18話―4

文字数 4,220文字

[獣]の合流後、ミルド達[守護神]は軍へと赴き、侵攻を止めるよう呼びかけた。『神』の思し召しとあらば、と軍の指導者達が渋々通達を出したことで、事態は一旦収束する。しかし、上層部の決定に反発した兵士達が次々と軍を抜け、地方内外にて反乱が起き始めた。
 ムーゼとロミエルを指示役に置き、セシレールとグラビス、ビリーと彼の率いる防衛軍が反乱の鎮圧を担当した。サーシャ、レナ、カントは負傷兵や一般市民の救護に回り、ミルドもまた、戦地を奔走する。息の合った連携が功を奏したのか、ミルド地方内の反乱は数ヶ月で収まった。

 他の地方でも[守護神]と[獣]達の活躍により、戦禍は徐々に鎮まってゆく。だが[獣]の集結から一年が過ぎた頃、状況は一変した。カルク地方の[獣]、『烏』が反旗を翻したのだ。
『烏』はカルク地方軍の中将であり、軍全体の指揮とカルクの参謀を両方こなしていた。しかし停戦に向かう状況を良く思わなかったのか、反乱軍を率いて、隣接するミルド、ポーン、フィロ地方へと同時侵攻した。

 ミルドは直ちに、セシレールとビリーを北東の戦線に派遣した。そしてムーゼをカルクの補佐役として現地に送り届け、残りの人員で再度勃発した内乱に立ち向かった。
 全員生きて帰ってきてほしい。ミルドは強く願ったが、『烏』と対峙したビリーは討ち取られ、更に、カントは救護先で戦闘に遭い命を落としてしまった。

「ミルド、僕はこの任務を降ります」

『烏』の謀反からもうすぐ三ヶ月。戦地のミルド達を訪れたセシレールは、固い声でそう告げた。激昂するサーシャとレナを制止し、ミルドは彼の前に立つ。その紫紺の瞳は出会った頃と変わらず、一片の曇りもなかった。

「もう覚悟は決まってるんだね、セシル」
「はい。こうなってしまった以上……世界中の皆が分かり合えるなんて、絶対に出来ない。軍に戻って、最期まで、故郷のために戦います」

 セシレールは何か言いかけたロミエルに首を振り、今にも泣きそうな顔で笑った。

「言いたいことは分かってるよ。僕はたぶん、戻ってもすぐ死ぬ。でも教官や少佐、それにカントとムーゼさんのことを想うと、黙っていられないんだ」

 カルクによって『烏』が粛清された数日後、フィロ地方の『狼』がカルク地方を襲撃した。その結果首都は壊滅し、現地で指揮を執るムーゼは未だ消息不明である。また同時期にクィン地方の[獣]達も押し寄せたことで、対応に当たっていたグラビスも犠牲となったのだ。
 セシレールは真剣な表情に戻り、サーシャとレナに懇願した。

「ミルドとロミエルのこと、どうかよろしくお願いします。……じゃあ、僕はこれで。今までお世話になりました」

 彼は踵を返し、名残惜しそうに、ミルドを振り返る。言葉はなかったが『貴方と共に戦えて、幸せでした』と、想いが伝わってきた。
 セシレールは一歩駆け出し、風のように掻き消える。レナは泣き崩れ、サーシャとロミエルは口を結んだまま悲しみに耐えていた。

 未来はもう変わらない。先程届いた『神』の宣告を皆に伝えられないまま、ミルドは己の無力さを痛感するのだった。



――――
 セシレールとの別れから三日後、『神』は予告通り世界を滅ぼした。
 人間達だけでなく周囲の木々や虫、全ての生命が目の前で粒子と化し、宙に消える。残されたのは五体の[守護神]のみ。ミルドは慟哭し、世界を無に返した『神』を、そして戦を止められなかった自身を激しく恨んだ。

 生命の再創造を始めた『神』に、ミルドは人間の復活を強く訴えた。しかし聞き入れてはもらえず、『私の命と引き換えにしてでも』と更に食い下がった。
 その甲斐があり『神』は人間の復活を許した。だが『二度と戦を起こさせないこと』を条件にされ、もし再び戦乱が起きた場合は相応の処置を取る、と宣言されたのだ。

『神』は[Original(この世界)]を壊し、五つの[島]に分断した。そして数千年かけて破壊前の状態まで修復し、新たに誕生した人間からは重要な要素を取り上げた。
 ひとつは言語。もし再び交流が始まっても争いの種を増やさぬように、ミルド人から派生した人間の言語を『公語(旧ミルド地方北部語(ミルディッシュ))』に限定した。ポーン人の言語を無くさなかったのは『神』自身の母語だから、とミルドは推察している。
 もうひとつは[贈与能力]。初期のように全滅の恐れもあるため、有事にのみ発動するよう封印した。更に[贈与能力]を持たないポーン人や動植物、昆虫にも力を分け与え、『ほぼ全ての生物が保有する特別な力』として[潜在能力]と名を改めた。

[守護神]は生物でもなければ『神』でもない。土地を守るためだけの『生きた機械』だ、とミルドは思っている。
 生物のように死ぬことも、『神』のように新たな命を生み出すことも出来ない。破壊された『歴史』を知ってもらおうと散々努力しても、結局、誰にも伝わらないままだった。

 最後に日記をつけたのは、セシレールが去った日の夜。最後の一文まで目を通すと、用紙が不自然に縮んでいることに気づいた。それは水滴が乾いた跡に似ている。そしてその端には、慌てて捲ったような皺が寄っていた。
 ミルドは気になり、ページを捲る。ここには日記ではなく、この『歴史書』を読むであろう他者に向けたメッセージを残していた。水滴の跡は文章に沿ってあちらこちらに落ちており、まるで、読みながら涙を零したように見えて。

「気づいてしまったか。実は、[鍵]の守護者がこの洞窟を訪れている」

 ポーンの一言に、クィンとフィロは同時に『えぇっ⁉』と叫ぶ。彼らが問い詰めようとする前に、ポーンは言葉を続けた。

「彼女はその書物を読み、大変心を痛めていた。そしてこの地を封じ、他者と手を取り合うことで平和を築くと誓ってくれた。『歴史』に関する記憶は消したが、そうしなくとも、彼女は元々ここを封じるつもりだったらしい」
『敢えて見過ごすなど、そなたらしくもない。どういう風の吹き回しだ?』
「ふっ。彼女が『歴史』をどう思うか、知りたくてな」

 カルクの質問を受け流し、ポーンは僅かに微笑んだ。

「ミルド。お前の意志は間違いなく、人間に伝わっている。地道な活動があったからこそ、平和を掴み取ったのだ」

 ミルドの脳裏に、セントブロード孤児院を設立するきっかけの出来事が浮かび上がる。
 作成した資料を埋めに海岸を訪れた際、意識のない二人の人間が打ち上げられていた。その片方は『狐』であり、思わず『歴史』を思い返してしまった。

 これまでは資料の編纂や考古学の普及に必死だったが、一方で居場所を失い絶望に暮れる者が後を絶たない。平和を願いながらも、人間達のことは全く見えていなかったのだ。
 ミルドは二人を助け、彼らの協力を得て『家』を作り、孤児達の里親となった。そして過去の罪滅ぼしをするように、彼らの教育に命をかけた。

 たった百年にも満たない短い期間にも関わらず、教え子達は立派に育ち、世界を揺るがす大事件を食い止めてみせた。ミルドの想いが、『この世界』を変えたのだ。

『ポーン、やっぱり何か変わったよね?』

 クィンはにやにやと指摘する。ポーンは言葉を返すことなく表情を崩し、洞窟の入口に歩み寄った。

「さぁ、そろそろ新しき夜が明ける。今後百年の予定を聞かせてもらおう」

 扉の隙間からは、僅かに光が差しこんでいる。会合は夜明けまで。新年の太陽が上がると共に、次の百年が始まる。

『予定も何も。自分はまだ『狼』の子守の最中だから、とりあえずはそっちに専念するよ』
『わたしも、やることは変わらないかな。みんなが幸せに暮らせるようにがんばるの!』
『ていうか、いい加減体替えたら? いつか化け物認定されて『狩人』さんに狩られちゃうかもよ?』

 フィロはいきり立ち、クィンにぽかぽかと殴りかかる。カルクは深く溜息をつき、彼らを止めることなく発言した。

『新たな体制となったリバースカンパニーを注視しつつ、私の方でも、民を救う手立てを模索するつもりだ。無論仮の姿を使って、な』
「ポーン島も[世界政府]も、しばらく安泰だろう。この姿も長く使い過ぎた。数年のうちに別の姿を用意し、文字通り『代替わり』するつもりだ。……ミルドはどうする?」

 ミルドは日記を閉じ、本棚にそっと押しこめる。命を捨てる覚悟はあるようだが、彼にはまだ考古学者として、すべきことがあった。

『ミルド島における[潜在能力]の自然顕在化、それと[獣の記憶]の再発の理由は、まだ判明していない。生徒達の教育を続けながら、もう少し探ってみるよ』

 現代の人間には[獣の記憶]はないはずだが、どうやら、[潜在能力]と同様に次々と受け継がれている。生まれながらにして[潜在能力]が発現する理由も不明であり、それらを解明することが、彼の当面の目標になりそうだ。

「では、これにて会合を終了する。皆抜かりなく行動するように」

 ポーンの姿は黄金色の粒子となり、洞窟を抜けてゆく。カルク、クィン、フィロの分身も別れの挨拶と共に気体化し、この場から消えた。

 ミルドは大量の蔵書を見やり、満足げに微笑む。この文章を読む者が私の他にいたとしたら、これ以上嬉しいことはない。『歴史書』に刻んだこの呼びかけが現実のものとなり、心が救われる思いだった。ここに『歴史』を残し続けたのは彼の我儘だったが、一人でも目を通した者がいたのなら、意味はあったのだろう。

 分身を煙に変え、ミルドは洞窟の外に出る。金色の光に包まれた荘厳な夜明け。それは前回訪れた時よりも、眩しく思えた。
 余韻をしばし堪能した後、ミルドは再び[白鳥]の姿に戻り、この地を飛び立った。



 人間は実に脆く、愚かだ。しかし、彼らは互いを思いやり助け合い、温かな心を持つ愛すべき存在でもある。



 世界の再構築から幾千年。私は新しき『この世界』に生きる全ての者の目を通して、『人間』の本質を探ろうとした。中には理解し難い者もいたが、基本的には皆、他者を愛する心を持ち合わせていた。

[守護神]は決して、『生きた機械』ではない。彼らもまた私にとっての『家族』であり、かけがえのない存在だ。彼らの意志が揺るがない限り、『この世界』は間違った方向には進まないだろう。
 人間と[守護神]、そして全ての生命が共存する理想郷。かつて思い描いた『夢』は、多くの者の願いを受け、現実のものとなったのだ。



Original dawn prelude
(新たな世界への前奏曲)


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登場人物紹介

【ノレイン・バックランド】

 男、35歳。[オリヂナル]団長。SB第1期生。

 焦げ茶色の癖っ毛に丸まった口髭が印象的。

 喜怒哀楽が激しくおっちょこちょい。

 髪が薄いことを気にしている。趣味は手品と文章を書くこと。愛称は『ルイン』。

 [潜在能力]は『他の生物の[潜在能力]を目覚めさせる』こと。

【メイラ・バックランド】

 女、32歳。ノレインの妻。SB第3期生。

 カールがかかったオレンジ色の髪をポニーテールにしている。

 お転婆で気が強い。怒ると多彩な格闘技を繰り出す。

 趣味は写真撮影。口癖は「まぁ何とかなるでしょ」。

 [オリヂナル]では火の輪潜り担当。[潜在能力]は『一時的に運動能力を高める』こと。

【ラウロ・リース】

 男、25歳。

 腰までの長さの薄茶色の髪を一纏めにしている。

 容姿・体型のせいで必ず女性に間違われる。明るく振舞うが素直になれない一面がある。

 ある事情から[家族]に素性を隠している。優秀なツッコミ役。趣味はジョギング。

 [オリヂナル]では道化師担当。[潜在能力]は『治癒能力が高い』こと。

【ナタル・シーラ・リバー】

 女、19歳。RC社長の娘。

 肩までのストレートの金髪。瞳は緑色。右耳に赤いイヤリングを着けている。

 母親を殺害した父親に復讐を誓う。勇敢で頼もしい性格。RCを欺くため男装している。特技は武術。

 [オリヂナル]では動物のトレーナー担当。[潜在能力]は『一時的に筋力を上げられる』こと。

【アビニア・パール】

 男、28歳。SB第5期生。占い師『ミルドの巫女』。

 黒い長髪で声が高く、女性に間違えられる。ひねくれた性格の毒舌家だが、お人好しの一面を持つ。

 幼少期の影響で常に女装をしている。職業柄、体を鍛えている。ソラとは犬猿の仲。愛称は『アビ』。

 [潜在能力]は『相手の未来が見える』こと。

【ソラ・リバリィ】

 女、25歳(初登場時は24歳)。SB第7期生。『Sola』の名で歌手活動をしている。

 天真爛漫な性格。空色の長髪を一筋、両耳元で結んでいる。特技はアコーディオンの弾き語り。

 音楽の才能は素晴しいが、それ以外はポンコツ。自他共に認める腐女子。アビニアとは犬猿の仲。

 [潜在能力]は『相手の感情を操る』こと。

【ユノー・ミストリス】

 男、48歳。カルク島出身の宝石職人。

 人情深い性格。運が悪く『疫病神』と呼ばれていたが、[オリヂナル]の公演をきっかけに人生が変わり、現在はアビニアのアパートで宝飾品の工房を営む。

 事故で意識不明になって以来、老化が止まったらしい。見た目は20代後半。

【チェスカ・ブラウニー】

 男、27歳。RC諜報部長。

 薄桃色の長髪を一本に束ねている。瞳は灰白色。灰色の額縁眼鏡をかけている。

 物腰が柔らかく、どんな相手でも丁寧に接する。

 諜報班時代のフィードの部下で、彼のことは『チーフ』と呼ぶ。

【フィード・アックス】

 男、30歳。RC社長代理。

 青い髪をオールバックにしている。蛇のような細い目が印象的。

 冷酷な性格で無表情だが、独占欲が強く負けず嫌い。

 ナタルの教育係を務めていた。鼻を鳴らすのが癖。

 [潜在能力]は『舌に麻痺させる成分を持つ』こと。

【アース・オレスト】

 男、10歳。

 さらさらした黒い短髪。

 実の父親から虐待を受け、『笑う』ことが出来ない。

 控えめで物静かだが、優れた行動力がある。特技は水泳。年齢の割にしっかり者。

 [オリヂナル]では水中ショー担当。[潜在能力]は『酸素がない状態でも呼吸出来る』こと。

【ミック・ラガー】

 女、10歳。モレノの妹。

 ふわふわした栗色の長髪。

 引っ込み思案で無口。古びた青いペンダントを着けている。

 世話を焼きたがるモレノを疎ましく思っている。アースのことが気になっている。

 [オリヂナル]ではジャグリング担当。[潜在能力]は『相手の[潜在能力]が分かる』こと。

【ヒビロ・ファインディ】

 男、35歳。SB第1期生。[世界政府]の国際犯罪捜査員。

 赤茶色の肩までの短髪。前髪は中央で分けている。飄々とした掴み所のない性格。

 長身で、同性も見惚れる端正な顔立ち。同性が好きな『変態』。

 ノレインを巡り、メイラと激闘を繰り返してきた。

 [潜在能力]は『相手に催眠術をかける』こと。

【シドナ・リリック】

 女、28歳。ミルド島出身の[世界政府]国際犯罪捜査員。シドルの姉で、ヒビロの部下。

 明るい緑色のストレートの長髪。真面目でしっかり者。策士な一面を持つ。

 海難事故により、[潜在能力]に目覚めている(『相手の記憶を操作する』こと)。

【アンヌ】

 女、24歳。ミルド島の女怪盗。『猫』。

 肩までの黒い巻毛。瞳は黄色。露出度の高い服装を好む。

 我が儘で気まぐれだが、一途な一面も見せる。

 ユーリットを女性恐怖症に陥れた張本人だが、事件後何故か彼に好意を抱くようになった。

【ウェルダ・シアコール】

 女、27歳。SB第6期生。SB近所の交番勤務。

 赤みがかった肩までの黒髪。瞳は茶色。

 曲がったことは嫌いな性格だが、面倒臭がり。ソラの親友。

 [地方政府]に在籍したことがある。ソラとアビニアに振り回されたせいか、しっかり者になった。

 [潜在能力]は『手を介して加熱出来る』こと。

【デラ&ドリ・バックランド】

 男、12歳。バックランド家の双子の兄弟。

 明るい茶色の癖っ毛。無邪気で神出鬼没。

 見た目も性格も瓜二つだが、「似ている」と言われることを嫌がる。

 [オリヂナル]では助手担当。[潜在能力]は『相手の過去を読み取ること』(デラ)、『相手の脳にアクセス出来ること』(ドリ)。

【モレノ・ラガー】

 男、15歳。ミックの兄。

 真っ直ぐな栗色の短髪。

 陽気な盛り上げ役。帽子をいつも被っており、服装は派手派手しい。

 割と世間知らずな面がある。妹離れが出来ない。

 [オリヂナル]では高所担当。[潜在能力]は『一時的にバランス能力を高める』こと。

【ミン・カルトス】

 女、12歳。SBの生徒。生まれて間もない頃、SBに捨てられた過去を持つ。

 黒髪を低い位置でツインテールにしている。チェック柄のワンピースが好み。

 おとなしい性格だがお喋り好き。SB近所の町で幼い子供達の世話を手伝っている。

 コンバーとは実の兄妹のような間柄だった。

 [潜在能力]は『一時的に体を金属に変えられる』こと。

【レント・ヴィンス】

 男、年齢不詳(見た目は30代)。SBを開設した考古学者。

 癖のついた紺色の短髪。丸い眼鏡を身に着けている。服装はだらしない。

 常に笑顔で慈悲深い。片づけが苦手で部屋は散らかっている。

【ミディ・ホート】

 男、11歳。SB近所の町に引っ越してきた少年。

 朱色の短髪。引っ込み思案だが友達想い。

 子供達の世話をするミンと出会い、彼女を手伝うようになった。

【リベラ・ブラックウィンド】

 女、32歳。SB第3期生。SB近所で診療所を営む。ニティアの妻。

 毛先に癖がある黒い長髪。右の口元のほくろが印象的。

 おっとりとした性格。元々体が弱く、病気がちである。

 メイラの親友。趣味は人の恋愛話を聞くこと。

 [潜在能力]は『相手の体調・感情が分かる』こと。

【ニティア・ブラックウィンド】

 男、35歳。SB第1期生。リベラの診療所の薬剤師。リベラの夫。

 白いストレートの短髪。白黒のマフラーを常に身に着けている。

 極端な無口で、ほとんど喋らないが行動に可愛げがある。

 筋肉質で、体はかなり鍛えられている。趣味は釣り。

 [潜在能力]は『風を操る』こと。

【リタ・ウィック】

 女、10歳。SBの生徒。

 焦げ茶色の肩までの短髪。動き易いズボンを身に着けており、時々少年に間違われる。

 SBを代表する問題児。フロライト兄妹とは悪友で、常にファビを振り回している。

 [潜在能力]は『衝撃波を操る』こと。

【サファノ・フロライト】

 男、8歳。SBの生徒。ルビナの兄。

 紫に近い青い短髪。好きな色は青。やんちゃな性格で、イタズラ大好き。

 ルビナとは双子だが二卵性らしく、あまり似ていない。

 [潜在能力]は『体全体から光を発生させる』こと。

【ルビナ・フロライト】

 女、8歳。SBの生徒。サファノの妹。

 橙に近い赤い長髪。好きな色は赤。

 性格はサファノと似ており、イタズラ大好き。

 [潜在能力]は『体の一部分から光を発生させる』こと。

【コンバー・カインドウィル】

 男、19歳。SBの卒業生。

 黒に近い茶色の短髪。優しい笑顔がトレードマークで、滅多に怒らない温和な性格。

 教師志望で卒業後は文系の大学に通っていたが、転落事故に遭ったファビを[潜在能力]で助け、亡くなった。

 [潜在能力]は『自分と相手の体の状態を交換出来る』こと。

【ギール・グリー】
 男、41歳。グリーンウルフ社の社長。『狼』。
 深緑色の短髪。大柄で強面。威圧感を常に放つ。
 傲慢な性格だが、その割に社員を大事にしている。
 フィードとは昔から面識があるようだが、互いに嫌悪している。
 座右の銘は「働かざる者食うべからず」。

【ラッシュ・シーウェイ】
 男、26歳。RC視察部員。
 黄緑色の短髪を立たせているが、身長が低くカバー出来ていない。
 誰に対しても生意気だが、小心者で臆病。おまけに運が悪く、とばっちりが多い。
 グリーンウルフ社を視察した際ギールに気に入られてしまい、出向扱いとなった。

【サリディナ・ミラード】
 女、29歳。グリーンウルフ社の専務。
 モスグリーンの長髪をきっちりまとめている。首筋にサソリのタトゥーが刻まれている。
 沈着冷静な性格。仕事には私情を挟まず厳格に対応する。

【セドック・ティール】
 男、39歳。グリーンウルフ社の副社長。
 黄土色の短髪。長身だが威圧感はない。
 非常に温和な性格。ギールとは昔からの知り合いらしい。

【イオ・ハウディア】
 男、20歳。ローレンの助手。
 偶然見かけたローレンに一目惚れし、大学を辞めて研究所に入所した。
 黒に近い茶色の短髪に、真っ赤な首輪をつけている。
 人当たりが良く忠実だが、人間としての情は欠落している。
 『犬』であり、生まれた時から自分の『飼い主』を探していた。

【ローレン・ライズ】
 男、46歳。ミルド島北部にある研究所の所長。
 以前起こした不祥事が原因で『穢れた科学者』と呼ばれ、忌み嫌われている。
 癖の強い金色の長髪に眼鏡姿。瞳は黒。目つきが悪く、猫背気味。
 研究のことになると周りが見えなくなる。
 研究所は不祥事後RC傘下になり、担当のフィードやチェスカにサンプルを押しつけている。

【ナト】
 女、6歳。チェスカの養子。
 チェスカに指示され、男装をしている。パステルブルーの短髪に白いキャップといった少年のような格好。
 この年の少女にしては冷静で、勉強が趣味。学力は大人にも匹敵する。
 元々孤児だったが、チェスカに拾われて以来RC諜報部で生活している。

【スコード=ニグル】

 男、21歳。ポーン島ニグル族の住民で、トゥーイの側近。

 濃い茶色に白が混じる肩までの短髪。冷静で物静かだが、少し抜けている。

 若いながらも剣術に優れ、側近になってからはガウィの弟子になる。

 トゥーイのことは幼い頃から気にかけている。

【トゥーイ=ニグル】

 女、17歳。ポーン島ニグル族長老の孫で、[鍵]の守護者。

 濃い茶色に黄色が混じる髪をお下げにしている。

 責任感が強く時々無茶をするが、年頃の少女らしい一面も持つ。

 甘い物に目がない。カルデムのことを尊敬しており、幼い頃からついて回っていた。

【ヤウィ=ニグル】

 男、84歳。ポーン島ニグル族長老で、トゥーイの祖父。

 ぼさぼさの白髪に、黄色が混じる。見た目はほぼ農民。

 根が呑気なため、多少の物事には動じない。

 トゥーイと同じように無茶をしがちである。よくぎっくり腰をやらかす。

【ガウィ=ニグル】

 男、52歳。ポーン島ニグル族次期長老で、トゥーイの父親。

 濃い茶色の髪を短く刈りこんでいる。毛先は黄色。

 厳格で神経質だが民からの信頼は厚い。狩猟部隊の長を務めており、屈強な肉体を持つ。

 トゥーイを[鍵]の守護者に推薦した張本人だが、何かと子離れが出来ていない。

【ダルク】
 男、30歳。フィロ島の『狩人』で、『鷹』。
 真っ直ぐな氷色の長髪。義父の形見のサングラスをかけている。瞳は赤色。
 冷静な性格で、『狩人』であることに誇りを持つ。猟銃の名手。
 元は孤児だったが義父ヨザを『熊』に殺害され、復讐を誓う。

【クレイ】
 男、21歳。フィロ島の『狩人』で、『虎』。
 少々癖のある氷色の短髪。瞳は黄色。
 感情がコロコロ変わり、落ち着きがない。人懐こい性格だが、狩りの時は別人のようになる。
 ダルクを本当の兄のように慕っており、彼と共に『熊』を狩ることを決心する。

【ヨザ・グラシア】

 男、享年49歳。フィロ島の『狩人』で、ダルクとクレイの育ての親。

 瞳は紫色。猟銃使いであり、黒いサングラスをかけていた。

 7年前『熊』に襲われ、殺されてしまった。

【ハビータ・ジェニアン】
 女、57歳。フィロ市場の責任者。
 ウェーブのかかった氷色の短髪。瞳の色はライトグレー。
 世話焼きな性格で、出店者達に慕われている。
 ヨザの幼馴染であり、長い間親交があった。

【ベイツ・ブライン】
 男、56歳。フィロ島出身の[世界政府]国際裁判官。
 元『狩人』であり、『しきたり』をまとめた指南書の著者。
 瞳は茶色。顔面には一本の大きな傷が走っている。

【ハルモ・ラスキー】
 女、年齢不詳(見た目は10代前半)。フィロ市場の名物売り子。
 さらさらした氷色の長髪。瞳は白色。見た目は少女だが胸だけは大きい。
 よくドジを踏むが、フィロ島の食材については誰よりも詳しい。
『狩人』達とは仲が良く、彼らのことは何かと気にかけている。

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