15話―2

文字数 4,113文字

 翌日、二人は港へ向かった。駐車場には[オリヂナル]の人々が乗る車と似たような大型バスが多く、特定が困難だった。しかし、ここまでは想定の範囲内。事前に彼らのうちの一人の写真を預かっており、この人物を探すため、ナトは一人で街に繰り出した。
 港町には、旅行客向けの店が一ヶ所のエリアにまとまっている。地図片手に迷っていると幸いなことに、親切な通行人に案内され、そのエリアに難なく辿り着いた。

 ナトは道路端に寄り、ズボンのポケットから写真を取り出す。防犯カメラから抽出した、暗がりでも眩しく見える金髪。十代後半の少年にも見えるが、その正体は行方不明とされていた社長の娘であり、標的の一人だ。以前書斎で見たアルバムには彼女の写真が残されていたが、可愛らしい『女の子』の姿だった。
 彼女が何故本社を去ったのか、何故『男の子』のふりをしているのか、そして何故[オリヂナル]に身を寄せているのか。その理由はチェスカにも分からず、自分がいくら考えても答えなど見つかるはずがなかった。

 写真をしまい、地図を手に辺りを見回す。その時、視界の隅に明るい金色が映った。ナトは一気に緊張する。写真で見た社長令嬢本人が、自分に向かって駆け寄って来たのだ。

「どうしたの? 困っているようだけど……」

 彼女は自分と同じ目線まで腰を落とし、顔を覗いてくる。綺麗な緑色の瞳に心を奪われかけたが、ナトは気を引き締め、『接触された場合の対処法』を実行した。

「叔父様の家に用があるのですが、迷ってしまいました」



 事前準備のおかげで怪しまれることなく、社長令嬢達はこの場を後にした。ナトは物陰に隠れながら尾行し、港の駐車場に辿り着く。彼女らが銀色の大型バスに乗る様子を見届け、発信器を車体底面に貼りつけた。
 チェスカの車に戻り、報告する。彼は『よく頑張りましたね』と嬉しそうに褒めてくれたが、やはり昨日のような憂鬱な表情のままだった。

 その後、二人は社長代理フィードと合流し、発信器を頼りに追跡した。ナトは車に揺られながら、物思いに耽る。社長令嬢の傍にはブルドッグと黄色の猿、そしてナトより少し年上らしき三人の子供達がいた。
 チェスカの話では、[オリヂナル]は居場所を失った人々を[家族]として迎え入れ、全世界を旅する団体らしい。社長令嬢がいる理由は謎だが、子供達は自分と同じ孤児だと思われる。
 港で尾行した時も、彼女らは終始楽しげに会話していた。[家族]はこれまでに、どのような景色を見てきたのだろう。直接質問したい気持ちでいっぱいだったが、ナトは思考を振り払い、目の前に集中するのだった。


――
 出張が終わり、ナトは再びRC本社に戻った。チェスカは別件での出張も多く、その度にナトも同行したのだが、ミルド島の子会社、ライズ研究所にて[家族]の子供達と偶然出くわした。
 彼らは誘拐された[家族]を助けに来たという。所長ローレンは、研究のためなら罪を犯しかねない危険人物。ナトは彼らに手を貸し、[家族]を無事に逃がしたのだった。

 事件後、ナトは気乗りがしないまま、チェスカに騒動の理由を伝える。彼もまた、憂鬱な様子でフィードに報告した。[オリヂナル]の所在は特定済みだ。フィードは『すぐに場所を移すことはないだろう』と判断し、大きな取引が片づく二月下旬に作戦を実行することになった。

 ミルド島北部の山間。[オリヂナル]はセントブロード孤児院という施設に滞在していた。[家族]の保護者である夫婦は、この施設の卒業生だ。
 調査によると、数ヶ月前からRCを捜査している[世界政府]の男も卒業生であり、夫婦と面識があるらしい。捜査員が周辺に潜伏している可能性があるため、現地に向かったのはフィードとチェスカ、そしてナトの三人のみだった。

 施設近辺のキャンプ場に車を停め、ナトとチェスカは買い出しを兼ねた偵察に向かった。その途中、チェスカは不良少年の集団にぶつかってしまう。その弾みで変装目的の帽子が落ち、不良達は彼の長い髪を見て女性と思いこんだのか、チェスカに襲いかかった。
 ナトは通りかかった女性警官に助けを求め、間一髪被害を免れた。しかし、その女性も施設の卒業生だった。二日遅れで現地入りしたフィードは、[家族]に勘づかれる前に、とそのまま行動に移してしまう。

 後から知ったのだが、フィードは『もう一人の標的』と接触した際トラブルに巻きこまれ、体調を崩したらしい。直ちに彼を連れてカルク島に戻ったが、チェスカは施設の関係者に伝言を残し、[家族]の逃走を手助けしたという。こっそりと語る『父』は、どこか安堵したような、晴れやかな表情だった。



『当船は、あと十分ほどでフィロ島に到着致します。今しばらくお待ちください』

 船内放送が流れ、チェスカは「忘れ物がないか、もう一度確認しましょうか」と客室のクローゼットを開ける。ナトも彼に倣い、浴室へ向かった。

 窓の外では雪がちらついているが、今は六月下旬。一年中冬の気候であるフィロ島に向かうため、二人は連絡船で移動していた。
 旅の目的は出張ではなく、現地で重傷を負ったフィードを見舞うため。彼は[オリヂナル]追跡中に事件に巻きこまれ、他でもない[家族]に助けられたらしい。

 現在フィードは退院し、[家族]のキャンピングカーで療養中だ。そう提案したのはチェスカであり、彼曰く、フィードは[家族]と和解したという。正直信じられなかったが、チェスカはこうなることが分かっていたかのように『良かったですね』と微笑んでいた。

「チェスカさん、浴室に忘れ物はありませんでした」
「ありがとうございます。到着するまで、もう少しゆっくりしましょう」

 チェスカは窓際のソファーに腰を下ろし、窓の外を眺めている。ナトも彼の向かいに座り、はぁ、と溜息をついた。

「ナト、元気がないようですね。具合でも悪いのでしょうか」

『父』はこちらの様子に気づき、心配そうな顔で見つめてくる。ナトはソファーに埋まるように俯いた。

「[家族]の皆さんに会うことを考えたら、怖くなってきました」

 フィードの命令とはいえ、自分達は[家族]を追いつめるために行動したのだ。彼らに事実を打ち明けたら、孤児時代のように酷い言葉を投げられるかもしれない。
 しかし、チェスカは温かく微笑み、「心配ありませんよ」と宥めた。

「あの方々は、必要以上に他人を罵倒することはありません。それに、貴方は私の指示に従ったまでのこと。厳しいお言葉を受けるべきは私の方です」
「そ、そんな……」

 チェスカは席を立ち、ナトを軽々と抱き上げた。

「[家族]の皆さんは、きっと、貴方を喜んでお迎えしますよ。あの方々の優しさは、直接会った貴方が一番、分かっているはずですからね」

 研究所で会った子供達と、港で会った社長令嬢の温かな眼差しを思い出す。不安は拭えなかったが『父』の胸の中は温かく、初めて会った日のように、理由のない安心感に包まれるのだった。


――
 フィロ島の港に到着し、二人は森近くのキャンプ場にて[家族]と対面した。開口一番謝罪したが、ナトの心配をよそに、[家族]は熱烈に歓迎してくれた。
 ゆっくりする間もなく子供達に連れ出され、雪遊びに誘われる。まっさらな銀世界を見るのも、同世代の子供と遊ぶのも初めてだった。ナトは子供達から教わりながら雪だるまをたくさん作り、夢中になって遊んだ。

 フィードの怪我が完治するまで、ナト達もフィロ島に留まる。港町のホテルに滞在する予定だったが、兄貴分の少年モレノに、男子部屋に泊まるよう懇願された。[家族]には自分の正体を明かしておらず、ナトは口ごもってしまう。しかし、チェスカは隠し通すことなく秘密を明かした。
 案の定[家族]全員が驚愕したが、社長令嬢のナターシャ(愛称の『ナタル』と呼ぶように、とチェスカに言われていた)は飛び上がって喜び、チェスカ共々女子部屋に招待した。断るつもりだった『父』は自分の顔色を見て、車内に泊まることを決めたのだった。

 その日から、ナトは無数の『初めて』を経験した。食事の度に小規模のパーティー並みになり、[家族]と会話しながら料理を堪能したこと。毎日のように外に連れられ、子供達と共にキャンプ場を駆け回ったこと。寝る前の女子部屋にて、ファッションに関する話で盛り上がったこと。
 ナトは隙あらば彼らを質問攻めにし、知りたかったことを全て聞き出した。彼女は[家族]と仲良くなるにつれて『女の子』に、いや、『幼い子供』に戻ることが出来たのだ。

「ラウロさん、そろそろ休憩を取ってはいかがですか?」
「おっ、もうこんな時間か。あんがとな」

 チェスカはマグカップに淹れたてのコーヒーを注ぎ、テーブルに置く。席に着く人物はスケッチブックから目を離し、彼に笑いかけた。
 休憩のために車内に戻ったナトは、リビングにてその光景を目撃した。この人物ラウロは、薄茶色の長髪を緩く纏めた、女性のような見た目の男性である。彼と会話を交わすチェスカは、終始嬉しそうだった。

 子供達も次々と帰宅し、チェスカはこちらに気づく。そして人数分のマグカップを戸棚から出し、ぽこぽこと音を立てる鍋に向かった。

「少々お待ちください。もうすぐホットココアが出来上がりますからね」

 子供達は歓声を上げ、彼の周りに群がった。帽子に積もった雪を払っていると、遅れてやってきたフィードが「ふん」と鼻を鳴らし、自分を抱き上げてラウロの隣に座った。
 間もなく全員にマグカップが行き渡る。「ナトを下ろしてやれよ、可哀そうだろ」とフィードに絡むラウロを見て、チェスカは笑いを堪えていた。

 ラウロは『もう一人の標的』である。ナタルの追跡は社長命令だが、彼に関してはフィード個人の問題らしい。ラウロはRC本社に監禁されていたが[オリヂナル]の手助けで逃走し、フィードは諦めることなく、[島]を越えてまで追跡を続けたのだ。
 ミルド島の港町で詳細を聞いた時、チェスカはラウロについて『監禁時に少しの間お世話しただけ』としか語らなかった。しかし、彼を見つめるその眼差しは温かく、『ただの知り合い』とはとても思えなかった。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

【ノレイン・バックランド】

 男、35歳。[オリヂナル]団長。SB第1期生。

 焦げ茶色の癖っ毛に丸まった口髭が印象的。

 喜怒哀楽が激しくおっちょこちょい。

 髪が薄いことを気にしている。趣味は手品と文章を書くこと。愛称は『ルイン』。

 [潜在能力]は『他の生物の[潜在能力]を目覚めさせる』こと。

【メイラ・バックランド】

 女、32歳。ノレインの妻。SB第3期生。

 カールがかかったオレンジ色の髪をポニーテールにしている。

 お転婆で気が強い。怒ると多彩な格闘技を繰り出す。

 趣味は写真撮影。口癖は「まぁ何とかなるでしょ」。

 [オリヂナル]では火の輪潜り担当。[潜在能力]は『一時的に運動能力を高める』こと。

【ラウロ・リース】

 男、25歳。

 腰までの長さの薄茶色の髪を一纏めにしている。

 容姿・体型のせいで必ず女性に間違われる。明るく振舞うが素直になれない一面がある。

 ある事情から[家族]に素性を隠している。優秀なツッコミ役。趣味はジョギング。

 [オリヂナル]では道化師担当。[潜在能力]は『治癒能力が高い』こと。

【ナタル・シーラ・リバー】

 女、19歳。RC社長の娘。

 肩までのストレートの金髪。瞳は緑色。右耳に赤いイヤリングを着けている。

 母親を殺害した父親に復讐を誓う。勇敢で頼もしい性格。RCを欺くため男装している。特技は武術。

 [オリヂナル]では動物のトレーナー担当。[潜在能力]は『一時的に筋力を上げられる』こと。

【アビニア・パール】

 男、28歳。SB第5期生。占い師『ミルドの巫女』。

 黒い長髪で声が高く、女性に間違えられる。ひねくれた性格の毒舌家だが、お人好しの一面を持つ。

 幼少期の影響で常に女装をしている。職業柄、体を鍛えている。ソラとは犬猿の仲。愛称は『アビ』。

 [潜在能力]は『相手の未来が見える』こと。

【ソラ・リバリィ】

 女、25歳(初登場時は24歳)。SB第7期生。『Sola』の名で歌手活動をしている。

 天真爛漫な性格。空色の長髪を一筋、両耳元で結んでいる。特技はアコーディオンの弾き語り。

 音楽の才能は素晴しいが、それ以外はポンコツ。自他共に認める腐女子。アビニアとは犬猿の仲。

 [潜在能力]は『相手の感情を操る』こと。

【ユノー・ミストリス】

 男、48歳。カルク島出身の宝石職人。

 人情深い性格。運が悪く『疫病神』と呼ばれていたが、[オリヂナル]の公演をきっかけに人生が変わり、現在はアビニアのアパートで宝飾品の工房を営む。

 事故で意識不明になって以来、老化が止まったらしい。見た目は20代後半。

【チェスカ・ブラウニー】

 男、27歳。RC諜報部長。

 薄桃色の長髪を一本に束ねている。瞳は灰白色。灰色の額縁眼鏡をかけている。

 物腰が柔らかく、どんな相手でも丁寧に接する。

 諜報班時代のフィードの部下で、彼のことは『チーフ』と呼ぶ。

【フィード・アックス】

 男、30歳。RC社長代理。

 青い髪をオールバックにしている。蛇のような細い目が印象的。

 冷酷な性格で無表情だが、独占欲が強く負けず嫌い。

 ナタルの教育係を務めていた。鼻を鳴らすのが癖。

 [潜在能力]は『舌に麻痺させる成分を持つ』こと。

【アース・オレスト】

 男、10歳。

 さらさらした黒い短髪。

 実の父親から虐待を受け、『笑う』ことが出来ない。

 控えめで物静かだが、優れた行動力がある。特技は水泳。年齢の割にしっかり者。

 [オリヂナル]では水中ショー担当。[潜在能力]は『酸素がない状態でも呼吸出来る』こと。

【ミック・ラガー】

 女、10歳。モレノの妹。

 ふわふわした栗色の長髪。

 引っ込み思案で無口。古びた青いペンダントを着けている。

 世話を焼きたがるモレノを疎ましく思っている。アースのことが気になっている。

 [オリヂナル]ではジャグリング担当。[潜在能力]は『相手の[潜在能力]が分かる』こと。

【ヒビロ・ファインディ】

 男、35歳。SB第1期生。[世界政府]の国際犯罪捜査員。

 赤茶色の肩までの短髪。前髪は中央で分けている。飄々とした掴み所のない性格。

 長身で、同性も見惚れる端正な顔立ち。同性が好きな『変態』。

 ノレインを巡り、メイラと激闘を繰り返してきた。

 [潜在能力]は『相手に催眠術をかける』こと。

【シドナ・リリック】

 女、28歳。ミルド島出身の[世界政府]国際犯罪捜査員。シドルの姉で、ヒビロの部下。

 明るい緑色のストレートの長髪。真面目でしっかり者。策士な一面を持つ。

 海難事故により、[潜在能力]に目覚めている(『相手の記憶を操作する』こと)。

【アンヌ】

 女、24歳。ミルド島の女怪盗。『猫』。

 肩までの黒い巻毛。瞳は黄色。露出度の高い服装を好む。

 我が儘で気まぐれだが、一途な一面も見せる。

 ユーリットを女性恐怖症に陥れた張本人だが、事件後何故か彼に好意を抱くようになった。

【ウェルダ・シアコール】

 女、27歳。SB第6期生。SB近所の交番勤務。

 赤みがかった肩までの黒髪。瞳は茶色。

 曲がったことは嫌いな性格だが、面倒臭がり。ソラの親友。

 [地方政府]に在籍したことがある。ソラとアビニアに振り回されたせいか、しっかり者になった。

 [潜在能力]は『手を介して加熱出来る』こと。

【デラ&ドリ・バックランド】

 男、12歳。バックランド家の双子の兄弟。

 明るい茶色の癖っ毛。無邪気で神出鬼没。

 見た目も性格も瓜二つだが、「似ている」と言われることを嫌がる。

 [オリヂナル]では助手担当。[潜在能力]は『相手の過去を読み取ること』(デラ)、『相手の脳にアクセス出来ること』(ドリ)。

【モレノ・ラガー】

 男、15歳。ミックの兄。

 真っ直ぐな栗色の短髪。

 陽気な盛り上げ役。帽子をいつも被っており、服装は派手派手しい。

 割と世間知らずな面がある。妹離れが出来ない。

 [オリヂナル]では高所担当。[潜在能力]は『一時的にバランス能力を高める』こと。

【ミン・カルトス】

 女、12歳。SBの生徒。生まれて間もない頃、SBに捨てられた過去を持つ。

 黒髪を低い位置でツインテールにしている。チェック柄のワンピースが好み。

 おとなしい性格だがお喋り好き。SB近所の町で幼い子供達の世話を手伝っている。

 コンバーとは実の兄妹のような間柄だった。

 [潜在能力]は『一時的に体を金属に変えられる』こと。

【レント・ヴィンス】

 男、年齢不詳(見た目は30代)。SBを開設した考古学者。

 癖のついた紺色の短髪。丸い眼鏡を身に着けている。服装はだらしない。

 常に笑顔で慈悲深い。片づけが苦手で部屋は散らかっている。

【ミディ・ホート】

 男、11歳。SB近所の町に引っ越してきた少年。

 朱色の短髪。引っ込み思案だが友達想い。

 子供達の世話をするミンと出会い、彼女を手伝うようになった。

【リベラ・ブラックウィンド】

 女、32歳。SB第3期生。SB近所で診療所を営む。ニティアの妻。

 毛先に癖がある黒い長髪。右の口元のほくろが印象的。

 おっとりとした性格。元々体が弱く、病気がちである。

 メイラの親友。趣味は人の恋愛話を聞くこと。

 [潜在能力]は『相手の体調・感情が分かる』こと。

【ニティア・ブラックウィンド】

 男、35歳。SB第1期生。リベラの診療所の薬剤師。リベラの夫。

 白いストレートの短髪。白黒のマフラーを常に身に着けている。

 極端な無口で、ほとんど喋らないが行動に可愛げがある。

 筋肉質で、体はかなり鍛えられている。趣味は釣り。

 [潜在能力]は『風を操る』こと。

【リタ・ウィック】

 女、10歳。SBの生徒。

 焦げ茶色の肩までの短髪。動き易いズボンを身に着けており、時々少年に間違われる。

 SBを代表する問題児。フロライト兄妹とは悪友で、常にファビを振り回している。

 [潜在能力]は『衝撃波を操る』こと。

【サファノ・フロライト】

 男、8歳。SBの生徒。ルビナの兄。

 紫に近い青い短髪。好きな色は青。やんちゃな性格で、イタズラ大好き。

 ルビナとは双子だが二卵性らしく、あまり似ていない。

 [潜在能力]は『体全体から光を発生させる』こと。

【ルビナ・フロライト】

 女、8歳。SBの生徒。サファノの妹。

 橙に近い赤い長髪。好きな色は赤。

 性格はサファノと似ており、イタズラ大好き。

 [潜在能力]は『体の一部分から光を発生させる』こと。

【コンバー・カインドウィル】

 男、19歳。SBの卒業生。

 黒に近い茶色の短髪。優しい笑顔がトレードマークで、滅多に怒らない温和な性格。

 教師志望で卒業後は文系の大学に通っていたが、転落事故に遭ったファビを[潜在能力]で助け、亡くなった。

 [潜在能力]は『自分と相手の体の状態を交換出来る』こと。

【ギール・グリー】
 男、41歳。グリーンウルフ社の社長。『狼』。
 深緑色の短髪。大柄で強面。威圧感を常に放つ。
 傲慢な性格だが、その割に社員を大事にしている。
 フィードとは昔から面識があるようだが、互いに嫌悪している。
 座右の銘は「働かざる者食うべからず」。

【ラッシュ・シーウェイ】
 男、26歳。RC視察部員。
 黄緑色の短髪を立たせているが、身長が低くカバー出来ていない。
 誰に対しても生意気だが、小心者で臆病。おまけに運が悪く、とばっちりが多い。
 グリーンウルフ社を視察した際ギールに気に入られてしまい、出向扱いとなった。

【サリディナ・ミラード】
 女、29歳。グリーンウルフ社の専務。
 モスグリーンの長髪をきっちりまとめている。首筋にサソリのタトゥーが刻まれている。
 沈着冷静な性格。仕事には私情を挟まず厳格に対応する。

【セドック・ティール】
 男、39歳。グリーンウルフ社の副社長。
 黄土色の短髪。長身だが威圧感はない。
 非常に温和な性格。ギールとは昔からの知り合いらしい。

【イオ・ハウディア】
 男、20歳。ローレンの助手。
 偶然見かけたローレンに一目惚れし、大学を辞めて研究所に入所した。
 黒に近い茶色の短髪に、真っ赤な首輪をつけている。
 人当たりが良く忠実だが、人間としての情は欠落している。
 『犬』であり、生まれた時から自分の『飼い主』を探していた。

【ローレン・ライズ】
 男、46歳。ミルド島北部にある研究所の所長。
 以前起こした不祥事が原因で『穢れた科学者』と呼ばれ、忌み嫌われている。
 癖の強い金色の長髪に眼鏡姿。瞳は黒。目つきが悪く、猫背気味。
 研究のことになると周りが見えなくなる。
 研究所は不祥事後RC傘下になり、担当のフィードやチェスカにサンプルを押しつけている。

【ナト】
 女、6歳。チェスカの養子。
 チェスカに指示され、男装をしている。パステルブルーの短髪に白いキャップといった少年のような格好。
 この年の少女にしては冷静で、勉強が趣味。学力は大人にも匹敵する。
 元々孤児だったが、チェスカに拾われて以来RC諜報部で生活している。

【スコード=ニグル】

 男、21歳。ポーン島ニグル族の住民で、トゥーイの側近。

 濃い茶色に白が混じる肩までの短髪。冷静で物静かだが、少し抜けている。

 若いながらも剣術に優れ、側近になってからはガウィの弟子になる。

 トゥーイのことは幼い頃から気にかけている。

【トゥーイ=ニグル】

 女、17歳。ポーン島ニグル族長老の孫で、[鍵]の守護者。

 濃い茶色に黄色が混じる髪をお下げにしている。

 責任感が強く時々無茶をするが、年頃の少女らしい一面も持つ。

 甘い物に目がない。カルデムのことを尊敬しており、幼い頃からついて回っていた。

【ヤウィ=ニグル】

 男、84歳。ポーン島ニグル族長老で、トゥーイの祖父。

 ぼさぼさの白髪に、黄色が混じる。見た目はほぼ農民。

 根が呑気なため、多少の物事には動じない。

 トゥーイと同じように無茶をしがちである。よくぎっくり腰をやらかす。

【ガウィ=ニグル】

 男、52歳。ポーン島ニグル族次期長老で、トゥーイの父親。

 濃い茶色の髪を短く刈りこんでいる。毛先は黄色。

 厳格で神経質だが民からの信頼は厚い。狩猟部隊の長を務めており、屈強な肉体を持つ。

 トゥーイを[鍵]の守護者に推薦した張本人だが、何かと子離れが出来ていない。

【ダルク】
 男、30歳。フィロ島の『狩人』で、『鷹』。
 真っ直ぐな氷色の長髪。義父の形見のサングラスをかけている。瞳は赤色。
 冷静な性格で、『狩人』であることに誇りを持つ。猟銃の名手。
 元は孤児だったが義父ヨザを『熊』に殺害され、復讐を誓う。

【クレイ】
 男、21歳。フィロ島の『狩人』で、『虎』。
 少々癖のある氷色の短髪。瞳は黄色。
 感情がコロコロ変わり、落ち着きがない。人懐こい性格だが、狩りの時は別人のようになる。
 ダルクを本当の兄のように慕っており、彼と共に『熊』を狩ることを決心する。

【ヨザ・グラシア】

 男、享年49歳。フィロ島の『狩人』で、ダルクとクレイの育ての親。

 瞳は紫色。猟銃使いであり、黒いサングラスをかけていた。

 7年前『熊』に襲われ、殺されてしまった。

【ハビータ・ジェニアン】
 女、57歳。フィロ市場の責任者。
 ウェーブのかかった氷色の短髪。瞳の色はライトグレー。
 世話焼きな性格で、出店者達に慕われている。
 ヨザの幼馴染であり、長い間親交があった。

【ベイツ・ブライン】
 男、56歳。フィロ島出身の[世界政府]国際裁判官。
 元『狩人』であり、『しきたり』をまとめた指南書の著者。
 瞳は茶色。顔面には一本の大きな傷が走っている。

【ハルモ・ラスキー】
 女、年齢不詳(見た目は10代前半)。フィロ市場の名物売り子。
 さらさらした氷色の長髪。瞳は白色。見た目は少女だが胸だけは大きい。
 よくドジを踏むが、フィロ島の食材については誰よりも詳しい。
『狩人』達とは仲が良く、彼らのことは何かと気にかけている。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み