います。なので、僕も彼らのように、セントブロード孤児院で学んでみたい。そして、将来はRC社員になって、チェスカさんを支えていきたいです」

 彼は口を結び、黙って聞いている。ナトは次第に潤み出す瞳を見て声を詰まらせ、震えながらも言葉を続ける。

「あなたがご自身より他人を優先する方なのは分かっています。でも、これからは、ご自身のために生きてください。僕はチェスカさんにも……いえ。お父さんにも、幸せになってほしいです!」

 灰白色の瞳が震え、涙が零れる。チェスカはそれを拭うことなく、自分を強く抱きしめた。

「ありがとう、ナト。貴方は本当に賢く、立派になりましたね。いきなりは難しそうですが、今後自分がどうなりたいか、少しずつ考えてみます。……ですが、ひとつだけお願いがあります」

 彼は体を離し、自分の肩をがっしり掴む。その表情は涙に濡れながらも、何故か不安一色に染まっていた。

「セントブロード孤児院への入学自体は大賛成ですが、もう少しだけ、待ってください」
「えっ、な、何故ですか?」

 チェスカは立ち上がり、壁に沿って家中を一周する。この行動には見覚えがあった。彼は、盗聴器が隠されていないか確認しているのだ。

「盗聴器はないようですね。……いいですかナト。これから話すことは誰にも、チーフにも知られてはいけません。もし情報が漏れてしまったら、私達は、無事ではいられないでしょう」

 ナトは戦慄する。彼とはこれまでに、何度も秘密を共有してきた。しかし此度の件は間違いなく、最も深刻な内容になるだろう。
 チェスカはナトの耳元で詳細を語り出す。何故、ナタルが[オリヂナル]に身を寄せているのか。それは長い間気になっていた問題の答えであり、自分達だけでなく、[家族]やフィードにも危機が及ぶかもしれない事案に繋がっていた。



Parent and child makes both happy
(似た者親子が、『親子』になるまで)


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

【ノレイン・バックランド】

 男、35歳。[オリヂナル]団長。SB第1期生。

 焦げ茶色の癖っ毛に丸まった口髭が印象的。

 喜怒哀楽が激しくおっちょこちょい。

 髪が薄いことを気にしている。趣味は手品と文章を書くこと。愛称は『ルイン』。

 [潜在能力]は『他の生物の[潜在能力]を目覚めさせる』こと。

【メイラ・バックランド】

 女、32歳。ノレインの妻。SB第3期生。

 カールがかかったオレンジ色の髪をポニーテールにしている。

 お転婆で気が強い。怒ると多彩な格闘技を繰り出す。

 趣味は写真撮影。口癖は「まぁ何とかなるでしょ」。

 [オリヂナル]では火の輪潜り担当。[潜在能力]は『一時的に運動能力を高める』こと。

【ラウロ・リース】

 男、25歳。

 腰までの長さの薄茶色の髪を一纏めにしている。

 容姿・体型のせいで必ず女性に間違われる。明るく振舞うが素直になれない一面がある。

 ある事情から[家族]に素性を隠している。優秀なツッコミ役。趣味はジョギング。

 [オリヂナル]では道化師担当。[潜在能力]は『治癒能力が高い』こと。

【ナタル・シーラ・リバー】

 女、19歳。RC社長の娘。

 肩までのストレートの金髪。瞳は緑色。右耳に赤いイヤリングを着けている。

 母親を殺害した父親に復讐を誓う。勇敢で頼もしい性格。RCを欺くため男装している。特技は武術。

 [オリヂナル]では動物のトレーナー担当。[潜在能力]は『一時的に筋力を上げられる』こと。

【アビニア・パール】

 男、28歳。SB第5期生。占い師『ミルドの巫女』。

 黒い長髪で声が高く、女性に間違えられる。ひねくれた性格の毒舌家だが、お人好しの一面を持つ。

 幼少期の影響で常に女装をしている。職業柄、体を鍛えている。ソラとは犬猿の仲。愛称は『アビ』。

 [潜在能力]は『相手の未来が見える』こと。

【ソラ・リバリィ】

 女、25歳(初登場時は24歳)。SB第7期生。『Sola』の名で歌手活動をしている。

 天真爛漫な性格。空色の長髪を一筋、両耳元で結んでいる。特技はアコーディオンの弾き語り。

 音楽の才能は素晴しいが、それ以外はポンコツ。自他共に認める腐女子。アビニアとは犬猿の仲。

 [潜在能力]は『相手の感情を操る』こと。

【ユノー・ミストリス】

 男、48歳。カルク島出身の宝石職人。

 人情深い性格。運が悪く『疫病神』と呼ばれていたが、[オリヂナル]の公演をきっかけに人生が変わり、現在はアビニアのアパートで宝飾品の工房を営む。

 事故で意識不明になって以来、老化が止まったらしい。見た目は20代後半。

【チェスカ・ブラウニー】

 男、27歳。RC諜報部長。

 薄桃色の長髪を一本に束ねている。瞳は灰白色。灰色の額縁眼鏡をかけている。

 物腰が柔らかく、どんな相手でも丁寧に接する。

 諜報班時代のフィードの部下で、彼のことは『チーフ』と呼ぶ。

【フィード・アックス】

 男、30歳。RC社長代理。

 青い髪をオールバックにしている。蛇のような細い目が印象的。

 冷酷な性格で無表情だが、独占欲が強く負けず嫌い。

 ナタルの教育係を務めていた。鼻を鳴らすのが癖。

 [潜在能力]は『舌に麻痺させる成分を持つ』こと。

【アース・オレスト】

 男、10歳。

 さらさらした黒い短髪。

 実の父親から虐待を受け、『笑う』ことが出来ない。

 控えめで物静かだが、優れた行動力がある。特技は水泳。年齢の割にしっかり者。

 [オリヂナル]では水中ショー担当。[潜在能力]は『酸素がない状態でも呼吸出来る』こと。

【ミック・ラガー】

 女、10歳。モレノの妹。

 ふわふわした栗色の長髪。

 引っ込み思案で無口。古びた青いペンダントを着けている。

 世話を焼きたがるモレノを疎ましく思っている。アースのことが気になっている。

 [オリヂナル]ではジャグリング担当。[潜在能力]は『相手の[潜在能力]が分かる』こと。

【ヒビロ・ファインディ】

 男、35歳。SB第1期生。[世界政府]の国際犯罪捜査員。

 赤茶色の肩までの短髪。前髪は中央で分けている。飄々とした掴み所のない性格。

 長身で、同性も見惚れる端正な顔立ち。同性が好きな『変態』。

 ノレインを巡り、メイラと激闘を繰り返してきた。

 [潜在能力]は『相手に催眠術をかける』こと。

【シドナ・リリック】

 女、28歳。ミルド島出身の[世界政府]国際犯罪捜査員。シドルの姉で、ヒビロの部下。

 明るい緑色のストレートの長髪。真面目でしっかり者。策士な一面を持つ。

 海難事故により、[潜在能力]に目覚めている(『相手の記憶を操作する』こと)。

【アンヌ】

 女、24歳。ミルド島の女怪盗。『猫』。

 肩までの黒い巻毛。瞳は黄色。露出度の高い服装を好む。

 我が儘で気まぐれだが、一途な一面も見せる。

 ユーリットを女性恐怖症に陥れた張本人だが、事件後何故か彼に好意を抱くようになった。

【ウェルダ・シアコール】

 女、27歳。SB第6期生。SB近所の交番勤務。

 赤みがかった肩までの黒髪。瞳は茶色。

 曲がったことは嫌いな性格だが、面倒臭がり。ソラの親友。

 [地方政府]に在籍したことがある。ソラとアビニアに振り回されたせいか、しっかり者になった。

 [潜在能力]は『手を介して加熱出来る』こと。

【デラ&ドリ・バックランド】

 男、12歳。バックランド家の双子の兄弟。

 明るい茶色の癖っ毛。無邪気で神出鬼没。

 見た目も性格も瓜二つだが、「似ている」と言われることを嫌がる。

 [オリヂナル]では助手担当。[潜在能力]は『相手の過去を読み取ること』(デラ)、『相手の脳にアクセス出来ること』(ドリ)。

【モレノ・ラガー】

 男、15歳。ミックの兄。

 真っ直ぐな栗色の短髪。

 陽気な盛り上げ役。帽子をいつも被っており、服装は派手派手しい。

 割と世間知らずな面がある。妹離れが出来ない。

 [オリヂナル]では高所担当。[潜在能力]は『一時的にバランス能力を高める』こと。

【ミン・カルトス】

 女、12歳。SBの生徒。生まれて間もない頃、SBに捨てられた過去を持つ。

 黒髪を低い位置でツインテールにしている。チェック柄のワンピースが好み。

 おとなしい性格だがお喋り好き。SB近所の町で幼い子供達の世話を手伝っている。

 コンバーとは実の兄妹のような間柄だった。

 [潜在能力]は『一時的に体を金属に変えられる』こと。

【レント・ヴィンス】

 男、年齢不詳(見た目は30代)。SBを開設した考古学者。

 癖のついた紺色の短髪。丸い眼鏡を身に着けている。服装はだらしない。

 常に笑顔で慈悲深い。片づけが苦手で部屋は散らかっている。

【ミディ・ホート】

 男、11歳。SB近所の町に引っ越してきた少年。

 朱色の短髪。引っ込み思案だが友達想い。

 子供達の世話をするミンと出会い、彼女を手伝うようになった。

【リベラ・ブラックウィンド】

 女、32歳。SB第3期生。SB近所で診療所を営む。ニティアの妻。

 毛先に癖がある黒い長髪。右の口元のほくろが印象的。

 おっとりとした性格。元々体が弱く、病気がちである。

 メイラの親友。趣味は人の恋愛話を聞くこと。

 [潜在能力]は『相手の体調・感情が分かる』こと。

【ニティア・ブラックウィンド】

 男、35歳。SB第1期生。リベラの診療所の薬剤師。リベラの夫。

 白いストレートの短髪。白黒のマフラーを常に身に着けている。

 極端な無口で、ほとんど喋らないが行動に可愛げがある。

 筋肉質で、体はかなり鍛えられている。趣味は釣り。

 [潜在能力]は『風を操る』こと。

【リタ・ウィック】

 女、10歳。SBの生徒。

 焦げ茶色の肩までの短髪。動き易いズボンを身に着けており、時々少年に間違われる。

 SBを代表する問題児。フロライト兄妹とは悪友で、常にファビを振り回している。

 [潜在能力]は『衝撃波を操る』こと。

【サファノ・フロライト】

 男、8歳。SBの生徒。ルビナの兄。

 紫に近い青い短髪。好きな色は青。やんちゃな性格で、イタズラ大好き。

 ルビナとは双子だが二卵性らしく、あまり似ていない。

 [潜在能力]は『体全体から光を発生させる』こと。

【ルビナ・フロライト】

 女、8歳。SBの生徒。サファノの妹。

 橙に近い赤い長髪。好きな色は赤。

 性格はサファノと似ており、イタズラ大好き。

 [潜在能力]は『体の一部分から光を発生させる』こと。

【コンバー・カインドウィル】

 男、19歳。SBの卒業生。

 黒に近い茶色の短髪。優しい笑顔がトレードマークで、滅多に怒らない温和な性格。

 教師志望で卒業後は文系の大学に通っていたが、転落事故に遭ったファビを[潜在能力]で助け、亡くなった。

 [潜在能力]は『自分と相手の体の状態を交換出来る』こと。

【ギール・グリー】
 男、41歳。グリーンウルフ社の社長。『狼』。
 深緑色の短髪。大柄で強面。威圧感を常に放つ。
 傲慢な性格だが、その割に社員を大事にしている。
 フィードとは昔から面識があるようだが、互いに嫌悪している。
 座右の銘は「働かざる者食うべからず」。

【ラッシュ・シーウェイ】
 男、26歳。RC視察部員。
 黄緑色の短髪を立たせているが、身長が低くカバー出来ていない。
 誰に対しても生意気だが、小心者で臆病。おまけに運が悪く、とばっちりが多い。
 グリーンウルフ社を視察した際ギールに気に入られてしまい、出向扱いとなった。

【サリディナ・ミラード】
 女、29歳。グリーンウルフ社の専務。
 モスグリーンの長髪をきっちりまとめている。首筋にサソリのタトゥーが刻まれている。
 沈着冷静な性格。仕事には私情を挟まず厳格に対応する。

【セドック・ティール】
 男、39歳。グリーンウルフ社の副社長。
 黄土色の短髪。長身だが威圧感はない。
 非常に温和な性格。ギールとは昔からの知り合いらしい。

【イオ・ハウディア】
 男、20歳。ローレンの助手。
 偶然見かけたローレンに一目惚れし、大学を辞めて研究所に入所した。
 黒に近い茶色の短髪に、真っ赤な首輪をつけている。
 人当たりが良く忠実だが、人間としての情は欠落している。
 『犬』であり、生まれた時から自分の『飼い主』を探していた。

【ローレン・ライズ】
 男、46歳。ミルド島北部にある研究所の所長。
 以前起こした不祥事が原因で『穢れた科学者』と呼ばれ、忌み嫌われている。
 癖の強い金色の長髪に眼鏡姿。瞳は黒。目つきが悪く、猫背気味。
 研究のことになると周りが見えなくなる。
 研究所は不祥事後RC傘下になり、担当のフィードやチェスカにサンプルを押しつけている。

【ナト】
 女、6歳。チェスカの養子。
 チェスカに指示され、男装をしている。パステルブルーの短髪に白いキャップといった少年のような格好。
 この年の少女にしては冷静で、勉強が趣味。学力は大人にも匹敵する。
 元々孤児だったが、チェスカに拾われて以来RC諜報部で生活している。

【スコード=ニグル】

 男、21歳。ポーン島ニグル族の住民で、トゥーイの側近。

 濃い茶色に白が混じる肩までの短髪。冷静で物静かだが、少し抜けている。

 若いながらも剣術に優れ、側近になってからはガウィの弟子になる。

 トゥーイのことは幼い頃から気にかけている。

【トゥーイ=ニグル】

 女、17歳。ポーン島ニグル族長老の孫で、[鍵]の守護者。

 濃い茶色に黄色が混じる髪をお下げにしている。

 責任感が強く時々無茶をするが、年頃の少女らしい一面も持つ。

 甘い物に目がない。カルデムのことを尊敬しており、幼い頃からついて回っていた。

【ヤウィ=ニグル】

 男、84歳。ポーン島ニグル族長老で、トゥーイの祖父。

 ぼさぼさの白髪に、黄色が混じる。見た目はほぼ農民。

 根が呑気なため、多少の物事には動じない。

 トゥーイと同じように無茶をしがちである。よくぎっくり腰をやらかす。

【ガウィ=ニグル】

 男、52歳。ポーン島ニグル族次期長老で、トゥーイの父親。

 濃い茶色の髪を短く刈りこんでいる。毛先は黄色。

 厳格で神経質だが民からの信頼は厚い。狩猟部隊の長を務めており、屈強な肉体を持つ。

 トゥーイを[鍵]の守護者に推薦した張本人だが、何かと子離れが出来ていない。

【ダルク】
 男、30歳。フィロ島の『狩人』で、『鷹』。
 真っ直ぐな氷色の長髪。義父の形見のサングラスをかけている。瞳は赤色。
 冷静な性格で、『狩人』であることに誇りを持つ。猟銃の名手。
 元は孤児だったが義父ヨザを『熊』に殺害され、復讐を誓う。

【クレイ】
 男、21歳。フィロ島の『狩人』で、『虎』。
 少々癖のある氷色の短髪。瞳は黄色。
 感情がコロコロ変わり、落ち着きがない。人懐こい性格だが、狩りの時は別人のようになる。
 ダルクを本当の兄のように慕っており、彼と共に『熊』を狩ることを決心する。

【ヨザ・グラシア】

 男、享年49歳。フィロ島の『狩人』で、ダルクとクレイの育ての親。

 瞳は紫色。猟銃使いであり、黒いサングラスをかけていた。

 7年前『熊』に襲われ、殺されてしまった。

【ハビータ・ジェニアン】
 女、57歳。フィロ市場の責任者。
 ウェーブのかかった氷色の短髪。瞳の色はライトグレー。
 世話焼きな性格で、出店者達に慕われている。
 ヨザの幼馴染であり、長い間親交があった。

【ベイツ・ブライン】
 男、56歳。フィロ島出身の[世界政府]国際裁判官。
 元『狩人』であり、『しきたり』をまとめた指南書の著者。
 瞳は茶色。顔面には一本の大きな傷が走っている。

【ハルモ・ラスキー】
 女、年齢不詳(見た目は10代前半)。フィロ市場の名物売り子。
 さらさらした氷色の長髪。瞳は白色。見た目は少女だが胸だけは大きい。
 よくドジを踏むが、フィロ島の食材については誰よりも詳しい。
『狩人』達とは仲が良く、彼らのことは何かと気にかけている。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み